［00:59:32］
「うわ、うわああああ！」
ゴオオオオという風の音と共に、重力に抗うことなく俺の身体は真っ逆さまに落下していた。
落下してまもなく、うっすらとした雲を抜けると、眼前に地上が広がった。島だ！下には島がある。
あああ！ なんか思い出してきたぞ！ 身体が風を切る感触、風圧で揺れる顔の肌、これは前にもあった体験だ！
恐怖心から目を瞑った瞬間、ひどく長く感じるくらいの走馬灯を見た気がした。しかし目を開くとそんなものは全て忘れるくらいの衝撃を受ける。それを3回くらい繰り返しながら落下し続けると、だんだんと地上が近づいてくる。
これもうダメだろ！ と思ったその時、背中が振動して身体がガクンとなり急に落下速度が遅くなった。
背中でパラシュートが開いたようだ。このスーツはパラシュートだったのか。急に減速しフワフワと落下し始めると冷静なってきて地上を見る余裕が出てきた。この感覚前にもあったぞ。
地上までだいたい200m、パラシュートを操作して少しでも森に近いところに降りることにした。
100、50、30mと段々地上が近ずいてくる。そして足への強い衝撃と共に地面に落下した。
「よっと」
空中からパラシュートを捜査したおかげで、最初から森の中に降りることができた。
足に軽い衝撃を感じただけで、痛みは全く無い。なんだか慣れたもんだ。
さて、周囲に人がいる気配はないが、おそらく同じように降りてるヤツらがいるはずだ。油断はできない。
とりあえず森を抜けて町へ行こう。もし人に出会ったら、相手の出方次第では.......戦闘だ。
その時、パン！ パンッ！ と立て続けに音が鳴り、5、6mほど向こうの木々に人影がチラリと見えた。
どうやら人が隠れていたらしい。この距離で当てれないという事はそんなに銃の腕はよくないな。
驚くほど冷静に距離を詰め寄り2mほどまで来た時、相手が木から顔を出してこちらに銃を向けた。
向こうが撃つよりも先に、冷静に狙いを定め眉間を狙った。
パンッ！
身体が覚えている銃の撃ち方。慣れたもので一発で仕留めた。
相手は男だった。眉間の弾痕から血が出ておりピクリとも動かない。
「やっぱり繰り返してるよな」
自分自身に問いかけた。こんな光景を前にも見た。敵が撃ってきて俺も躊躇わずに応戦した。
時間が戻ってる──。
と言うより繰り返してるのか。
俺はさっきまで確かに同じようなゲームをしていた。
そう、ゲームだ。あいつがこれをゲームと言っていた。あいつに会わなければ、そのために町にいこう。
大丈夫、見たらきっと思い出す。
こうして町へ向かって森の中を歩き始めた。
