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ビルを出て二時の方向に向かおうと通りに出ると、さっそく銃弾が飛んできた。すぐ足元に着弾したのを見て咄嗟に建物の影に入る。
「裏から行くぞ!」ケンが指で示した方向に全員固まって向かった。
裏通りを駆け抜けながら、ケンが作戦を話してきた。
「あのビルの隣のビルに向かおう。屋上伝いに隣のビルに移って奇襲するんだ!」
全員納得し走った。
隣のビルの裏口まで来て、そこから中へ入った。階段を駆け上がっていく間にも、たまに上から銃声が聞こえていた。
さっきのスナイパーライフルの音だ。ヤツらが屋上から撃ってるんだろう。
全員で屋上に出て、隣のビルとの間に向かった。給水塔の影に隠れながら音を立てないようにジリジリと距離を詰めた。
ビルとビルの間は1.5mほどだ。楽に飛び越えられるほどの隙間でフェンスもない。まあ向こうに飛び移るのは愚策なのでここから狙い撃つのが無難か。
8mほどまでにじり寄り、この距離なら仕留めれると思い、銃口を向けたその時後ろで物音がした。
ババン!
どこにいたのかわからないが俺たちの後ろから1人の敵が現れ撃ってきた。
振り返った時には後ろにいたヤマトの身体が倒れるところだった。
ヤマト! 上半身撃たれた? 死んだか! ショットガンか! この威力、00! ヤバい!
まさに刹那の瞬間。敵の銃口が俺の方を向いたその時!
バァン!
銃声が響くと同時に敵は真下に落下した。
すずかが敵を仕留めてくれたようだ。
こいつの仲間がくる! すぐに隣のビルの敵を迎い撃たなければ! しかしケンの大声が耳を劈く。
「撤退!」
マジかよ! と思いつつ身を隠しながら階段に向かう。なんとか階段まで行き、三人で駆け降りて行く。
「ヤマトが死んだ! クソ!」ケンはそれだけ言うと黙って階段を駆け降りている。悔しさを押し殺しているのだろうか。




