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恋愛とは……と語っているが、結局は女と男では考え方が違う。
どんなに男らしい女性が言ったとしても実際の男性の言葉とは違う。だからと言って、自ら男性に恋愛相談を言うのも気が引ける。
例えば幼少期からの幼馴染みとかなら別なのかも知れないが、男の幼馴染みと言うモノを知らない自分にはこの話題は、チンプンカンプンだ。
木下武尊は仕事後の一服を嗜なんでいた。
これ迄の登場人物達は相原の友人・樋口以外は愛煙家だと言う事を頭の片隅に置いといて欲しい。
さて、話を戻そう。
木下が一服していると、にぃやんと言って現れたのは同じくして仕事後の一服をしに来た相原だ。
「お疲れ、どないしたん?」
「いやぁ、ちょっと……」
「……?」
相原と木下は血縁関係はなく何なら、相原がこの職場に就職してからの仲だ。
だが、相原にとって木下は何でも話を聞いてくれる兄的存在……いや、この職場では、の方が正しいのかも知れない。
初めのうちはちゃんと、木下さんと呼んでいたが知らぬ間に、にぃやんと呼び始めた相原。
「あのですね、男の人って7つも上の人に恋愛感情湧きますかね?」
「うーん、どうなんやろ……女が7つ下なら分かるけど、オレの嫁がそうやし」
「ですよねー」
「なんか、あったん?」
実は、と話を続ける相原に只々相槌をうつ木下。
「今絶賛片思い中でしてー、その彼がどんな人なのかイマイチ分からないんですよ」
「その人が7つ下って事?」
「はい、そうなんです」
「職業何してる人なん?」
「同じ介護士です」
「え、良いやん、同じ職業なら話が合うんちゃう?」
「うーん、あまり自分の事、話さなくて……」
意外!!と驚かれている人もいるだろう。
あの相原が直ぐに長原の名前を出さない事に。
実は相原、あれ程お姉様方達に長原が好きだ!!と言っていたが、異性の木下に反対されるのが怖いのだ。だから、なかなか長原の名前が出せないのだ。
「でも、相原ちゃんはその彼が好きなんやろ?」
「はい、好きです」
「なら、躊躇わずに話いよ?」
「うーん、でも、長原さんですよ?」
「え、あ、うん……え、そうなん?」
意を決して名前を出した相原に驚きはしたが、どこか分かってたよ?という声色で話す木下。そんな、木下に少し不思議に思う相原が、
「え、そんなに驚いてない」
「うーん、80%は分かってた」
「マジで!?」
「だって、俺がおる所で皆と話してたやん?」
80%も分かっていたにも関わらず相原本人に、長原の事好きなん?と聞かなかったのは、木下の優しさなのかもしれない。
「残りの20%は?」
「うーん、相原ちゃん本人の口から聞かな確証は出来へんなーと」
やっぱり、木下は優しい男だ。
だが、これで残り20%の相原が長原の事を好きだと分かった。
「まぁ、頑張り?」
「え、は、はい」
「相手はあの長原やで、一筋縄ではいかんで?」
「ですよねー」
「俺に出来る事があったらいつでも言えばえーしな?」
「ありがとうございます!!」
「応援してるで?」
相原の中で反対されると思っていたが、木下は反対もせず協力するとまで言ってくれた。
その後、好きになった切っ掛けやどういう所が好きなのかを聞く木下に先程まで不安だった筈の相原はそんな素振りも見せず、長原の好きな所を話し出した。
「あ、そう言えば、長原はラルクが好きやで?」
「はい、知ってます!」
「流石やな」
「えへへ、この前LINEのトップ画見たんですよ」
「え、LINE交換してるん?」
「いえ、してません!!」
以前、姫崎が長原とLINE交換をする為に手伝ったついでに長原のトップ画を見たのだ。
「まぁ、俺もあんまり喋らへんからなー」
「え、そうなんですか!?」
男同士、色んな話をしているもんだと思っていた相原に、せやでと愛想の良い顔でいう木下。
さて、これまでに出て来た登場人物達。
普通なら主人公を入れて5人ぐらいが丁度良いのかも知れないが、この話はまだまだ登場人物が増えていく。
なんなら、まだこの話の主人公・相原梢の片思いの長原すら出て来ていないのだから……
初めまして、安江です
【この歳で、只今絶賛片思い中】
をここまで読んで下さりありがとうございます!!
まだまだ相原の片思いの長原が出て来ないですが、
そのうちひょっこり出てくると思いますので
これからも読んで頂けたら嬉しいです!
もし良ければ、評価・レビューよろしくお願いします