嘘とグラウンド
「約束だよ」
ベンチに腰掛けた君が、そう言って僕を真っ直ぐに見上げる。
グラウンドの砂が舞い上がり、埃っぽい風となって君の髪を、スカートを揺らす。
日に焼けた君は、美しい。
僕は何も言わずに君に背を向けて、濃い青空を仰いだ。
視界の端にちらつく太陽が目を刺す。
息を吸う。
「約束するよ。君がいればね、僕は、なんだって出来るんだから」
僕が言うと、君は「ほんとー?」と嬉しそうな声を上げた。
太陽が目に染みて、僕は眼前に広がるグラウンドに視線を落とした。
僕の、真っ白なユニフォームがぱたぱたとはためく。
君の目には、青空をバックに、逆光で輪郭が濃く黒くなった僕の後ろ姿がくっきり見えているんだろう。
君は、眩しそうに目を細めながら、風に揺れる髪を押さえながら、僕を嬉しそうに見上げているんだろう。
「なんだって出来るんだー」
そう言って君はえへへと笑った。
僕もえへへと笑う。
振り向かずに。俯いたまま。
じりじりと、脳天が陽に焼かれる。
ベンチを立って君が去った後、多分じきに僕は泣き出すんだろうなあとひりつく頭で考えた。
「ごめんね」
すでに涙混じりの僕の呟きは、君に聞こえただろうか。
ごめんね、僕、嘘しかつけないんだ。
言えない言葉がグラウンドにぽそりと落ちた。




