[00:05:42]
「ひとし、お前がすずかを作っただって? いきなりそんな事言われても……まあそれを信じるとして、何故そんなことをしたんだ」ケンは俺とすずかを見比べながら聞いてきた。
「それは……ある事情があったんだが、もう時間がないな。ケン、メモリーボックスを渡してくれないか」
「え、なんだよ急に、まだ話しは終わってないぞ」
「いや、時間が残り少ない。先にそれを渡してくれ」
「まだ全部聞いてないぞ。それにこれは関係ないだろ。何をしようとしてるんだ?」
「バグを取り除く。それによってプレイヤーはここから脱出できる」俺はケンとヤマトを見て言った。
「本当か?」ケンが顔をしかめた。
「それは……具体的にどうするんだ」ヤマトが何かを察したように呟いた。
俺は銃口をすずかに向けて言った。
「すずか、信じてくれ」
「アタシは……」すずかが俺をまっすぐに見て呟いた。
「ひとし! なぜそんなことを! すずかを倒してどうなるんだ」ケンが大声で叫んだ。
「すずかがバグである以上、すずかが存在している限りこのゲームは終了できずに、また繰り返してしまうんだ。俺だってこんなことしたくない! だけどみんなと、何よりすずかのためなんだ」
[00:02:29]
「アタシ、ひとしを信じるよ!」すずかが叫んだ。
「ありがとな、すずか。ケン、メモリーボックスを渡してくれ、そうしないとすずかを撃つ」
「わけわかんねえ、渡しても撃つんだろ?」
「ああ、だけど納得してもらって終わらせたいんだよ」
「このまますずかを撃つだけだとダメなんだ。だから撃てない。なあ、もうすぐ時間だからまたやり直しになる」
「いや……でも、俺がメモリーボックスを渡さない限り、このまま持ってたら俺が記憶を引き継ぐことになるぜ」
「そうだな。だけどその場合でも俺は次のゲームですずかを撃つよ。俺がこの考えに至ったのは前回のゲームでのことだから、俺は次のゲームでもずっとこの考えを持ち続ける」
[00:01:02]
「ふざけんな!」ケンが言った。
「ケン、メモリーボックスを渡そう。俺はひとしを信じるよ」ヤマトが俺を見てそう言ってくれた。
「俺だって別に信じてないわけじゃねえよ」ケンはメモリーボックスを投げてきた。
「ほら、これでいいのか。すずかが撃たれる所は見たくねえから、後ろ向いてるぜ」ケンはぷいっと後ろを向いた。ヤマトをもそれに続く。
「二人ともありがとう」俺はすずかをの方を向いた。
「すずか、すまない。これで終わり、いや終わりではない、か」俺は銃の引鉄に指をかけた。
「いいよ、行こう」すずかは俺を見て確かにそう言った。
[00:00:25]
バンッ!
俺の放った弾はすずかの胸を貫いた。アンドロイドの核のある部分を正確にだ。
[00:00:10]
すずかの身体が地面に倒れていく。
「ケン、ヤマト、ありがとな」俺は二人にの顔を見てしっかりと別れを告げた。
[00:00:00]




