吸血鬼の少女についてのあれこれ
「とりあえず、君の名前は?」
「ラツ…です。」
彼女はラツというらしい。名前もわかったことだし、魔力について何とかしよう。
「今から、君の魔力が外に漏れないようにする。大丈夫だ、魔法は使えるように工夫するから。」
「はい。…でも私、そもそも魔法が使えない、です。」
それは多分魔法の方が悪いのだろう。俺が見る限り、彼女の内包魔力はなかなかのものだ。よし、魔法を教えよう。誰かに何かを教えるとか、少しやって見たかったんだよな。
「魔法は俺が教える。多分使えるようになると思う。とりあえず魔力をどうにかするね。」
「はい…。」
まず、結界魔法をラツの皮膚と同じ位置情報にラツの肌と同じ触覚情報で展開。フィルタの設定を[通過不可ーラツの魔力 通過可ーその他]に設定。その後、彼女の体内に転移魔法を展開、彼女の魔力を搬入して、一度魔力タンクを通し、研究室にある情報書き換え装置の搬入口にラツの魔力を搬出。書き換え装置で普通の人間の魔力に書き換え、別の魔力タンクに搬出。その魔力タンクから、普通の人間より少し多いくらいの魔力を、結界魔法から放出するように設定。これだけでもいいんだが、念には念を入れよう。その上から俺の魔力で防御力特価の結界をはる。ついでに色々な加護も付与しておこう。これでいいはずだ。
「できたぞ。」
「これで、大丈夫?」
やはり本人は感知できないだろう。違和感がおきにくいように調整したからな。
次は魔法だ。魔法が使えないと行っても、魔力を使うことはできるはずだ。
「次は魔法を使えるようにしよう。とりあえず、知ってる魔法を使って見てくれ、壁の方に撃ってくれればいいから。」
「わかった。…炎よ・我が呼びかけを持って・撃ち倒せ・ファイアボール!」
魔法は発射されなかったが、それはわかっていたことだ。…なるほど、彼女は魔力量がかなり多い。だから、魔力量が低い人のための詠唱だと、うまく魔法が使えないわけだ。この詠唱は、自分の魔力を触媒、というか餌にして、周囲にある炎属性によった魔力を集め、形にする魔法だ。しかし彼女は自分の魔力だけでファイアボール一発分の魔力を用意してしまう。それをファイアボールに変えれればいいのだが、人間が体内に持っている魔力は、属性によってるなんてことがないので、うまくファイアボールに変わらず、魔法が使えないみたいだ。ちなみに今のは、周囲の魔力を集めるための触媒にする魔力が、俺の結界のせいで外に出ず、魔法が集まらなかっただけだ。
これは一番対処が楽なパターンだと思う。選択肢が二つあり、触媒にする魔力量を適正にするか、自分の魔力を全部、属性魔法に変換するか。
「ごめん…なさい。魔法、使えなくて。」
ラツは魔法が使えなかったことを気にしているみたいだ。
「すまないな、こちらの説明不足だ。今のは使えない理由を知りたかったからで、使えなくて大丈夫だ。」
「本当?私ついて行っていいの?」
ラツは魔法が使えなかったことで、ついていけなくなることに恐怖したみたいだ。そんなことしないのにな。
「何言ってるんだ。もし魔法が使えなくとも、ついてきていいんだぞ。」
そういうと彼女の泣きそうな顔が笑顔に変わった。よかった。
「それで、何で魔法が使えないかもわかったし、この理由だったら、すぐ魔法なら使えるぞ。」
俺は魔法が使えない理由を説明した。
「それで、詠唱して、みんなが使ってる魔法と同じ感じがいいか、詠唱なしで、もっと自由に魔法を使うかどっちがいい?」
俺はそう聞いた。個人的には自由に使える方がいいと思うが、ここはラツに聞くべきだろう。
「どっちが、役に立つ?」
…そうきたか。正直ラツ地震で決めて欲しいが…まあ、こう言ってるししょうがないか。
「それなら、自由に魔法が使える方にしよう。その方がラツも楽しいと思うし。」
実際、自由に魔法が使える方が融通がきくし、詠唱に惑わされないほどの魔力操作を体得したら、詠唱魔法に見せかけることも可能だろう。
「はい。」
よし、早速教えていこう。




