☆プロローグ
雨は想像より激しかったが、まぁそれもバイクに乗る以上仕方がない。
楽しめるものは楽しむ。濡れたって拭けばいいし。苦楽を共にするから相棒なんだ。
優子は馬鹿とか言いながらも体拭いてくれるし。この光景だって最高だろ。
ぎゅっと抱きしめると、いやいやと言うが顔が赤くなってる。
やっぱいいな。
最初こいつと会った時、道端で座り込んで泣いてて、ちょっと慰めてやったらちょろかった。で、体も良かったからそれ目的で付き合ってたんだけど、最近はすげー可愛く見えて来る。
こういう風に付き合うのも初めてだから、なんかいい。
「寒いし、もう中入ろうぜ~。」
「そだね。」
手をつないでやると、ぎゅっと握りかえしてきた。
建物の中なら過ごしやすいかと思えば、やっぱ同じこと考える奴ばかりだった。
中はごった返し、湿気で気持ち悪い。
さっきからガキの傘が足に当たりまくるし、デートって感じじゃないわ。
流石にこれは長居出来ないなと思ったら、優子は俺の手を引っ張った。
何かと思えば秋物セールをやっているらしい。
ロングTシャツ二枚で500円。ぐしゃっと詰められたワゴンが出ている。
優子は楽しそうに漁り始めたので、一緒に漁る。
ちょっと可愛い系のデザインが多くて、ちょっとな…と思ったけど、まぁ安いしいいか。
良さそうなボーダーを見つけ優子が目を輝かせながら、お揃いで買おうと言ってきた。
じゃあといって、レジへ持っていく。
「袋は分けますか?」
「いえ、一緒でいいです!」
店を出て優子はTシャツを一枚渡してきた。
どうやら濡れたから着替えなよってことらしい。
トイレに行って着替えて戻ると、後ろから優子もやってきた。
俺のイメージじゃないんだけど、お前が笑うならいいか。
優子もお揃いのTシャツを着ている。
はは、やっぱこいつ可愛いな。
「蒸し暑いし、アイス買いにいこうぜ~。」
握る手は固く、手汗をかきそうだ。
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