ギルドマスターと薬草
「よし、そろそろ町に行くぞ。」
ラツは魔法の練習をしている。色を変えられる部分はあるが、やはりまだ綺麗には行かないみたいだ。
「でも…。」
魔法がつか得るようになるまで練習したいのか。別にそんな急ぎではないのだがな。
「移動しながらでも、町の中でも練習はできるぞ。そんなに根をつめるな。」
「…はい。」
ラツはしぶしぶ魔法の練習をやめたみたいだ。
「よし、転移するぞ。」
俺はラツが封印されていた場所の上に転移した。
「おかえりなさいませ、マスター。」
「おう、サクラ。」
上ではサクラが待機していた。他の冒険者がここに来ないように、さりげなく人払いの魔法をかけてくれていたみたいだ。ありがたい。
「誰、この人。」
そうだった、サクラのことはまだ話してないんだった。こころなしか、ラツの目が怖い気がする。
「私は、マスターにつくられたオートマターです。人間ではないですよ。」
そう言ってサクラは手を外して見せた。サクラの体は硬度が最大になるように調整した合金を、ベースとし、それを魔力でつないでいる。体の一部位を外すのもわけない。…が、あんまり気分のいいものではないな。
「サクラ、ホイホイ腕を外すなよー。」
「彼女はマスターの仲間になったそうなので大丈夫なのかと。」
まあ、そうなんだけどさ。…ってラツが絶句してる。まあ、そうか。急に目の前の人間が手を外したら驚くか。
「ラツ、とりあえず行くぞ。…ラツ。」
「は、はい!行きましょう行きましょう。」
よし、外も暗いし町に戻ろう。
「サクラ、あなた生殖機能はあるの?」
「一応ありますよ。使ったことはないですけど。」
「何話してるんだ?」
「な、なんでもないです…。」
そうなのか、サクラは人間じゃないからな、何か聞きたいことがあったんだろう。何かは知らんが。
「おう、戻ってきたか。薬草採取くらいに随分時間がかかっているから心配したんだぞ。」
門までついたところで門番に声をかけられた。そういえば、俺は薬草採取のクエストを受けたんだったな。忘れてた。
「ところでお前さん、そのちっこい女の子はどうした。」
「あー、この子は森で倒れていまして、記憶をなくしているみたいなので、引き取ることにしました。」
よかった。ラツが吸血鬼だってことには気づいてないみたいだ。
「おー、そうか。お前もお人好しだな。」
「はい。そうかもしれません。」
「あ、昨日の方、どうされました?」
ギルドに入ると昨日の職員に声をかけられた。朝はいなかったから午後の当番なんだな。多分。
「薬草採取クエスト完了の報告だ。」
「はい、わかりました。奥の部屋へどうぞ。」
俺の収納魔法に気を使ってくれたみたいだ。
「よくきたのー。」
…奥の部屋に入ると髭の生えたおじさんがいた。こいつ、何者だよ。
「こちら、このギルドのギルドマスターです。フェンリルの買い取りの話で。」
なんだ。そういうことか。そりゃそうか。ただの受付嬢には荷が重いよな。
「それで、俺はできるだけ早くフェンリルを買い取って欲しいのだが。」
「そう焦らんでも良い。まずは薬草の方からにしなさい。」
「お願いします。」
やりにくいおじいさんだ。面倒くさい。
「ほい、これが今回の収集ぶんだ。」
俺は収納魔法の中の薬草をあるだけ全部出した。…おう、思ったより多いな。
「…は!?」
「なんじゃこの量は!?こんな量は1日で取れるような量じゃない!?店で買ったのか!?だがこんな量を一回のクエストで全部出したって、なんの利点もない。どういうことじゃ。」
「何って全部採取してきましたけど。あ、あの林の薬草は根こそぎ採ってしまったかも。」
そっか、この世界の魔法の基準をあの詠唱魔法だと考えると、無属性魔法は存在しないと考える方が自然か。
「な…。」
「もうよい。お前の規格外については考えるだけ無駄じゃ。この薬草全部換金すれば銀貨10枚じゃな。ほれ。」
「どーも。」
薬草の話はいい。フェンリルだ。強いて言うならフェンリルよりも、早く宿に行きたい。
「して、フェンリルなのじゃが、素材を預かることができれば、それをオークションにかけてやろう。その売り上げのうち9割をお前に、1割を手数料としてギルドにと言うことでどうじゃ。」
…したたかなギルドマスターだな。(マスター、この不届きものたちを抹殺しますか?)おい、サクラこんなことで目立つのは良くないぞ。(はい…。)おいおい、ラツも大量の殺気を出すな。面倒くさいことになる。
「…すまんすまん、そこまで殺気を出されるとは思わなんだ。」
「ラツ、サクラ、ギルドとはそう言うものだ。正直1割がかなり破格なんだ。我慢しろ。」
「はい。」
「すみません、マスター。」
まあ、俺のために起こっているわけだから悪い気はしないが。
「それでほれ、フェンリルだ。良い値で頼むぞ。」
俺はそういってフェンリルを出した。そして俺たちは換金スペースをでた。




