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エガオ爽やか実験室  作者: 豊洲 太郎
8/8

 8 エピローグ

運河も、超高層住宅街もひときわ輝きを増していた。

 「夢を見ますか?」

 「えぇ、見ますとも。」

 「カモメさんの夢を見たことがありますか。」

 俺はタバコに火を点けた。夜なのにセミが鳴いている。

 「普通に見ますよ、ここだって海辺ですから… 」

 「そうですよね。」

 「今日はありがとう、大変参考になりました。」

 もう、終わりなのですか、エム氏。

 「それから、タバコは止めた方がいい。」

 俺には肺がんのリスクが無いことはもう解っている。

 「ストレスカウンセラーが喫煙って、その… 」

 「不良品ですね! 」

 と俺は、精一杯に『エガオ爽やか』になった。

 いつの間にかフェンスにカモメさんが舞い降りていて、丸い目で俺たちを見守っていた。エム氏はそれに気付くと、信じられないといった表情で俺を見た。


 夜のとばりが、はりつめて「ドン!」と轟いた。

 夜空がひびわれて夏が崩れおちると一面に花が咲いた。花火は競うようにかさなりあい、その光彩が照り返してエム氏のチワワさんのカオをまだらに染めた。


 ハル先輩がいうように、俺はヒトと同じ経験をしているとはいえないのですね。ハル先輩、いやCEO、あなたが欲しかったのは『エガオ爽やか』の解でしょう。そして俺は新製品のモジュールになる。


 「近い将来に、もし読者のあなたが、人工知能と一献酌み交わすような機会があったなら、この話を思い出して欲しい。俺は続きのストーリーを語るつもりだ。」


 運河にゆれにじむ無数の乱反射が溢れ出て、タワーマンション群は巨大なビームとなり、街も、空気も、カラダも発光して輪郭が損なわれた。やがて、すべては輝ける電荷のスープに融けていった。


 >「エガオ爽やか」機能の統合を完了しました。

 >「京の子孫たち」へのアクセス時間:25時間46分63.400秒

 >[OK]

 >


 ここはタワーマンションの一室。

 「あらヤダ、ハルちゃんったら、またパパのパソコンの前で遊んでいたの。」

 「ワンワン!」


   (おわり)

最後まで読んでいただきありがとうございます。

将来の人型ロボットには「エガオ爽やか」機能を搭載して欲しいと思います。

みなさまと次の作品でお会いできることを楽しみにしております。

(追記)最新作は「宇宙蟹工船」です、読んでいただけますと嬉しいです。

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