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呪術は小説より奇なり  作者: 麻人 弥生
妖刀村正擬き

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呪術研究部にまつわる新しい噂とそれを否定する者

「マジでよ〜。バカにしてんだろぉ〜」

結構な大怪我を負っていたはずの四子は2週間ほどで復帰を果たした。

確か医者には全治4ヶ月は堅いと言われていた筈だが、古典準備室のソファにどかっと座っている様子を見るに全快であった。

「まぁまぁ人の噂も四十九日って言うしさ」

「それを言うなら七十五日よ。縁起の悪い数字に置き換えないで頂戴」

「真理ちゃんこれは幽霊ジョークだよ!」

「だーうっせぇな!不如も他人事だと思ってしょーもない冗談言ってんな!」

全快早々うんうんと唸るご機嫌斜めな四子である。

いつもなら僕自身もフォローに回るのだが、今回ばかりは触らぬ死に神に祟りなしといった具合なのだ。

というのも事の発端は四子が入院していた頃に遡る。


四子は謎の転校生としてそのルックスと男勝りなキャラクターでそれはもうちやほやされていた。

そしてそれは別のクラスの僕の耳にまで届いていた。対して僕は功夫オタクの愉快な陰キャとしての学校内での表の姿を持っていた。

まぁあくまで呪術研究部の一員というのを隠すぞ!の気持ちで学校生活を送っていたのだが・・・。

兎に角、他の人からすると陰と陽そんな僕等に接点は思い当たらないだろう。

四子の病室には連日大量のお見舞いの品が届いた。

中には高級洋菓子店の贈答用の綺麗な箱に納められた部長と真理さんの好物などもあり、そのおこぼれに与るべく僕らは四子のお見舞いに足繁く通っていた。

そんな中、いつも通り四子の病室で楽しくやっていた僕等の元に現れたのは四子のクラスの委員長だった。

ノックと同時に入ってきた委員長は思わぬ先客に口をパクパクさせて一通り驚いた後、持っていた大量のプリントを手前の机に投げるように置くと素早く去って行った。

その時は委員長のリアクションも相まってちょっとした話のタネ位だったのだが、女子高生の噂の速度を舐めていた。


翌日登校した僕は玄関で待ち受けていたのは、四谷親衛隊を名乗る屈強な運動部レギュラーの方々で僕は呼び出しという名の拉致をされた。

体育館の裏で屈強な男子高校生達は僕を囲んで各々が好き勝手に主張を始めた。

「おい!南斗!オメェ俺らの四谷さんに手を出したってのは本当か!!」

「ナントカ言ってみろボケェ!!」

「ネタは上がってんだ!」

「四谷さんの病室で二人きりだったんだってなぁ!羨まし過ぎるだろぉ!!」

そこまで畳み掛けられてようやく何が起こったのかを理解した僕は咄嗟に反証しようとした。

「いやいやいやいやいやだってあの部屋には・・・」

そこまで言いかけてぐるぐると回転する脳みそはチンと音を立てて一つの回答を導きだした。

病室に居たのは四人だったはずなのに二人きり・・・?目撃者は多分委員長だろう(イコール)この噂の出所も委員長。

委員長は一般人、一般人には部長と真理さんは見えない=反証不可!!!

「あの部屋にはなんだってんだ!?」

「ハッキリ言えボケェ!」

「ネタは上がってんだ!」

「四谷さんの病室・・・イイ匂いとかすんだろぉなぁオイ!!」

凄まじい熱気と圧に負けて思考を放棄しつつあった脳みそはここ最近の印象深い出来事を勝手に反芻し始めていた。

「あの部屋には・・・四子の親とか?も来たし・・・?」

「「「「親公認!!??!?!??」」」」

先ほどまでの威勢は何処へやらあわあわと動揺を隠せない親衛隊はそれぞれが空想の世界へと旅立ってヨタヨタと何処かへ行ってしまった。

しかし一難去ってまた一難、その日の昼休みには新聞部による号外が発行され美少女転校生のスキャンダルとして校内を賑わせたのだった。


そして今に至る。

「それにしても四子ちゃんは写真映りが良いのにナントカ君ときたら・・・」

例の号外をしげしげと眺める部長の手元から四子がそれを奪い取り勢いよく鼻をかんだ。

「次から次に出して来やがって・・・!!チリ紙にもならねぇのによ・・・!!」

「私もこの写真は好きよ。海斗のバカっぽさがよく出ているわ」

「いいからさっきの話の続きをしてくださいよ。じゃないといつまで経っても快気祝いを始められないじゃないですか」

そもそも今日は四子の快気祝いという事だったのだが、その前にと今回の事件の顛末について話をしようとした所で部長が例の号外を取り出したものだから四子が発作を起こしたのだ。

「よくねーわバカ!

しかし、例え正論でもナントカに言われるとイラつくな」

「それ思っても僕の目を見て直接言わないでもらってもいいですか?」

そのやり取りに部長と真理は顔を見合わせて夫婦漫才だとまた笑った。


さてかなり脱線してしまったが本題の顛末である。

まず今回の一連で呪物として回収されていた村正一派の刀の取り扱いが見直され、村重の肉体で作られた砥石の捜索が始まった。

自身の肉体を使って刃物を呪具に変えるという方法は全くの想定外だったとのことで、少しであっても欠片などが存在している可能性がある為死に神の上層部が動いて早急な対応を進めるそうだ。

それと合わせてマスコミが大々的に事件を報道していた通り魔事件も解決と合わせて圧力が掛かりそんなことはなかったかの様に振る舞われ真相を知る人間は一部となった。そしてまた都市伝説的に語られる事件の一つになるのだろう。

あとはなんだろう。四子に襲いかかった岡村はそんなことスッパリと忘れて元気に登校しているらしい。

多分四子に頭を蹴られたのがいけないんだろう。記憶と合わせて一瞬煌めいた彫刻の才能も失くしてしまったようだが、本人は相変わらず美術展に向けて作品と向き合っているみたいだった。


「それじゃ改めて!四子ちゃん退院オメデトー!!!」

部長の音頭で各々がジュースを掲げた。

テーブルに広げられたお菓子やケーキなんかを囲んで最早日常となった放課後は日が沈むまで賑やかに続いた。


高円寺高等学校には噂のお助け部がある。

通称呪術研究部(ノロケン)何やら部長は幽霊部員で実質的には一人の生徒が運営しているらしい。

それは古い情報だよ。今はもう一人部員が増えたって聞いたけど、あれ二人だったか?

どこにあるのか分からない部室には人体模型があるとか、怪しげな実験道具が並んでるとか、着物を着た西洋人形がソファに座っているだとか言われているがどれが真実なのかは定かではない。

兎に角、いくつもの伝説があるんだ。本当に困った時は藁にも縋る思いで助けを求めてみるといいよ。

校内の誰かがそんな事を言うものだから、呪術研究部に変な相談(厄介事)が持ち込まれるのも遠くない未来になるだろう。

だけど彼らならきっとそのどれもを解決してくれると私は思うよ。

最終回ありがとうございました。

個人的に気に入っている回は16話のカツ丼(暮林謹製)でした。

10万字を一つの目標に書いていたのでここで一旦一区切りですが、続きについてもなんとなしに構想があったりします。

よかったら楽しみにしてもらえると嬉しいです。

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