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SAVE1 ラブレターから始まるトキメキ☆ライフ

「こ、これ、読んでくださいっ!!」

 朝、忙しく通勤通学で行き交う人達が行き来する、いつもの地下鉄駅ホーム。

 私、龍崎りゅうざきサナは、そのホームで人生最大の大勝負に出ていた。

 そう、素敵な『彼』に手紙というか、恋文? 直球で言うとラブレターを渡したのだ。

 周りの人がみんな、私を見てる。

 注目の的だ。

 いや、私だけじゃない。

 きょとんとした顔で私を見つめる『彼』もまた、注目の的になっていた。


 時間は少し遡る。

 あれはもの凄い通勤ラッシュで、私はサラリーマンにまぎれて、押しつぶされていた。

 か弱い女子高生をぎゅうぎゅうにするのはどうかと思うの!

 仮にも近代化された都市だというのに、こういうのは、あまり変わらない。

 それでもラッシュは軽減されたというのだから、本当にそうなのかと、逆にマスコミさん達に問いただしたい。

 まあ、そんな中で、地下鉄は無情にも急ブレーキをしてくれた。

「きゃああああっ!!」

 あんだけぎゅうぎゅうだった車内が、すっと間を空けるように、丁度、私のいた場所に隙間ができた。そうなると、どうなるかっというと……バランスを崩した私は、その隙間に放り込まれて、背中からぶっ倒れると。

 頭にガンとぶつかりそうだよねーと考える時間はあった。

「……あれ?」

 けれど、来るはずの床との衝突。衝撃がなかった。

「大丈夫?」

 代わりに聞こえてきたのは、心地よいテノールの声。黒縁めがねをつけた、クセのある髪を揺らす男の人だった。たぶん、社会人じゃない……と思う。スーツとかじゃなくて、かなりラフなカジュアルな服装してたから。それに肩には少し大きめのデイバックをかけていた。

「だ、大丈夫です……」

 そんな『彼』が、なんと、私を片手で支えてくれていたのだ。

 そう思った瞬間、恥ずかしさと照れくささがいっぱいになって……。

「あっ! ありがとうございました!!」

 ぱっと避けて、立ち上がり、私は頭を下げる。

「怪我はないみたいだね。よかった」

 そういって、笑いかける笑顔が眩しくて。

 一瞬で、私は……恋してしまいました。


 というわけで、冒頭に戻ると。

 でもね、これを渡すのにも、大変だったのよ!

 どんな手紙に書くか。どんな内容を書くか。どこで渡すか。

 もう入念な計画なしで、ここまでできません!!

 私としては、100点とまではいかないけれど、かなり上手くいったと……思ってるけど……。

 ………反応、ない?

 恐る恐る、『彼』を見上げるように、その顔を見つめた。

 へ? くすくす、笑ってる?

「ごめん、ちょっと嬉しくて」

「え?」

 そ、それはどういう意味で?

「ありがとう、これ貰っていいんだよね?」

「あ、はい」

 ちらりと手紙の裏を見て、あのときと同じ笑顔で『彼』はこう言った。

「改めてもう一度、ありがとう、サナちゃん」


 こうして、私は『彼』こと、浅樹羅那あさぎらな君と付き合い始めたのです。

 でも、知らなかったの……。

 彼も私と同じ、ううん、すっごいゲーマーだってことに!!

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