この感情はまさか…
ガチャガチャ!
バン!ガチャン!
乱暴にドアをあけて、家にあがる。
私は1人暮らしをしてるから、当然、おかえりの声とかは聞こえてこない。
そんな静かな室内を乱暴に歩き、リビングに行く。
いくら防音のマンションでも、ここまで乱暴にしてたら響いてそうなので、少し落ち着こうと深呼吸をする。
「はーあ…イライラがとまんないよ…」
ていうか、好きでもなんでもないし、むしろ嫌いなんだよ、あんな男。
なのになんで私イライラしてんのよっ!!
「あ"ー、、、」
もう忘れよう、あんなやつ。
だって、ただの女好きの男なんてどうでもいいじゃないか。
***
気付いたら眠っていた。
「ふあ~あ、、、んぎょっ?!」
携帯を見ると着信が20件もきていた。
「だ、誰だ…」
全部倉木龍からだった。
嫌がらせかよ、なにこれ…
ほうっておくと何かありそうでこわいから、かけ直してみた。
プルルルル…
プルルルル…
プルルル…プッ…
「あ?誰だ」
失礼な出方だな、偉い人からだったらどうするのかな。
「愛ですけど」
「あ、お前?お前と話してえことあんだけど。だから、さっきのバーにきてくんね?」
「嫌。関わると、勘違いされて倉木龍、大変になっちゃいますよ?」
「あ?さっきから何言ってんだ、一番勘違いしてんのお前だよ」
「はー?」
「だから、勘違いしてんのはお前だから、その変な誤解をとくために、バーで話してえから来い。」
「え…あっちょ!」
ツーツーツー…
い、行かないとだめなの?
てか、私何も勘違いしてないよね?
何に対しての誤解だ?
「まあ、行くだけ行くかぁ…」
***
急いでバーに行ったら、入り口の前で、国民的アイドルだとあろう男が変装もなにもせず、立っていた。
そして、時計を指差して私に怒鳴ってきた。
「遅っせえぞ、お前!」
この人、テレビの中よりさらに尖った性格だな。
「すいません…ていうかあの、こんなとこに、変装もなにもせずに、立ってたら週刊誌に撮られちゃいません?」
「あー、そうだな。取りあえず中入るか」
「はい」
***
椅子にすわると、倉木龍は話しだした。
「で、さっきのことなんだけど、あの女は、俺の姉ちゃんだから」
「え?」
「別に彼女じゃねえよ。」
「あ、そうなんですか…」
ホッ…
て、何ホッとしてんの私!!
好きでもないのに!
「あ、そうだ。何か飲む?」
「私は…」
グーーーーーッ
「あ」「あ//」
お、お腹なっちゃったよ…//
さっき上田さんに食べさせてもらったばっかなのに…
「腹へってる?じゃあここ出よっか。」
「あ、でも大丈夫。いい…」
グイッ
「わ」
「食いにいこうぜ」
私の腕をつかむと歩きだした。
強引すぎでしょ…
あ、でも私がお腹すいてたから、こうしてくれたのか。
そう考えると何か嬉しく思えた。
***
外装が真っ黒なお店の前についた。
入ると、個室に案内された。
そして、適当に食べるのを注文してから、考えた。
ここどこだろ?
ていうか、、
「バーのときから思ってたんですけど倉木龍みたいなアイドルが、こんな風に店にきて、個室に女の子と入ってご飯食べたりしていいんですか?危なくないですか?」
「あぁ、バーは、マスターが父ちゃんの友達で、そういうとこちゃんとしてくれてるから。で、ここは芸能人しか来ない店だから。」
「あ、そうなんですか、へぇ~」
すごいな、やっぱり、そういうとこはきちんとするんだな~
「なあ、お前さ、倉木龍って呼び捨てすんのに敬語なんだな。お前のほうが年上ならタメ口で話せよ」
「あ…うん。わかった」
「あと、フルネーム呼び捨てすんのやめてくんね?すげえ他人行儀っつうか何つうんだろ…」
「じゃ、倉木って呼ぶ?」
「龍でいいよ」
「ん…」
龍って名前呼び?本人を名前呼びの呼び捨てで呼ぶって恥ずかしいな…
「恥ずかしいから、君付けでいいかな…」
「あーそれでいいよ。」
その後、料理を待っている間5colorのこととか、色々話した。
「リーダーは、すっげえ天然。勇也は、子供っぽい。」
「へえ~」
「で、亮君は、突っ込み上手いし、すげえ優しい。弘は、結構なS。」
「へえ~」
「この前なんかさ、俺が役作りに苦悩してるとこ弘に写メとられてさ~」
「あはは、どんまい」
私が笑うと、不思議な顔して龍君がこっちをみた。
「ん?何?私変なこといった?」
「あ…いや、何か俺の前で初めて普通に笑ったなっておもって」
「あ、そうだっけ?」
「笑うと可愛いじゃん。」
え…?
なんかドキドキする。
この感情はまさか…