表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/16

1

漫画やドラマで年の差婚やカップルの話はよくある事だが、現実は?と聞かれるとSNSの中だと沢山いるけれども、結局は自分と住む世界が違う!!と言ってしまう人が大半だ。まだ、20代なら恋愛に夢を見ていても良いかも知れないが30代にもなると、恋愛に夢を見るなんて!!と思う女と、いやいやこれからでしょう!!と変な気合いを入れる女の2種類はいると思う。勿論、未婚者限定だ。

そんな30年と2年程過ぎた独身生活を楽しんでいるこの相原梢(アイハラ コズエ)もこの2種類の内の夢見るなんて女子……いや、女だ(流石に30歳過ぎた女性を女の子と言う訳には、いかない)

きっと、これからも恋愛とは無関係な人生を……


「うち、長原のこと好き!!」

「はぁ?!」


いやいや、聞き間違えだ!!

ビールジョッキに半分ほど入っていたビールを一気飲みしたこの独身女、相原梢は恋愛と無関係な……


「せやから、長原のこと好きって、気が付いた!!」

「何、急にどないしたん?」


本当にどないしたん?だ。

相当酔っているのかと思われるが生憎、相原はザルだししかも顔にも出ない、なんなら生中5杯目にしてやっと血色のいい顔色になった位だ。

そして、急に相原からの自覚宣言を受けた同じ職場の原本みなみは、持っていたアイコスを取り分けていたタルタルソースがたっぷり掛かった唐揚げの上に落としたのも気が付かず、今にもテーブルの上に倒れ落ちるのではとなる位、相原に向かって前のめりに詰め寄った。


「ちょっと、待ってや?整理させてよ」

「うん、あ!生おかわり!!」

「えーっと、相原ちゃんが長原さんの事が好きやと、で、いつからなん?」

「え、今!!」

「……今って、今!?」

「そう、ビール一気飲みしたら気が付いた!!」


相原はケロッとした顔で本日6杯目のビールをあたかも最初の1杯かの様に美味しそうに半分ほど飲んだ。言っとくが、ビールが、6杯目であって他にも焼酎(芋)や梅酒などを(全てロックで氷が溶け切る前にお冷の様に飲み干している)挟んでいる。

この説明文みたいなのだけ読んでいれば、可愛くねーなーと世の男共は思うが、相原は酒が入ると……


「こんばんはー!!」

「あ、どーも」


隣のテーブルに座っている知らない中年のオッサンとも仲良しになってしまう程の愛嬌ある可愛い……いや、黙っていれば綺麗だが、素面では可愛いを突き通しているから、可愛い奴なのだ!!


「なぁ、相原ちゃん、長原さんのどこが好きなん?」

「うーん、さぁ?好きってなったから、好きなん」

「……そーでっか」


原本よ、分かるぞ、その呆れ。

何を隠そう、相原は男みたいな考えを持っている。あ、冒頭でも言ったが相原梢はこの世に誕生して早30……うん歳ずっと女だ。だが、偶に唐突的に男性脳になってしまう事がある、(しつこい様だが)そんな女なのだ。

さて、話を戻そう……いや、進めよう。

先程から出てくる謎の男、長原とはどんなやつなのか?

これまでに分かっている事は、

相原と原本両方が知っている。

相原が好きになる程、魅力的……なのか?

この情報だけでどんな男なのか分かったらきっとその人は、鳥取砂丘の砂中から梨の種を余裕で見付ける事が出来るだろう!!


「相原ちゃんが、長原さんを、あの長原さんを好きなんて……」

「まぁまぁ、好きになってしまったんやからしゃーないよ」

「本気なん?」

「うん、本気だよ?あ、ビールおかわり!!」

「なぁ、明日も仕事やで?」

「へーきだよ、だってまだ23時だよ?」


実はこの2人、18時に仕事を終えてその足で飲みに着ているのだ。

タルタルソースがたっぷり掛かった唐揚げの上に落ちたアイコスを知らない間に拾い上げた原本が、1つ大きな溜息を吐いて相原に一言。


「ウチとアンタの年考えてくれ!」

「……ふぇ?」


そう、会話文だけ見ていたら相原と原本は同い年と思うだろうが、相原32歳、原本52歳という年の差20歳なのだ。

下手したら、親子とも言えるこの2人。

実際、原本と同い年もしくは年近い人ならこの5時間の飲み会がどれ程シンドいかお分かりかと、しかも、8時間動きっぱなしの仕事を終えてからの5時間の飲み会だ。きっと相原と年近もしくは同い年の人も分かるだろうこのシンドさを。

だが、相原は体力お化けだ。

勿論、夜勤明けの時は死んだ様にお昼から真夜中まで寝続けるが、それでも体力お化けだ。

たった5時間でしょう?と言ってしまう前に、原本はどうにかしてこの飲み会を終わらせなければならない。きっと年上らしく、優しく相手が傷つかない様な言葉で、


「うち、眠い、帰るで!!」

「はーい」


……人は時として物事をハッキリと言わないといけないのだ。



今後どうなるのか、そして、この話がどこまでハッピーに満ち溢れたモノになるのか、実はまだこの自分ですら結末を知らないんです。

だってこのお話、アナタがいる現実世界(リアル)で起きているんですから。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ