Ⅰepisode,Ⅱ 決められた出会い
「・・・血・・・なのか?」
祐一は息をのんだ。
今、自分の前の少女の綺麗な体の一部から大量の血が流れ出している。
少女の怪我は見た限り重症
背中に大きな、銃弾で打ち抜かれたような傷が2つあるように見える。
「くそっ」と祐一は眉間にしわを寄せる。
今まで血まみれの少女を見るのは初めてだ
対処法は、無い。
「きゅ・・・救急車・・!!」
急いで俺は右ポケットから携帯を取り出す。
救急車の電話番号は、11・・・
、最後のボタンを押そうとした時、祐一の右手首が細い腕で掴まれる。
「・・・・・っ!?」
祐一は眼を大きく開いた。
目の前にいる少女が祐一の右手首を掴んでいた。
「・・お前、意識が・・あんのか?」
「 。」
少女は何か呟いているように見える。
それでも祐一にとっては口パクにしか見えなかった。
「・・どう・・したんだ? 救急車を呼んじゃ、だめなのか?」
少女は微かに、首を縦に振る。
「じゃあ、どうすんだ? このままだと死んじまうぞ!?」
「・・て」
少女は微かな声で
本当に微かな声で、
「・・ここ・・から、逃げて」
逃げて・・
祐一はその言葉に理解ができなかった。
確かにさっきまで、祐一は不良の3人組に追われていた、今でも祐一のことを探しているかもしれない。
しかし、それほどのことだろうか?
自分は死にそうな状況で、不良からカツアゲされるのを死守するために、祐一にそんな言葉を掛けるだろうか?
そんなことはあり得ない
きっと、他に、何か・・・理由があるに違いない。
「いや・・だめ・・だろ! 何で死にそうなお前を置いて逃げなきゃいけねぇんだ!」
「・・・・っ・・だめ・・だめ、なんだよ・・」
彼女はボロボロの体を支えるように、無理やり声を上げるように
「逃げてよ、祐一!」
「は?」
祐一は少女の声を疑う。
何故、俺の名前を知ってる?
祐一はこの少女に会ったことはない、今初めてあったはずだ・・だけど、少女は知っていた。
俺の名前を・・
「お・・い、お前・・・俺と一度会ったこ・・・」
言葉を遮られた。
一つの錆びた音、銃声で・・。
「あぁ~、見つけちった、見つけちった~」
祐一の後ろから、男の声が聞こえてくる。
その声は笑っているようで、怒っているようで。
祐一が咄嗟に後ろを振りかえると、白衣をまとった細身の中年の男が俺達を見下すように、
「ふぅ~、おまけ付き・・・・かぁ」