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[00:54:31]

「俺の名前はひとし。お前と戦う気は無い。話を聞いてくれ」


「僕はカルベル! なんなんですかあなたは!」


「突然すまん、お前前回の記憶があったりするのか?」


「は、はあ? 何言ってんですか? 僕はさっきこのゲーム始めたばかりですけど」


 やっぱ記憶がない奴もいるのか。一体何回繰り返してるのかわからないが、こいつは一度も生き残ったことがないのかもしれない。


 いや、メモリーボックスを手にいれた事がないだけなのかもしれないな。


「あの! これはソロで戦闘するゲームですよね。こんな風に話してたらチーミング疑われますよ! まずいんじゃないんですか?」


「大丈夫だ。チーミングはみんなやってる。だからこそお前も俺と組まなければ生き残れないぞ。俺は何回かこのゲームやってるからわかるんだ」


「そ、そうなんですか? わかりました。もうどうせあなたに負けて今死んでたようなものですし、着いていきますよ」


「素直だな。よろしく、とりあえず町に行くぞ」


 カルベルといっしょに町の方へ歩き、丘の上から町を見渡すと、通りには複数の人影が見えた。


「ひとしさん! 町にプレイヤーがいっぱいいますよ!」


「あれはゾンビだ」


「あー、アレがゾンビなんですね。説明に書いてあったな。ひとしさんやっぱり慣れてるんですね。ソンビたちは強いんですか?」


「大したことないぞ。動きも緩慢だし、走って逃げ切れるしな。もし襲われたら足を撃てばいい。」


 カルベルにアドバイスしながら町へ進んだ。




 タイマーを確認する。


 [ 00:46:33 ]


 まずいな。今回はだいぶタイムロスしてる。やはりカルベルを無視してさっさと町に来るべきだったかもしれない。


 こいつは完全な初心者だったし、ゲームの状況については何も知らなかった。このゲームが繰り返してることを詳細に説明してる暇はないからとりあえず連れていくことにしたが、すずかたちはなんて言うだろうか。




 町に着いて通りの角から覗くと通りにはゾンビたちがウロウロしている。確かここら辺で前回もすずかが後ろから来たはずだが、今回は時間がかなら過ぎてるな。


 後ろを振り返り、民家の裏から辺りを見回してもすずかの姿はない。


「ひとしさん、だいぶ警戒してますね。それとも何か探してるんですか?」


「ああ、連れがいるんだ。女のプレイヤーだ。見つけたら教えてくれ。撃たないでくれよ。話したいんだ」


「なんか思ってたゲームと違うなあ。みんなチーミングして弱いやつイジメてるんですか?」


 そう思っても仕方ないだろうな。とりあえずここにいてもしょうがないな。


 前回の時にすずかと向かった方向に進むことにした。ケンとヤマトが倒れた振りをしていた場所に。

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