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王都

 王都についてしまった。道中何もなかった。まあ、よくある盗賊とのエンカウントや、怪我をした人に、乗せて行ってください、といったイベントは起き得ない。馬車に認識阻害の魔法をかけていたため、そこに馬車があるということはわかるが、そこから先に物が考えられなっている。馬車を見ても、{馬車がある。}で終わってしまう。そこが起きないようにしている中、俺が何に期待していたかというと、遺跡とかだ。実際馬車の中でずっと3Dマップを見ていたが、遺跡の片鱗どころか、強そうな魔獣すらいなかった。…強いていうならば、ラツがちゃんと魔法を使えるようになったくらいだ。これで俺の研究にも幅ができる。研究をするのはまだ当分先だが。こんなに道中何もなかったなら転移すればよかったと思うが、それも結果論だしな。はぁ〜。馬車は収納魔法で片付けているため、一つに時間がかかる馬車の列よりはまだ短い。しかし王都に入るための列はまだ結構あるな。はぁ〜。

「ユウキ様、ため息ばっかりはよくない。」

「……そうだな。」

ラツはこの五日間の旅もずっと楽しそうだった。封印される前も吸血鬼の里にずっといたみたいなので、普通の街道も面白いみたいだ。正直なところ、この五日間ラツのおかげで耐えられたまである。俺は魔法で性欲を消しているため、欲情することはないが、ラツはとても可愛い。彼女を助けたいと思ったのもそれが理由だったんだなと、この五日間で気づいてしまった。ラツはあんまり喋りたがらない。だがこの五日間でだいぶ思ったことを言ってくれるようになった。嬉しい。まあ、それに気づいたところで何か変わるわけではないんだが。

 俺は待ち時間を、この五日間何があったかを必死に絞り出していた。何もないんだがな。







 「はぁ、やっと入れた。本当に列長かったな。」

「これなら、馬車の中で座って待ってたほうがよかったと思う。」

…確かに。馬車の中で座って待ってればよかった。失敗だ。

「すまんな、ラツ。気づかなかった。」

「うん、べつに大丈夫だよ。」

よし、ラツも大丈夫だと行ってくれたんだ。俺も気持ちを切り替えよう。

 まず俺たちは最高級の宿を探さないといけない。え〜っと、宿屋は…。俺は3Dマップをみる。お、あった。が、少し遠いな。まあ、関係ないが。…お、途中にギルドがある。宿屋に行くには少し時間があるな。よし、どんな依頼があるかぐらいは見てみるか。残念ながら依頼を受ける時間はなさそうだ。(それで行きましょう、マスター。)おう、サクラ、びっくりした。サクラは賛成だな。了解。

「ラツ、とりあえず宿屋に向かうんだが、途中にギルドがある。まだ宿屋に行くには時間も早いし、ギルド依頼の確認だけして宿に行くつもりだ。ラツは、やりたいことあるか?」

「大丈夫、別にやりたいことはない。」

「別にギルドに行くのはただの暇つぶしだからいかなくていいんだぞ。」

「…大丈夫。」

ラツ、言葉では大丈夫だって言っても、さっきから屋台やお店をチラチラ見ているぞ。

「ラツ、買い物したいんだろ。」

「……大丈夫、お金は無駄にできない。」

あ〜、そういうことか。お金の心配か。

「ラツ、そこの心配はしなくていいぞ。俺は魔力から宝石作れるから、ある意味財産無限だぞ俺たち。」

「…………買い物、したい。」

「よし、買い物に行こう。サクラ、お前も買いたいもの買っていいぞ。」

ここはサクラも買ったほうがラツも買いやすいだろ。

「はい、マスター。」

よし、俺は何か研究のネタになるものがないか探してみよう。


 

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