表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真面目な女友達にエロいことを言わせたら付き合うことになった話  作者: たこまき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/24

§1.4 赤裸々な言葉

「じゃあ、次は思春期の身体変化について聞いていくね」


 樹がパソコンを操作すると、新しい質問項目が表示された。


「月経のメカニズムを高校生にどう説明する?」


 少し頬を染めながらも、医学生としての知識を整理して答える。


「えっと……女性の体が赤ちゃんを迎える準備をして、必要なくなったら一度リセットされる仕組み……かな。子宮の内側が厚くなって、使われなかったら剥がれて出てくる、みたいな」


「なるほど。医学用語を使わないで説明するの、難しい?」


「うん、ちょっと。『子宮内膜』とか『排卵』とか使った方が正確なんだけど……」


 データを興味深そうに見ながら、樹が言った。


「心拍数が少し上がってるね。でも、説明はすごく上手だよ」


「恥ずかしいけど、医学の話だと思えば……」


「じゃあ、男性の夢精について説明するとしたら?」


 ユイはさらに顔を赤らめ、答える。


「それは……えっと……」


 手元のブラックサンダーの包み紙をガサガサと無意識にいじりながら、言葉を探す。


「思春期の男の子の体が、その……大人になる準備をしている証拠、というか……寝ている間に自然に起こること、で……」


「うん、その説明いいね。自然な現象だって伝わる」


 ***


 樹はメモを取りながら、画面のグラフを確認した。約20分、段階的に質問を続けてきたが、思っっていた通りユイの反応データは貴重なものばかりだった。


「さて、ここからが本題なんだけど……」


 表情が少し真剣になる。


「次は、実際の問診で一番患者さんが言いにくい部分について聞きたい。性的な興奮について、医学的にどう説明するか」


 一瞬動きを止める。ユイはつまんでいたポッキーを急いで口に入れる。


「性的な……興奮?」


「うん。まずは男女の興奮状態について、医学的な用語でいいから教えてもらえる?」


 窓の外を見ると、さっきより日が傾いていた。(もう1時間以上経っているのか……)

 深呼吸をしてユイは口を開く。


「えっと……それは……」


 顔が一気に赤くなる。さっきまでとは明らかに違う反応だった。


「性的な刺激を受けると、まず脳からの信号で……興奮期という段階に入ります」


 声が震え始めた。手元のセンサーの数値が急激に変化しているのが、ちらりと見えた。


「興奮期……うん、続けて」


 樹は優しく促したが、研究者としての興味も隠せなかった。


「男性の場合は……陰茎の血管が広がって……血液が流れ込んで……」


 ユイは消え入りそうな声で続けた。医学的な知識はあるのに、口に出すのがこんなに恥ずかしいなんて。


「陰茎海綿体が……膨らんで……勃起が起こります」


 最後の単語を口にした瞬間、顔を両手で覆いたくなった。


「ありがとう。じゃあ、これを一般の人に分かりやすく説明するとしたら?」


 ユイは顔を真っ赤にしながら、震える声で言葉を探しながら答えていった。


 ***


「女性は……陰核の充血や、膣壁からの分泌液の増加が……」


 樹は画面に表示されるグラフの急上昇に目を細め、興味深そうにキーボードを叩いている。ユイの声が震えていることなど、まるで耳に入っていないかのように、彼の意識はデータの世界に完全に没入していた。


 言葉が途切れがちになる。センサーの警告音が小さく鳴った。


「ちょっと待って」


 ハッと我に返った樹が画面を確認する。


「心拍数がかなり上がってる。大丈夫? 無理しなくていいよ」


「大丈夫……続けられる」


 ユイは深呼吸をした。これも医学の勉強の一環だと自分に言い聞かせる。


「膣自体も拡張して……」


(でも、やっぱり恥ずかしい。仲の良い先輩とはいえ、男性の前でこんな話をしている自分が信じられない)

「性交前戯とか……そういう言葉で表現されることもあります」


 その言葉を口にした瞬間、ユイは両手で顔を覆ってしまった。


「すみません……私、もう……これ以上は……」


 震える声でユイがそう言うと、樹はすぐに画面からユイの方に視線を移した。


「ごめん、僕の方こそごめん。初日からこんなに無理させて」


「いえ……でも、今日はもう……」


「もちろん! 今日はここまでにしよう。本当にありがとう、すごく貴重なデータが取れた」


 樹は申し訳なさそうに頭を下げた。


「約束通り、レポートの参考文献を探そう。図書館に行く?」


 顔を上げる。まだ頬は赤いが、ユイは少し安心したような表情だ。


「うん……お願い」


「じゃあ、センサーは外していいよ。本当に今日はありがとう」


 樹の優しい気遣いに、ユイは少しだけ微笑んだ。


「あの……続きは、また今度でいい?」


「もちろん。ユイさんのペースで大丈夫。無理はしないで」


「ありがとう。じゃあ、図書館に行こうか」

次回「§1.5 繋がる糸」

毎日朝7時20分に更新です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ