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歳をとる事で女は魅力的になっていくもんだ。

自分の母親はそんな事は無い!と言う人もいるかもしれないが、実はその母親もまた外の世界に行けば凄く魅力だったりする。

家の中と外では女は変わるのだから……と昔の実体験なのだが。

だが時として歳をとれば、女は恥じらいを捨てる者もいると言えばただの変態だと思われるが、子供位の若者に対しては特にそうだと感じるがそれでも、やっぱり母親は強い。


「相原ちゃん、昨日吐いたんやって?」

「……え?」

「姫ちゃんから聞いたでー」

「……あ、はい、我慢出来なくて」


前回出てきたお母ちゃん改め黒木紫(クロキユカリ)は、夜勤で来た相原へまるで挨拶をするかの様に言った。

あの相原ですらタジタジになる存在の黒木はこれこそ大阪のお母ちゃん!!と言ってもいい程の貫禄と落ち着きを持っている。


「流石にあの飲み方は、死ぬよ」

「ハイペースだっもんなー」

「あはは」


そう言えば相原が喋る時は必ず酒が入っていた気が……流石に仕事前に飲む事は出来ない、いや、絶対にしてはいけない。という事は、仕事中の相原は実は凄く落ち着いた女……


「いやぁ、マッコリが駄目でした!」

「それに、そんなに食べてなかったもんねー」

「相原さん、いつもそうなんですよー」

「そりゃ、食べな死ぬって」


いや、相原は酒が入ってない素面でも同じテンションだった。相原の一言で昨日の出来事を次々と暴露していく荒田・原本・姫崎。

そう言えば、相原が長原の事を好きだとまだ黒木は知らない。

いつもの相原ならそれこそ唐突に黒木に言うものだと思っていたのだが、なかなか言わない。

実は相原、酒が入らないとなかなか自身の思いを伝える事が出来ない……


「あ、うち長原君の事、好きなんですよー」


いつもこの私の言葉とは反対の行動を取る、相原。

今回も唐突に告白してしまった。

そんな唐突発言に黒木は驚きもせず叫びもせず、相原の言葉を黙って最後まで聞いてから、


「あ、そうなん?で、私は何をしたらえーんや?」

「……!?」

「え、協力して欲しいから言ったんやろ?」

「ま、まーそうですけども……」


柔軟性が豊かな黒木に戸惑う相原に周りにいた人間達は、やっぱり黒木さんに言って正解だったのかも……と思っている。


「てか、どこまで進んでるんや?」

「先ずは、LINEを知る所からです!!」


好きだと自覚して早1週間も経っているからには何かしら進展はある筈なのだが、相原自身こんなに色んな人と話せるのに恋愛になると凄く奥手と言うかなんと言うか……

これでも32年間1度も恋愛をしていない訳では無い。だが、片思いともなると話は別だ。


「いやぁ、片思いなんて15年ぶりなもんで」

「え、今まで付き合ってきた人おるんやろ?」

「はい、いますよ?なんなら、3ヶ月ほど前に別れてますし」


高校2年生を最後に片思いをした事が無い相原。勿論、好きになった人はいたが他とは少し特殊と言うかなんと言うか……そんな恋愛しかしてこなかった。

今まで告白はされた事はあっても自分から恋に落ちる事も無ければ、告白も無い。しかも、両想いで付き合うのではなく約2週間で相原自身が相手を好きにならなければ別れるそんな恋愛しかした事がない。

ともなれば、約15年ぶりの片思いがどんなに大変なのか、ご想像付くだろう。それに、15年前の片思いだって幼馴染みの先輩を好きになったからある程度は相手の事を分かっている。

だが、今回の片思いは全く情報源ゼロの長原だ。



「長原さん、元ゴルフ部だよ?」

「え、今その情報いる!?」

「それから……」


夜勤業務に一段落付き日勤の就業後、姫崎が煙草に火を付け1口吸ってから唐突に話し出した。

姫崎は2回ほど長原と趣味のゴルフに行ったことがある。勿論2人でわなく数名とだが。その時に色々と話し込んだみたいだ。


「なぁ、LINE教えてやー」

「え、自分で聞かなきゃ意味無いでしょうよ!」

「ケチー」

「ケチと言われてもねー」


好きならば自分で聞くのが道理だ。

だがそれ程仲も良くない相手に急に、Hey!兄ちゃん、LINE教えてや!!と言う軽いノリで言えるほどの度胸は、相原にはなかったりする。


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