培養と再生
とりあえず、このゴーレムと魂は一応研究しておこう。俺は自分の手に小瓶を作り出した。この小瓶はガラスのような質感だが、全てが魔力でできているため、ある意味結界魔法のようなものだ。だから[通過不可−魂 通過可ーその他]に設定することでゴーレムの魂のある位置を通すだけで小瓶の中に魂が入る。その後すぐに蓋を魔法で生成すれば魂の捕獲は完了だ。
俺はゴーレムが殴ってくるタイミングで小瓶をゴーレムの魔力が一番集まっているところを通した。それを三回繰り返すだけでゴーレムは三体とも戦闘不能になる。
「サクラ、このゴーレムを倉庫に放り込んでおいてくれ。」
「かしこまりました、マスター。」
正直このゴーレムにはあまり興味がない。興味があるのは魂の方だ。
「魂の方はもともと肉体があった頃の情報と、魂だけだった時間による成長のシミュレートを行い、魔法の体ではなく普通の体になるよう培養魔法液の中に入れておけ。」
魂の方は完全に肉体を再生して、なんでゴーレムになったのか聞くつもりだ。ついでに完全培養体についての情報をいくつか測定させてもらう。
「了解しました。培養に少し日数がかかります。」
「ああ、わかっている。」
これも培養魔法液の実験だ。理論上は完成しているが、実際に試すことができていないのだ。せっかくのチャンスを無駄にするのは勿体無い。
次は目の前の吸血鬼少女をどうにかしよう。まずは結界の消去、次に鎖とカバーの除去、切断面にフィルタ設定[通過可ー少女の肉体 通過不可ーその他]にした結界魔法を通して汚れを除去。そして情報閲覧魔法を使い、この封印場所の情報を閲覧、彼女が封印される直前まで時間を遡る。その時の彼女の手足の情報を情報改変魔法の改編後にコピぺ、情報改編魔法を実行。極度の感情変化により、魔力の暴走。その結果、魂が一部破損している。魂の方は元となる情報がその魂にしか残っていないため、情報改編魔法とコピペでは修復できない。ここは、別の代用案を使うか。まず、俺の魔力の一部を取り出し、圧縮。魂と魔力の濃度が同じくらいまでにする。その後、魔法にある余分な情報を全て初期化。産まれたばかりと同じ状態にする。それを欠損部位にはめ込む。あとは彼女の残りの魂に馴染むのを待つだけだ。馴染ますために、封印が解除されたあとの情報を残ってた方の魂に書き込んでおこう。
これであとは待つだけだというタイミングで、脳内にあのゴーレムの情報が書き込まれた。しっかり倉庫にしまってくれたみたいだ。
「マスター、施設管理業務のサクラを減らし、培養の方に回りました。一人につき二体体制です。」
流石にサクラが200体もいるとやりたいことがやりやすいな。
俺はそんなことを思いながら、吸血鬼の少女が目覚めるのを待つのだった。




