5000年ぶりの外
眩しい。太陽ってこんなにきつかったっけ。これは体の強度を少しあげなきゃいけないな。
「サクラは、…別に大丈夫か。」
「はいマスター。」
サクラの体は魔法だけできているわけではないからな、俺とは違って丈夫だ。
そういえば、ここってこんなに生い茂っていたか?俺の記憶だと、町のすぐそばの開けた所から地下に潜ったと思ってたのだが。空はかろうじて見えるが、木がこんなに生えている記憶はない。5000年も経つと流石に変わるか。
とりあえず近くの町に行こう。ここからあるいてすぐの所にあったはずだ。
「サクラ、少し歩くぞ。」
「はい、マスター」
とりあえずサクラに声をかけ、歩き始め…日光が痛い。まず体の強度を上げよう。
…つかない、地下を出たのは太陽の位置的に昼ごろだったと思うが、もう夜になってしまった。途中、ツタにまみれた廃墟のような町は見たのだが、本当に5000年もすると変わるものだ。とりあえず野営の準備だ。今のところ魔獣は見ていないが、一応結界魔法は張っておこう。
「結界魔法展開。」
俺は魔法を発動した、戦いの中ならば体内の魔元素、いや、この世界なら魔力と言う方が正しいだろう。それを体内で動かして魔法を発動した方がいいが、生活で使うようなスピードのいらない魔法は、音声起動の方が楽だ。
そしてこの結界魔法、二重にかかるように設定してある。一枚は体にそうようにして張られており、その人間の持っている情報全てを内側に隠蔽している。そして2枚目の結界が、術者が設定した中にいる人間と術者がいない状態の情報を外に出すようになっている。その中にはもちろん視覚情報も入っているので外からは何もないように見える。これで下手な感知には引っかからない。もし、ここに人がいることがバレたとしても、結界内の位置情報を常に変化するようにして、中に直接攻撃魔法を転移してきても当たらないようにしている。もちろん、結界に向かって攻撃がされたら防ぐこともできるし、短距離〜遠距離転移で別の位置に移動するようにもなっている。その転移の設定も細かく決めることができて、攻撃が来ている時間の間、一番近くの攻撃のない位置に転移し、結界範囲内から攻撃がなくなったとき元の場所に戻るなんて設定もできる。さらにさらに、結界に対する情報を後からログとして閲覧することができる。これにより、結界の設定の最適化も容易だ。しかし5000年も前の常識で設定しているので、何か不備があるかもしれん。世界も進化しているだろう。
そういえば、研究以外で魔法を使うなんて何年ぶりだろうか。ってこれも研究みたいなものか。やっぱり、自分が研究した魔法を実際に使うのはいいな。ついつい頭の中で魔法の解説をしてしまった。
「……」
サクラに何か痛い人を見るような目で見られている。い、今で魔法研究の成果を使う機会がなかったんだよ。このくらい普通でしょ!
「……」
……細かいことは気にしない事にしよう。
俺とサクラは魔法でベットを作り出して、ぐっすり寝た。
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2018/01/03 誤字修正をしました。