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◆プロローグ

地下鉄を降りて、駅を出る。


長い階段を登りきると、外は雪がちらつく。

朝確認した天気予報は雨だったが、どうやら外れたようだ。


幸い雪はまだ積もってはおらず、落ちる雪はコンクリートに消えていく。


…早く帰って、家でゆっくりしよう。


「あっ」


駅前の広場を抜けたあたりで、家に晩飯が無いことを思い出した。

仕方ない、コンビニ寄っていこう。


少し歩いて、通勤前に良く行くセブンに立ち寄る。


「いらっしゃいませ~」


この時間のお姉さんはどこかやる気なく、気だるそう。

だが、黒髪ショートで胸もそこそこ、レジ対応でもだるそうに見下す様な目線が実は結構好きだ。


日曜の夜ではまだジャンプは並んでない。

今日に限っては冷蔵庫も寒々しく見えた。

酒はまだあったはずだ。

お弁当のコーナーから塩焼きそばと、夜の晩酌用に割けるチーズを選んだ。


「いらっしゃいませ~」


レジへ籠を置いて横を見ると、まだ肉まんが売れ残っていた。


「あと肉まんと、ホットコーヒーのレギュラー1つ。」


返事はない。

だがレジを打つと無言で肉まんをとり始めた。

開けた時の湯気で後ろに退くお姉さんもまた可愛い。

待っている間おでんも気になったが、流石に舌打ちされそうなのでやめておこう。


「838円です。」

「ペイペイで。」


バーコードを見せて、スキャンするだけ。

電子マネーに最初こそ抵抗あったが、慣れてしまえば現金の方が面倒になってしまう。

世の中便利になっていくもんだ。

ペイペイと音がなってレシートを受け取った。


「ありがとうございました~」


カップをセットして、ホットコーヒーが出来上がるまでお姉さんを見ていた。

目線は一度も合わないし、暇そうに後ろの棚へ腰掛けると肉まんの機械の後ろでスマホをいじり始めた。そういうイメージ通りなところも可愛いな。

雪が降るほど寒い夜だったので、コーヒーに蓋はせず、湯気で温まりながら帰ることにした。


店を出て雪の具合を確認する。

弱まる気配はない。明日の朝も大変だな。

 それでふと思い出す。

 

 ……傘忘れた。


職場出るときには持ってたけど、電車降りる時には持っていなかった気がする。

やっちまったかと思ったが、コンビニの500円傘だったからまぁいいか。

雨じゃなくて、逆に良かったな。


コンビニから暫く直線に歩き、凍えながら歩道橋を越え、家の手前の交差点まで来た。


赤信号


あまり人通りの多くない交差点だから渡れなくはないが、子供の頃から必ず守っている。

昔、一緒に遊んでくれた大学生がつまらないところで運をなくしたくないと言っていたのを今でも思い出すからだ。


そういえば、さっき支払いする時メッセージが来ていた気がする。

ダウンのポケットからスマホを取り出し、画面を見るとラインが一件入っていた。


 『姉:明日飲み会だから夜泊めて~』


あぁ、いつものか。


 うちの姉――(かおり)とはそこまで仲が言い訳ではないが、決して悪くもない。

 いい意味でお互い干渉しすぎず、それでいてお互い必要な時には連絡しあうくらいの仲。

香も同じ星雲市に住んでいるが就職してすぐ結婚し、郊外に一軒家を買ってしまったので、飲み会などの際は良く俺の家に泊まりにきていた。

 

 『いいよ。何時頃?』


送信してポケットにしまった。


 両手を口の前に合わせ、息で温める。

 遠くから鳴り響く重低音、バイクの音だろうか。


 信号が青に変わった。

 さっさと帰ろう。


早く帰って、酒飲みながらガキ使みよう。


横断歩道に足をかけた時、先に聞こえていた重低音はより大きくなり近づいてくる。


 ――様子がおかしい。


 振り向こうとした時にはけたたましい爆音と、金属のこすれる嫌な音が木霊し、


 強い光が目の前に広がって――――…

ご覧頂きありがとうございます。

隔日投稿の予定です。

少し重めの内容が続きますが、よければ宜しくおねがいします。


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