第9話 たかが登校だけでも侮れない
あの後、アルファード様とクラウン様が何やら言い争いをしていたみたいだけど、もう、好きにして。
せっかくのリスリル茶の余韻もなく、疲れただけのお茶会でした。
自室に戻り、お行儀が悪いけど、ベッドに身を投げ出してジタバタして、ゴロンと仰向けに向き直り、考えてみる、クラウン様の言葉を、アルファード様にバカなことをしたとか、身分や立場を考え遠慮してたとか、わざわざ、私に近づいてきたのも、もしかして……アルファード様の気を引くため?
まさか、ここって……隠れBLルートなの?
運営側からそれとなくBLルートがあるような思わせぶりがあり、必死になって探していた、あの幻のBLルート!
そうよ…そういえば、同じく幻と言われるあのリスリル茶が、こんな場面で出てくるのはおかしくない? 確か、原作では・・アルファードとカルーアの結婚初夜に部屋に届けられたのよね、そんな、貴重なものが、こんな序盤で出てくるなんて、おかしいわ……幻のお茶と、幻のルート、されに気づいた者だけが先に進める? ……うーん……ありえるかな?
待って、ルドルフはどうなるの? ルドルフもBLルートなの?
えっー、 キモっ。
でも、……一部受けはしそうよね、細マッチョなるルドルフにいかにも王子様のアルファード、うーん、私の好みではないけどね、私だったら、クラウン様との絡みのほうが、好きかなあ、……まあ、いいわ、私の好みはこの際、どうでも.
大事なのは、無事にループエンドを迎えること。
それには、私はどうすればいのかしら? よく考えるのよ。
ぐったりと疲れたお茶会が終わった翌日の登校、アルファード様が寮の一階のロビーで私を待っていた、ええ、なんかいやー ……登校前から疲れたくないんですけど……、
どの学生寮も原則、一階の出入りは自由で、二階からがプライベートスペースの男女別となっているので、他の寮の生徒も一階まではご自由にどうぞ、ってかんじ。
その、広々としたロビーの一角で、アルファード様が、一緒に登校しようと言って不機嫌そうな顔で待っていたのだ。
そんな、不機嫌そうな顔してるならさっさと登校すればいいのに……、なんでこんなことするんだろう?
そう思っていたら、入り口の近くにクラウン様もいらっしゃって、一緒に登校することに……。
めっちゃ疲れるんですけどー、視線が半端ないんですけどー、元々、お二人とも目立ってるって自覚ありますかー?
私は、静かに卒業してループエンドを迎えたいだけなんですけど。
「クラウン義兄様、なんでご一緒に登校されるんですか? 」
「そりゃあ、もちろん少しでも一緒にいたいからだよ、クラスも違うしね。」
けっ、イチャラブするなら二人で部屋でやればいいじゃない、巻き込まないで欲しいわ。
「あれっ、シェリーなんかご機嫌悪い? 」
アルファード様が私の顔を覗き込むけど、BLのだしにされて嬉しい奴がこの世にいるとでも思う?
「いいえ、ただ、学園の注目を浴びるお二人に囲まれての登校なんて、目立ち過ぎてるようでちょっと、気後れしてしまいますわ。」
一緒の登校、嫌なんですよ、通じた?
「なんだ、そんな事か、シェリーが一人で登校したって注目されてるから一緒だよ 」
そんな事ある訳ないでしょう、まったく、お坊ちゃまは空気読むことしないからね、周りがこれでもかって気を使ってくれるからこうなるのかな?
「もしかしたら、クラウン義兄様がいて二人っきりになれないのが嫌だったとか? ……思ってないか、……分かった、…分かったから、そんな冷たい眼で見ないで、怒ってる顔も美人だけどね 」
はあ、思ってるのは私だけなのか、シェリーは私との婚約は義務でしかないのかな…どうやったら笑ってくれるんだろう。
「まるで、私が邪魔者のように聞こえたが……、シェリーは、私がいると嫌なのかな、アルファードと二人のほうが良かった? 」
うん? アルファード様と二人だけ、……いえ、一人がいいんですけど。
「そんなことはありませんが、朝からお二人をお待たせしてしまったようで申し訳なく思いますので、明日からは止めていただければと、」
「私は、待つのは慣れているから何とも思わないし、好きな相手を待ってると思えば楽しい時間にも思えるしね 」
にっこりと極上の笑顔を見せるクラウン様、そんなにアルファード様と一緒に居たいの? ちらりとアルファード様のほうを見ると、
「私だって、シェリーの為なら、何時間だって待てるから! 」
いやいや、待ってくださいね、王太子を何時間も待たせるなんて、どんな悪女なのよ。
って、……私が悪役令嬢でした……ね。
はっ、まさか、毎日毎日、王子二人を当然のように待たせて、自分愛されてますアピールするウザイ女と思わせて、こんな性格の悪い女じゃ婚約破棄もやむなし!
とみんなに思わせる作戦なのかしら? だから、あんな目立つロイヤルの寮の前でわざわざ、待ってますよ、アピールなの?
学校に近い順に、ロイヤル、ノーブル、コモン、の寮が並んでいるので、早くからロイヤルの寮の前で待っていれば、ほとんどの人が見ることになる、だったら、先回りをして私が待てばいい!
明日は、負けない!
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”世界制覇?興味ない、特殊能力は美味いのために!オリジナルダンジョンで俺が出会ったのは、最強の美少女と神(自称)だった。”
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