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呪術は小説より奇なり  作者: 麻人 弥生
妖刀村正擬き

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18/40

一旦整理をしてみましょう

「さてと、それじゃあ一旦整理してみよっか」

侍の手紙のかなりざっくりとした翻訳を聞いた部長は、部屋の端に置いてあった大きめのホワイトボードを部屋の中央に持ってきた(物理干渉ポルターガイストで)。

確かに今回の一件、改めて思い出してみると僕達はまだ関わってから4日程しか経っていない。

しかし例の村正擬き事件は数週間前から起こっていた訳だし、とりあえず今ある情報を並べてみるというのも大切なことかもしれない。

気が付くとホワイトボードの上の辺りにでっかく『村正擬き事件!!』と書いてあり周りには色々な情報とへんてこりんな落書きがちりばめられていた。

「まずはこの加害者と凶器がバラバラな通り魔事件について、四子ちゃん時系列順にお願いしていい?」

急に振られた四子はガサガサとカバンを雑に漁って端っこがよれた紙の束を取り出した。

もしもそれが警察から提供されている捜査資料なのだとしたら、

あまりにも扱いが粗雑なので、今後四子に大切な資料を渡すのはやめたほうがいいかもしれない。

「えーと・・・。加害者と凶器と、被害者くらいでいいのか?」

「一旦はそれくらいで大丈夫!」

資料片手に空いた手で後頭部をガシガシと書くと四子は読み上げ始めた。


一件目、加害者34歳女性 凶器:包丁  被害者24歳男性

二件目、加害者62歳男性 凶器:高枝鋏 被害者41歳男性

三件目、加害者55歳女性 凶器:包丁  被害者37歳女性

四件目、加害者37歳女性 凶器:裁ち鋏 被害者29歳男性

五件目、加害者53歳女性 凶器:包丁  被害者53歳女性(未遂)

六件目、加害者51歳男性 凶器:鉈   被害者38歳男性

七件目、加害者 岡村   凶器:彫刻刀 被害者 俺 (未遂)

八件目、加害者 辻斬り侍 凶器:日本刀 被害者33歳男性

九件目、加害者 辻斬り侍 凶器:日本刀 被害者 ナントカ(セーフ)


「ちなみに一番被害者が重症なのは八件目な」

「右手首を切り落とされたとかいう」

「動機もないし、完全に凶器の呪いにやられたって感じ」

「共通点の刃物って所も村正の呪いが感染したって見立てだから特に意味はなしっと」

丁寧に部長が事実を羅列していき、反復するようにホワイトボードに記入していく。

「これさぁ、最初の事件はどれくらい前なんだっけ?」

部長の問いに四子が資料をベラベラと捲る。

「あーっと・・・。6月1日、4週間くらい前だな」

「それで侍が使ってる日本刀は阿佐ヶ谷のお店から盗まれたと・・・。これさ時系列がやっぱり不思議なんだよねぇ」

改まって部長は腕組みをしていつもの考え込むような素振りを見せた。

「真理ちゃんと四子ちゃんさ、そもそも呪いってどうやったら感染つるのかな?」

「そうね。道具から道具へ、という事なら、物理的な接触が一番簡単かしら」

「それか分けるとかな。物を分けても呪いは簡単には消えねぇ。細切れにするとかだと話は別だけどよ」

「分けるって、壊すとは違うんですよね?」

気になったのでここで質問。

「分けると壊すの違い・・・。ラーメン屋の暖簾分けみたいなもんだよ」

なんだその例えは、分かったような分からないような・・・?

「分けるは分解とも言い換える事が出来るのかな。呪いの人形とかパーツで分けても呪いの人形の腕とかになりそうじゃん?」

部長が言うのなら一旦そういう事にしておこう。

「どちらにしても刃物を分けるというのは、相当無理があると思うのだけれど」

「だよね〜。まぁ呪いの感染については大体私の思った通りだったからそのまま勧めるけど、じゃあ盗まれる前の刀と最初の事件の包丁が接触したのは”何時何処いつどこ”でって話。だって刀が盗まれたのは1週間前でしょ?4週間前の事件の時にはまだお店のショーケースの中にあった訳だからさ」

部長の言う不思議について、考え込んでいた所に四子が思いついたように言った。

「そういえば可能性、もう一つあるな。元の呪具を作り出した()()がまだ生きているって可能性が」

ミステリ?

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