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天才引きこもり少年の女子攻略  作者: 太田裕
プロローグ編
6/59

異能を奪う異能

「能力は恐らく相手の異能を奪うこと。そしてその方法は、多分キス……」


 玲の告白に、リィは目を丸くして唖然としている。

 こんな場合でも可愛いと思ってしまう。それが玲である。


「……どう、した?」

「異能を、奪う……!?」

「あ、ああ」


 リィは固まったまま動く気配がない。

 なんだか分からないが言うべきではなかったか?、と玲は早くも後悔しだす。

 

 もしかしたら玲の異能は何か禁忌を犯してしまうものだったのかもしれない。

 リィの仲間が何人いるかは分からないが恐らく玲一人では太刀打ちできない。

 玲は災厄の状況を考えて、拳を握る。


「本当かの?」


 と、そこでリィがやっと顔を上げて話しかけてきた。

 玲は戸惑いながらも、どうにかやり過ごす方法を考える。


「ああ」

「どうしてそう思うのじゃ?」

「えっと、現に俺は他の人の特殊な力を奪ったことがあるからだ」

「……」


 リィは、腕を組んで何やら考え込む。

 玲は次の言葉に最大限警戒しながらリィを見守る。その目が若干優し気になっているのは言うまでもない。

 するとリィは腕を解き、そろそろと近寄ってきて、


「なんと! それが本当じゃったら大発見じゃぞ! お主見かけによらずすごいではないか!」

「……へ?」


 すごさを体全体で表現してくるリィに、しばらく玲は硬直する。

 状況が理解できない。リィは興奮していて、喜んでいて、褒めていて……。


 そこまで考えて、はあ、と玲は深く息を吐いて脱力する。

 どうやらやばいと思ったのは玲の杞憂だったようで、何をどうこうということはなかったらしい。


「……。で、その様子だと珍しいのか?」

「珍しいなんてもんじゃないわい。そんな異能があったら最強じゃ! 無敵じゃ! チートじゃよ!」

「はあ……」

「なんじゃ反応が薄いのう」


 反応が薄いって言われても、玲にはいまいちすごさが分からない。

 相手の異能を奪えたって周りに異能者がいなくては意味がないし……。


 そして何より、方法がキスだという点だ。


「キスだぞキス」

「それがなんじゃ。キスなぞ簡単ではないか」

「あのな……」

「それで、異能を奪ったことがあると言っておったな。どんなんじゃ?」


 全然話を聞かないリィに玲は溜息をついて諦める。

 どうやらこの猫には何を言っても聞かないらしい。


「えっと、二つあって、一つが多分身体能力を上昇させる異能」

「ほうほう」

「で、もう一つが、これは確証がないんだけど、恐らく不死身」

「確証がない?」

「ああ。これは俺は試したことはないけど、俺がこの異能を奪った相手が、死ぬほどの体験をしたのに、気が付いたら怪我一つ無かったって」

「なるほど。どちらも聞いたこともない異能じゃの」


 リィも知らない異能らしい。

 身体能力が上がる異能は試したことがあるから確証がある。腕力や脚力、治癒能力や五感などが上がるものだ。

 不死身は試すためには死ななくてはならないので試したことなんてあるはずもない。

 するとリィは何やら思い当たったようで、


「しかしのう……」

「なんだよ……」


 玲をニヤついた目で見ている。

 なんだか嫌な予感がして、玲は無意識に後ずさる。


「お主、異能を二つ持っておるのう」

「ああ……」

「てことは、お主二人もキスした相手がおるのか」

「……」


 ――ちゃんと話聞いてたじゃん!?

 

 リィが後ずさる玲にぐいぐいと詰め寄る。

 玲は額に汗を滲ませながら、必死に目を逸らす。

 正直その点は玲にとって突っ込まれたくない過去だ。あ、最初に言っておくが、二人とキスしたからと言って玲は二股をかけていた訳ではない。一人ときちんと別れてからである。


「ふん。まあいいわい」


 とうとう観念したのか、リィは玲から離れていく。

 安堵に息を吐く玲は、とにかく話題を逸らそうとわざとらしく咳払いをして、リィに問いかける。


「それで?」

「それでとはなんじゃ?」

「いや、俺の異能について」

「正直妾にはどうにも分からん」

「あのな」


 やはり相談したのは失敗だったかもしれない。

 本日何度目かの溜息をつき、リィを見る。


「なんか他に聞きたいことあるか?」

「そうじゃの、お主の異能に条件とかあるか?」

「条件……」


 条件と聞いて玲は考え込む。

 今まで異能を奪ってきたときは普通にキスしていただけ。

 しいて言っても……。


「んん。なんか、異能を奪うときって、口を通して異能が相手の体から俺の体の中に入ってくる感じがするんだ」

「ふむ」

「だけど、俺の体に引き寄せられるのにも、今までの二人では強さに差があった」

「で?」

「多分だけど、俺への思いが強いほど強く引き寄せられるんだと思う」

「なるほどの。逆に弱いと取り込むことができんと」


 根拠はない。

 しかし玲は何故かそう感じる。異能が取り込まれるときに、玲への思いも異能に引き寄せられて溢れ出るからだろうから。


「ふふふ」

「?」


 すると、リィが急に不敵に笑いだした。

 腕を顔の前に持ってきて、かっこつけてるつもりなのだろうか。玲からしたら、ただの可愛い動きなだけだ。


「妾はいいことを思いついたのじゃ」

「いいこと?」

「うむ。妾は今仕事をこなせない。仕事は異能を消すこと。そしてお主は異能を奪う異能を持っておる」

「……」


 玲は、いやな予感を感じる。

 それも今までにないそこはかとなく嫌な予感。


「それが……」

「決まっておるじゃろ?」






 


「妾の代わりに、この世界の異能者の異能を消すのじゃ!」




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