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真面目な女友達にエロいことを言わせたら付き合うことになった話  作者: たこまき


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§0.4 神の味噌汁(2/2)

 樹は実家に帰省した。


「明日の朝食は任せてよ。今度こそ完成したから」


「ふふ、また同じこと言って」


 帰省の度に同じことを言いながら、昔と同じように味噌汁を作ってくれる息子がいくつになっても可愛らしく思えた。


「明日は高気圧に覆われて安定してるから、きっと上手くいく」


「……何の話?」


「あ、いや、なんでもない」


 樹は慌てて誤魔化したが、いつの間にか天気の話をするのが癖になっている。母は不思議そうな顔をしたが、それ以上は追及しなかった。


 母は微笑んだ。息子は帰国以来、「今度こそ完成」と言い続けている。確かに作るたびに美味しくなっているが、本人は「まだ研究中」と言って納得していないらしい。


 翌朝、キッチンに立つ樹。


「今日も美味しいお味噌汁のレシピ、頼むよ」


 スマートフォンに話しかけると、AIエージェントが滑らかな英語で応答した。


「For the perfect morning, as always.(いつものように、完璧な朝のために)」


 画面に表示されるMISO-AIからの情報を確認しながら、朝食の準備を進める。

 脂の乗ったカレイの焼き物、出汁をたっぷり含ませた卵焼き、そして彩りの小松菜の胡麻和え。そしてメインは、もちろん味噌汁だ。

 制限が緩和されたとはいえ、母の体への負担を最小限に抑えるため、健康への配慮は徹底されている。

 見た目はごく普通の、しかし極上の朝食だ。


 その日の東京は、湿度62%、気圧1010hPa。システムは味噌を標準より4%多めにすることを推奨していた。


「お父さん、お母さん、朝食できたよ」


 母は息子が作った味噌汁を一口飲んで、目を丸くした。


「これ……今までで一番美味しい。なんだか、あなたが初めて作ってくれた時の、あの日の嬉しさを思い出すわ……。やっぱり、樹のお味噌汁は世界一ね」


 声を震わせながら母は言った。


「でも、本当に……前よりずっと美味しくなってる。どうやったの?」


 樹は照れくさそうに頭を掻いた。味噌汁のためにAIを作り、気象予報士の資格まで取ったなんて、さすがに言えない。


「それは……『神のみぞ知る』ってやつかな」


 父が広げた新聞の奥で「ぷっ」と吹き出すと笑いながら顔を上げて息子を見た。


「なんだ? ダジャレか?」


 両親の笑顔を見ながら、樹は思った。8歳の頃から追い求めていた「完璧な味噌汁」に、ようやく近づけたのかもしれない。


次回「§0.5 未来への序章」最終回となります

毎日朝7時20分に更新です

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