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第10話 王子さまは甘くない

 翌朝、私が気合を入れて早起きをしたら、カシスが驚いていた。


「お嬢様、どうされたのですか、あまり良くお眠りになれませんでしたか? 」


「ああ、違うのよ、カシス、ごめんなさいね、昨日は、アルファード様とクラウン様が一階のロビーで待っていて下さり、一緒に登校したの、だから、今日はお待たせしたら悪いかなって思って、早起きしたのだけれど、言うのを忘れてたわね 」


「えっ、アルファード様だけでなく、クラウン様もですか 」


「そうなのよ さすがに王子様方、お二人をお待たせしてるのは、あまりよろしくないでしょう 」


 さすが、シェリーお嬢様ですね、あの美形ロイヤルと並んで登校出来るのなんか、うちのお嬢様ぐらいですよね。

 制服なのが残念ですが、どうせエスコートしていただくなら、せめて髪型は念入りにこの私が仕上げさせていただきますので、お任せ下さい。


「ねえ、カシス、朝食は軽めにお願いね、それと髪型は出来るだけシンプルで、飾りも地味なものを用意してくれるかしら 」


「せっかく、王子様方がエスコートしてくださるのですから、それにふさわしいものを身につけられたほうがよろしいのではありませんか? 」


 ……エスコートって、傍目にはそう見えるのか、

 やっぱりね、……あああ、うんざり。


 でも、カシスにも言えないんだよね、アルファード様はいずれカルーアと結婚するからなんて、誰も信じてくれないし。


 それに、未来の王妃になると思って期待してるのが伝わってくるから、ホント、ごめんなさい。


「いいのよ、以前の私だったら、ハロウィン家にふさわしい宝石をって言ってたけど、今の私には不要なの」


 どうせ、王族になんかならないし、ゴージャスで気品あるハロウィン家のご令嬢じゃなくてもいいよね。


 シェリーお嬢様は、クラウン様にまで認められたことで、いい意味で力が抜けたのでしょうか、まあ、宝石などで飾り立てなくても、お嬢様が一番美しい事にかわりはありませんからね。


 それぞれが自分なりに納得したことで、シェリーはサイドの髪を軽く捩じってハーフアップにしてもらい、選んだアクセサリーは小さめのレースのリボンだった。


 カシスに手伝ってもらい支度を整えたので、さあ、気合を入れて行くわよ。



 ……なのに、


 30分早く来たのに、せっかく早起きしたのに、なんで……なんで……増えてるの!


 昨日は、二人だった、アルファード様とクラウン様。

 ……なんで、四人もいるのよ?!


「おはよう、シェリー、いい朝だね、」

「おはよう、シェリー、朝から君に会えて最高の朝だね 」


 アルファード様と、クラウン様、そんなに逢いたいなら部屋に二人で引き籠ってればいいのに。


「おはよう、シェリー、今日からは俺も一緒に登校するから! 」

「おはよう、シェリー、俺も立候補するからな、もちろん一緒に行くぞ! 」


 騎士団長の息子ルドルフと、魔道戦士長の息子のアドウィル。

 なんで、勝手に増殖してるのよ!


「おはようございます、アルファード様、クラウン様、ルドルフ様、アドウィル様、どうして四人ともお揃いでいらっしゃいますの? 」


「もちろん、シェリーと一緒に登校する為だよ 」


 そんなの、嫌なんだけど……


「アルファードは、入学式でも宣言したんだから、素直に私達に譲ればいいんじゃないのかな? 」


「義兄様、譲るなどといった覚えはありません、受けて立つ! と言ったまでです、私が婚約者なのは変りませんから 」


「シェリー、こうして話すのは久振りですね、アルファード様は正式な婚約者なのですから、せめて学校への行き帰りくらいは他の男に任せる余裕を見せて、ご遠慮されてもいいんですよ 」


 アドウィル様、アルファード様にそんな口をきくのはあなたくらいだよ、性格は変わってないんだね。


「ふん、 お前に譲る余裕などどうでもいいんだ、大事なのはシェリーの気持ちなんだから 」


「そうですか、確かに余裕はないようですけどね、一時間も前から待ってるのは、待ち合わせじゃなくて、待ち伏せの間違いなんじゃないんですか? 」


 一時間も前からですって! 

 そんなに自分が待たされてる姿を皆に見せつけたいんですか、甘く見てたかな、

 早急に手を打たなきゃだね。


 あ、明日こそ、負けないから!




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