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弁当 ~A、B、C公園物語~

作者: 唖魔餅

初短編です。

誰が話しているかわかりづらいという方のためにそれぞれの一人称を記載します。

A=オレ

B=おれ

C=俺



 公園に三人の男がいた。

 この三人は1ヶ月ほど前に仕事を首になり、何もすることがなく、ただ公園で時間を潰していた。

 彼らはA、B、Cっていう、アルファベット一文字だけというものすごく適当な名前だった。

 しかし、その名前が原因でいじめられたという経験はない。

 ただ、彼らは自らが経営していた会社が倒産したのだ。

 それで家族に会社が倒産したことを隠し、公園でただこうやって時間を潰しているのだ。

 公園にはベンチ、砂場、ブランコ、大きな黒い柱が大小二つあった。

「どうっするか?」

 ベンチで寝転んでいるAが言った。

「いや、どうもしねぇよ」

 同じようにベンチで寝転んでいるBはAにそう答えた。

「いや、俺も何も言ってねぇよ。Aは?」

 Cは砂場で寝転びながら、Aに聞いた。

「オレも何も言ってねぇよ。会社潰れた、なんて言えるわけねぇよ」

「ああ、Aの言うとおり。怖くて言わねぇよ、そんなこと」

 AとBは相変わらずベンチで寝転んだまま答えた。

「奥さんにも何もいわなかったのか?」

 Cがそういうと、AとBはうなずいて、

「ああ、妻たちには何も言ってない」

「おれもだ」

とAとBはそれぞれそう答えた。

 Cは溜息をつき、

「そうか、既婚者は大変だな・・・って、ちょっと待て。妻『たち』!?クラァ!A!どういうことだ!」

「ああ、言わなかったけ?オレ妻100人いるんだ」

「嘘付け!それ、絶対ありえねぇだろ!お前はどこかの国の王様か!重婚罪で捕まるわ、アホォォォォォオオオオ!もっとましな返答しろや、ボケェ!」

 荒ぶる独身のCは目を血走らせて、声を怒りを込めながらAに問い詰めた。

 しかし、Aは済ました顔でBに対して、

「これくらい普通にいるだろ。なぁ、B?」

「いやそれは多すぎだろ、A。おれでも18人しかいないぜ」

「まじか、Bって結構妻いるんだな」

「お前には言われたくないね」

「ハハハ」

 彼らが朗らかに談笑していると、端から見ていたCはさらに憤り、

「ちょっと待てぇぇぇぇぇ!何?お前らそんな偉いか!?あれ、もしかして俺が常識はずれなだけか!?まさか、ここは異世界か!だとしても、お前らどんだけ結婚してんだよ!私服はタキシードですか!この野郎!」

とCはとりあえず頭に浮かんだ言葉でAとBをなじったが、

「おい、C。いくらお前童貞だからって興奮しすぎだろ」

「そうだぞ、お前も早く妻10人ぐらい作っておけよ」

 彼らは煙たそうにそう言った。

「そんな歪んだ愛情いらねぇよ!」

 Cはますます憤り、彼らに文句を言った。

「まぁ、その話は置いといてと。どうしようか、昼?」

 Aは話題をそらして、Bに言った。

「ああ、おれは妻たちから弁当もらったから。大丈夫だ」

「おお、そうか。オレも妻たちに弁当作ってもらったんだよ」

「奇遇だな。会社倒産して、貯金0になってもこういう所気が合うよな、ハッハッハッ」

 そうAとBは仲良さそうに談笑しながらそれぞれ重箱のような黒い柱から上から一つずつ弁当箱を取っていた。

 その光景を見ていたCは彼らに聞こえないボソッと呟いた。

「ああ、あいつらに後ろにある黒い柱みたいな奴。あれ全部弁当箱だったんだな。あいつら、もしかして全部一人で食うのか(特にA)・・・」

 Cは手に持ったおにぎりを見ながら、こう祈った。

(神様。俺も愛妻弁当が食べたいです。ですから、こいつら滅ぼして俺に一人ぐらい妻を分けてくれぇぇぇ)

 おそらく、Cのその願いは叶うことはないだろう。

気が向いたらまた書きます

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