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天才引きこもり少年の女子攻略  作者: 太田裕
プロローグ編
5/59

暴発と異能持ち

「は?」


 今とてつもなく聞き逃せない重要なことを言われた気がする。

 しかし言った本人はいたって普通だ。ならばさほど重要でもないのかもしれない。


「……一心同体って、俺と、お前が?」

「うむ」

「なんでそんな……」

「覚えておらぬか? お主が初めて妾を抱きかかえた時、なんやら光ったじゃろう」


 確かにあの時一瞬光が走った様に見えたが、その時は徹夜のせいで目が疲れているのだろうと思って玲は特に気にも留めなかった。

 しかし、あれは本当に光っていたらしい。


「契約魔法《コントラクト》。使用者と対象の人間の間に見えない管を繋ぐ魔法じゃ。管は人と人の魔力の間に繋がっていて、本来は魔力配給などで一時的に使う術なのじゃが」

「それがどうして……」

「この体のせいじゃろう」


 そう言うと、リィはその場で体を見せるように手を広げてくるっと回って見せた。

 小さい体で回る様もまた可愛い。


「この体では妾の魔力を抑えきることができんかった。故にお主に抱かれている時にたまたま魔法が暴発してしまったのじゃろう」

「暴発って……。今は平気なのか?」

「平気じゃよ。お主との間に管ができたおかげでお主と妾の体の間で魔力が循環して抑えられておる」


 なるほど。

 今も常時暴発する状態ならば危ないと思ったが、大丈夫らしい。

 ということは今玲の体の中にも魔力がある状態。もしかしたら魔法が使えるのではないだろうか。

 と、そこであることに思い至る。


「さっき一時的にって言ってたよな? てことは解除も可能ってことか?」

「もちろんじゃ」


 なるほど、いつでも解除可能なら確かにそれほど焦ることでもない。今のリィの余裕な態度も納得がいく。

 一安心したところでホッと玲は胸をなでおろす。


「普通ならな」

「……」

「しかし今の妾では魔力が上手く操作できん。魔法を使うことはおろかこの魔法を解除することもできん状態じゃ」


 全然一安心ではなかった。

 解除できないって、ならばどうすればいいのか。

 のうのうとしていられるリィに疑問しか浮かばない。


「……なんでお前はそんなに動揺していないんだ」

「なぜって、どうせ猫になってしまった時点でどうしようもないのじゃ。今更問題が一つ増えた所で変わりやせん」


 なるほど。もうすでにどうしようもないからどうなってもいいと……。

 

 ――いやいやいや、俺完全にとばっちりじゃん。


「なんで俺が……」

「諦めも肝心じゃ」

「お前……」


 限りなく他人事で言うリィに抗議の視線を向ける玲だが、その愛くるしい姿が目に入る途端、はあ、と諦めたように脱力する。

 可愛いものを前にすると、もうなんでも許せる気がしてくる。今回は明らかに許容範囲を超えているが、それでも許す気になってしまう。


「まあ、そのことについては後で考えるとして……」

「なんじゃ」

「お前らの異能を消すって言ってたやつを、詳しく教えてくれないか?」


 今回一番聞きたいのはこのことについてだ。

 あちらがどのような手段で異能を消すのか。それによって、玲にとって脅威になりえるかが決まる。


「うむ。異能を消す方法じゃが、これがまた大変での」

「大変?」

「うむ。大封印魔法《ザ・シール》。これは異能者の異能のみを消すことができるのじゃが、発動までにいろんな準備があるうえに使用する魔力が莫大な量になる。しかも使った後はしばらくまともに魔力を制御できなくなるのじゃ。一つ消すだけでも大掛かりなのじゃ」

「異能だけか……」


 取り敢えず危害を加えられないということは分かった。

 次は異能のことをリィに話すかどうか。

 しかし、異能については玲自身でも分からないことが多い。相談ができる相手がいるならば相談してみるのも手だろう。

 一心同体だしな、と玲は口の中で呟く。


「なあ、リィ」

「なんじゃ?」

「俺も多分異能持ちだと思うんだが、どうすればいい?」

「……ほお! なんと、お主も異能を持っておったか!」

「……まあ」


 リィは小さな足で一生懸命駆け寄ってくると、玲の体をもの珍しそうに見回す。

 こっちの向かってがんばって駆け寄ってくる様もとても愛らしい。


「……で、どうなるんだ?」

「他のやつに見つかれば消されるじゃろうが、見つからなければどうにもなりやせん」

「そんなものか?」

「そんなものじゃ」


 ずいぶんとあっさりしているものだな、と玲は思う。

 てっきり、もっと頑張って異能を消す作業を行ってくれているように思っていた玲からすると、以外である。もっとも、リィの考え方がそうなだけなのかもしれないが。


「しかし、ここらの担当は妾じゃ。そうそう別のものが来ることもないじゃろ」

「その担当のお前は仕事しなくていいのか?」

「まあ、たっぷり説教されたのちきつーい罰がまっておるじゃろう」

「ダメじゃん……」


 やはりこういう思考の持ち主であったか。

 きっと、向こうでもたくさんヘマやらかしたんだろうな、なんて思いつつ、いつの間にか話が脱線していたので、玲は慌てて話を戻す。


「とにかく、俺の異能についてだ」

「うむ。お主の異能は如何様なものなのじゃ?」

「その前に、能力の発動方法について、驚かないで聞いてくれ?」

「うむ」


 一拍開けて、息を吸う。そして、






「能力は恐らく相手の異能を奪うこと。そしてその方法は、多分キス……」


 



 俺の告白に、今度はリィが驚く番だった。

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