ぽっぷの事情
私がぽっぷに入社して、もう半年が経った。
だいぶこの仕事に慣れてきた。
しかし、まだマネキンに着せる洋服をパッと決められるほど、センスは向上していない。苦笑
「うーん、、これじゃパッとしないしなぁ…」
マネキンの前で唸っていると、後ろから声をかけられた。
「それだったら、このストール巻けば?」
そう言って店長が私にストールを渡す。
マネキンにつけてあげると、、、
「すご!店長!流石ですね!!」
「まあね。そんなことよりちょっといい?」
「?なんでしょうか。」
奥の従業員専用の部屋に連れられて、ドキッとする。
私なんかやらかした?
センスが足りないからクビ!!とか?
やだ…なんだろう。
すると店長が話をはじめた。
「愛ちゃんがここに来て、半年が経つね」
ニコッと笑われてヒヤッとする。
こういう展開でクビって言い渡されるものなのかな。
怖い怖い。
「だけど、君がきてから、売り上げが伸び悩んでいるんだよね。」
店長が顔を曇らせていう。
売り上げ伸び悩んでるのはお前のせいだ、くび!!ってなる?なる?
職を半年で失うとか絶対やだ!
「そこでなんだけどね」
「は、はひ…」
冷や汗がたれる。
ろれつも回らなくなってくる。
「君に、」
クビを命じる。とか?!
「一度雑誌モデルをしてもらって、うちの洋服を紹介してもらいたいんだけど、いいか?」
「は、はい!全然いいです!」
安心してつい声を荒げてしまった。
まあ、それにしてもクビじゃなくてよかった。
雑誌モデルくらい簡単…
いや、簡単じゃない。超ハードじゃん!
「あの、それ、、なんていう雑誌でやるんですか?」
「wiwi。」
wiwiといえば女子高生とか色んな人が見る有名雑誌…
私も昔読んでた雑誌…
そんな大役務まらない!!
第一私可愛くも美しくもないし!!
「店長…篠原さんのほうが美人ですし、私じゃなくても…」
「君のほうが若いから。」
「そ、そうですか。わかりました。」
条件反射的にいっちゃったけど、若くても可愛くなきゃ意味ないよ?
「あ、でも私センスない…」
「洋服は篠原さんがセレクトしてくれるらしいから安心して。」
即答。
ああ、もうきっと雑誌の編集長とかにも連絡とってあって、私で決定してあるんだな…
変えられそうにないもんな…
「はい…わかりました…それでは失礼しました」
そう言って部屋を出て、座り込む。
溜め息をついて周りを見渡す。
まだ早いからお店には誰もいない。
「誰かかわってください」
シーン…
「もういいや。ポージングの勉強とかしようかな」