お・や・く・そ・く
「おいおい新人さんや、薬草なんて一個も持たずに依頼完了報告とか、冒険者舐めてるんじゃねぞ!」
「そうだぞ、それに加えてあの受付嬢のマラちゃんと仲良くしやがって、依頼失敗がバレないようにしてもらってよ!」
「それに美女を二人も引き連れて、新人が粋がってんじゃねーよ!」
換金スペースを出て早々3人組に絡まれてしまった。非常に面倒くさい。
「新人はAランク冒険者の俺たちに、誠意を見せるってもんだろ。」
「そうだ、その誠意として、その女二人分だ。それで我慢してやるよ。」
うわー、頭悪そうだなー。そういえば、こっちにきてすぐの時は、勇者として冒険者登録したからこんなことなかったな。正直お約束だが、こんなに面倒くさいものなんだなー。
「おい、なんか言ったらどーだ!」
「なんだ、ビビってるのか!」
絡んできた奴らがそんなことを言いながら笑っている。ちょーうぜー。(マスター殺りますか)
「殺る?」
「おいおいラツ、女の子がそんな物騒なこと言ったらいけないぞ。…おい、そこ、宝石を合わせるのやめろ。」
サクラもこっそり魔法を発動しようとするな。このままだと俺が女二人に戦わせて、後ろにいるチキンやろうみたいに見えるぞ。(わかりました。)よし、わかったならいいんだ。…ちょっと待ってサクラさん、俺の手の位置から発生する魔法を発動しようとするなー。
「おい、無視してんじゃねーぞ!おい!」
「あーはいはい、相手をしてほしいか待ってちゃんなんですね。いいですよ、どこでやります?」
こう喧嘩は買った方がめんどうくさくないだろう。
「お前、このギルドで一番強い俺たちに勝てると思ってるのか?」
「ギャハハハハハハハ!」
あーもう本当にめんどうくさいな。
「ギルドの横に、簡易な決闘場があるだぜ。そこでやろうぜ。っておまえ、そんなことも知らねえのか。」
「ギャハハハハハハハハハハ!」
「はいはい、Aランク冒険者様(笑)早くいきますよ。」
「おい、てめー本当にぶっ殺すぞ!!」
そのためにも決闘場に行くんだろーが。本当に頭が悪いな、こいつら。
意外としっかりしてるな、この決闘場。俺は決闘場に入るとそう思った。
「ここなら心置き無くお前をぶっ殺せるぜ!」
はいはい、早くやりましょうよ。
「マスター、ここは私にやらせてください。」
「私が、殺す。」
おいおい、さっきも言った、ってラツには言ってないか。
「ラツ、サクラ、お前らが倒すと俺が女に戦わせてるチキンやろうになるだろ。だからここは俺にやらせろ。」
「はい(うん)」
はあ、ほっんとうに面倒くさい。
「なんだよ、もう勝った気でいるのかよ!」
「Aランクを舐めるんじゃねえぞ新人!」
「早く始めましょうよ、先輩。3人同時にかかってくるといいですよ。」
もういい、さっさと終わらせよう。でも殺すと死体処理が微妙に面倒くさいしなー。あと、余裕で勝ったりするとそれはそれで面倒くさい。
「それなら、一瞬で殺してやるよ!」
斧を持った奴が殴りかかってきた。すっげえ遅い。それに体重が乗ってない。この世界のAランクのレベルが低いぞ。いや、こいつらがAランク最弱なんだよな、…多分。
そんなことを思いながら、斧をギリギリでかわす演技をしながら余裕でかわし、頭を殴った。頭蓋骨が凹まないギリギリの力で殴ったから、気絶するだけで外傷はないはずだ。
「あ、適当に腕を振ったらたまたま頭に当たったー。」
しっかり弱いアピールをしておく。これ、大事。(マスターすごく棒読みです。)…大丈夫だ、弱いアピール、大事。
「おい、貴様、何をした!」
うるさいなー、さっさとかかってくればいいのに。
「あなたたちは口うるささがAランクなんですねww」
「なめんじゃねーぞごらー!!!」
そう言って剣を持った奴が切り掛かってきた。3対1の利点を全く生かせてないな。いや、それ以前の問題だな。剣筋が適当だ。そんなことを思いながら、冷静に剣を躱して行く。
「は!俺の剣術は躱すので精一杯か!」
…ちょっとイラっとした。ここは同じことをしておく。躱しながら相手の背後に回り、また頭を殴っておいた。
「今度は少し凹むくらい殴っておいた。しょうがないよな、イラっときたんだし。(マスター…)サクラ、何も言うな。
「おいおい、情けないですねAランク(笑)冒険者さん。」
「てめー!…だがこれで、詠唱は完成した。この爆炎の異名を持つドガロ様の魔法をくらえ!!」
そういえばさっきからブツブツ詠唱してたな。そんなにすごい魔力なのか…って、これは桜の10分の1にも満たない魔力量だ。ほんと弱いなこいつら。
「くらえ!ファイアブレイク!」
5000年前のファイアボールより、少し小さいくらいの火の玉がとんでくる。名前から察するに着弾地点で爆発するんだな。どれくらいの爆発か見てやるか。俺はうしろに飛び下がった。着弾したファイアブレイクが目の前で爆発…しない!?
「な!?ファイアブレイクが躱された…だと。こうなりゃやけだ。うおー!!」
魔法を使った奴がつえを前に突き出して突っ込んでくる。突っ込んできた杖をそのまま掴んで折った後に頭を殴っておいた。
それにしてもあれはファイアボールなんじゃないのか。となるとファイアボールはどんだけ弱いんだか。
「ゆうきさん!?大丈夫…みたいですね。」
あの受付嬢さんが闘技場に入ってきた。
「心配しましたよ。あなたがこのギルドで一番強い冒険者グループから喧嘩を買ったって聞きましたから。」
まあ、言っていることは間違っていない、間違っていないが…あいつらが最強なのか。」
「正直ところ、このギルドで好き勝手やっていて迷惑だったんですよね。下手に強いからギルドからも口出ししにくいですし。」
「そうですか、それなら良かったです。」
「あなたがフェンリルの素材を持ってきたって知ってたら、絡むなんてしなかったと思うんですけど。」
もしそうだったら、そのフェンリルの素材を買ったところはどこだ?とか絡まれそうだな。
「とにかく良かったです。」
もしあいつらの頭がもう少し良ければ、闘技場にいたサクラとラツの狙うとかしてきそうだが、そんなこともおこらなくて良かった。
そのことを思うと、この一件が本当にくだらないものに思えて、俺は心底うんざりするのだった。




