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突如、身体がボッと持っていかれるような衝撃波と共に物凄い爆発音が町中に響いた。
周囲を見回すと、遠くの方に黒煙が上がっているのが見える。
「なんだこりゃ、前回はなかったぞ!」ケンとヤマトが互いに顔を見合わせて驚いている。やはりこの爆発に関しては知らないようだ。
ケンとヤマトの前回の記憶にない爆発。確かすずかも知らなかった。
てことはやはりこの爆発は何かのアクシデントなのか?
「行ってみよう」と提案すると、二人は驚きの表情を見せた。
「君子危うきに近寄らず、トラブルの中心に自分から行くのは愚行だぞ。さっきの爆発はヤバい規模だ」とケンが俺に向かって言った。
「いや、あれは前回もあったんだよ」そう言うと
「なに?」ケンはヤマトを見た。
「いや、初めてだ」ヤマトは首を振ってそう答えた。
「てことは、今までと違うことが起こってるってことだな」ケンはニヤリと笑って言った。
自分の知っている情報は自分だけが知っていることかもしれない以上は下手に公開しない方がいいのかもしれない。だが俺はもう二人を信じることにしていた。
「行くんだよな」少し急かすように二人に問いかけた。
「行こう」とケンが言った。
ケンとヤマトが先導して爆発音のした方へ走り出した。俺は後方支援を担当した。
曲がり角や起伏が多くて見通しが悪かった町が、爆発の衝撃によってメチャクチャになり更に複雑になっていた。
途中BAGからドリンクを取り出した。手元にドリンクが現れそれを飲むと体が少し楽になった気がした。
「なあ、このドリンクってどんな効果なんだ?」
「あ? それは気力回復できるってだけで、あんまり意味ないぜ。昔のゲームの回復薬の雰囲気を味わうだけのもんだ」
「ライフポイントみたいなシステムってあるのか?」
「ねえよ、見りゃわかるだろ。撃たれたら痛いし普通に出血して死ぬぜ。そのドリンクは気休めだ」
「やはり現実なんだなここ」ボソッとこぼすと、ケンとヤマトは顔を見合わせて黙った。
「そう、ここは現実なんだよ。ひとしはどこまで知ってるんだ?」ケンが歩を緩めながら改まって聞いてきた。




