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小話~お正月(天音&佐波先輩in現代)~

新年あけましておめでとうございます。かなりお待たせしてしまいましたがリハビリがてら新作小話を投稿します。

本編再開は今しばらくお待ちください。

天音と佐波先輩が異世界に転移する前のお話。とある年のお正月に、天音と佐波先輩は自宅マンションでのんびりと過ごしていた。

挨拶回りや初詣、年賀状の返礼も滞りなく終わっている。二人とも今日は何もすることがないので、テレビを流しながらこたつに丸まっている次第である。


「あったかいですねえ、先輩……」

「至福だねえ……」

「ストレスが溶けていくみたいです」

「仕事があるとどうしても張りつめちゃうもんね」

「温泉旅行と迷いましたけど、予定を入れないで正解でしたね」

佐波先輩は旅行が大好きなので、そういう案も出ていた。


「旅行はいつでも行けるから、今年は家でだらだらごろごろしたい!」

年末のあまりの仕事の忙しさに切れた佐波先輩の一声で、年末年始に自宅でだらだらごろごろライフが採用された。


「私の我がままに付き合ってもらって悪いね」

「いえいえ。年始くらいゆっくり過ごしても罰は当たらないでしょう。それにこういう時間の過ごし方、私も好きですよ」

「天使だ……優しい……温かいツマミ……」

「褒めても何も出ませんからね」

「冷たい!」

天音だってのんびり過ごすのだから、労働なんてしないのである。


「ぶうぶう。大丈夫だもんね。ちゃんと準備してるんだからー!」

こたつに入ってしまえば、ちょっとやそっとじゃ動く気になれなさそう。

そう予想を立てた二人は、ごろごろだらだらするために、食料品や飲料、酒類、おやつやおつまみ等を年末に買い込んでおいたのだ。

もちろん、手の届くところにはおやつや飲み物をセッティング済み。

佐波先輩はさっそくお煎餅を頰張りはじめている。

小さい子が一生懸命おやつを食べているみたいで可愛い。そんなことを思いながら、天音も小粒みかんの皮を剥きだす。


「そういえばさ」

「はい?」

「……天音は親戚に結婚急かされたりとかした?」

「何です藪からぼうに」

「いやほらそういうのないのかなーと」

「そういえば特にありませんね……。付き合いのある親戚は伯母一家だけなので、あの伯母がそういったことを言うとも思えないですし……佐波先輩は何か言われたんですか?」

「はっきりと言われたわけじゃないけど言われた」

「どっちですか。どんなことを言われたのか詳しく」


『……お姉ちゃんのほうが結婚早いだろうからそろそろ楽しみにしてるわね』

佐波先輩の実家は少々複雑で、お義母さんが後妻さんなのである。

実のお母さんは佐波先輩が幼いころに亡くなっていて、家族構成は父・義母・弟二人。

佐波先輩とお義母さんとの中はあまりよろしくない。というより、お義母さんのほうが佐波先輩とどういう風に接したらいいのかわからないらしい。

顔を合わせれば見当違いの口出しがはじまるので、佐波先輩にとって実家はもはや煙たい場所なのだった。


「お義母さん、相変わらず微妙に毒がありますね……」

「本人に自覚はなさそうだけどね」

「意図的かどうかはともかくとして……何が気になってるんですか? いつもは聞き流してますよね」

女性の毒のある厭味を真面目に受け取るタイプではないはずと、天音はいぶかしんだ。

「いやあ……私もそろそろいい年だから、結婚についても一応考えているわけだよ。私も女であるからには、結婚して子供を産むロードがあってもおかしくはないでしょう」

「おかしくはないでしょうが、結婚より交際相手のことを先に考えませんか」

「はい」


「職場、趣味の場、誰かの紹介」

「どれもアタリがありません!」

「おかしいですねえ……」

程よくしなやかについた筋肉に、小麦色に焼けた肌。

目鼻立ちはハッキリとしていて、見た目は美少女と言ってもいい。20代後半とはとても思えない、かわいらしい顔立ちだ。

加えて、佐波先輩の職場は男性比率が高い。交友関係でも、男友達は多いほうだ。

それなのになぜなのだろう。

天音がそう思いながらまじまじと見つめると、佐波先輩は苦笑して言った。


「童顔だから、まともな成人男性に恋愛対象として見られたことがないんだよねー」

「否定出来ません……」

天音はうなだれた。


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