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子犬の名前

データが消えてしまいまして⋅⋅⋅⋅⋅⋅更新遅れました。

二人して俯きながら、ぶつぶつと何かを呟いている。足元では、黒い子犬が自分の尻尾にじゃれて遊んでいた。


少しして互いに顔を上げて向き合い、徐に話始める。


「やっぱりポチとかクロで良くないか?」


「ないないないない!もっとカッコよくしないと!」


トリアは大袈裟に驚いた後、右肩を後ろに下げ、右手で顔を覆うようにする。


少し中二びょ⋅⋅⋅⋅⋅⋅痛い感じの(全然オブラートになってないな)格好をして、


「聞いて驚け、私の考えた最高の名前!」


たっぷりの溜めを作ったあと、顔を覆っていた手を前に伸ばして、


「その名も《暗黒牙犬(シャドーブレイド)》!」


「いや、だせーよ!てかどうやって読むんだよ!牙=ブレイドとかよけい分かんねーよ!」


⋅⋅⋅⋅⋅⋅ふぅー。まさかの答えに口が悪くなってしまった。


でもそればないだろ?シャドーブレイドって、呼ぶのも嫌だよ。


「えー、いいと思ったんだけどなぁ。なら《深淵龍狼(アビスフェンリル)》は?」


「怖い怖い怖い怖い!トリアの思考が分からない!」


ガルルルゥゥ!


こいつだって怒ってるじゃないか。ちょっとばかし、こいつがトリアと同じ感性をしてたらどうしようかと心配したが、よかった。


トリアに聞いたのが間違いだったと思いつつも、これでまた振り出しに戻ってしまった。


「お前もさぁ、何か提案はないのか?」


どれだけ考えてもいい案がなく、冗談混じりに足元の子犬に問いかける。


すると、ワン!と一つ返事したあと、前足で地面に線を書き始めた。


線、とわかったのは、単に地面を掘るのではなく徐々に移動しながら掘っていたからだ。


頭の上に?を浮かべつつトリアのほうを見ると、トリアも同じようにこっちを見てきた。特になにも言わずに再び下を見る。


店裏の土が掘り起こされたところだけ黒っぽくなっていく。最終的には読むことが出来る文字(・・)になっていた。


「「ジーズ?」」


わふ!


ジーズか、こいつの反応からしても間違ってないのだろう。それに、


「⋅⋅⋅⋅⋅⋅いいな。」


「そう~?やっぱりアビスフェ⋅⋅⋅⋅⋅⋅」


「ジーズでいこう!」


うん、ジーズにしよう。自分から言ってきたわけだし、少なくとも、いや絶対的にアビスなんとかってのよりはいい。


「むぅ~。まぁいっか。自分で言ってるんだし。」


「そうゆうわけで、お前はこれからの《ジーズ》だ。」


ワン!


思わぬ方法ではあったが、やっと問題解決だ。これでぐっすり寝られるぞ!(解決しなくても寝れるとは思うけどな。)


「とにかく名前も決まったことだし、私の⋅⋅⋅⋅⋅⋅とリヴァルのお部屋に行こ。」


「わかった。」


というわけでトリアと、そして俺の部屋向かった。


「⋅⋅⋅⋅⋅⋅ジーズって、犬、だよな?」


わふ、


何故か俺の言葉を理解しているらしいジーズへの少しの違和感を感じた。が、ジーズは一瞬こっちを見ただけで、すぐに前を向いてトコトコと歩き始めてしまった。







「ただいま~。」


「お邪魔します。」


トリアに連れられて、扉の中に入る。

入って直ぐのところはリビングのようで、一人用よりは少し広めの部屋があった。


「もぅ~。これからはリヴァルの部屋でもあるんだから、お邪魔しますじゃなくて、『ただいま』ね?」


「た、ただいま。」


「はい、おかえり~。」


言葉を指摘され、言い直す。何気なく『おかえり』と返してくれたのだろうが、こうやって返事をしてくれる人がいるというのは案外嬉しいものだな。


少し感傷に浸りつつ、リビングに入る。


リビングはいくつかクマさんのぬいぐるみが棚の上にあったりと女子らしいところもあるようだが、思ったより真面目だった。


部屋の中央に床に座るほうの丸テーブルが、薄いピンク色をしたカーペットの上に置いてあった。


「キッチンは入って左のところで、その先にお風呂とトイレもあるからね。で、右の扉のほうが寝室ね~。あ、リヴァルの前の部屋にあった荷物は寝室に置いてあるから、整理しといてね。」


「わかった。」


部屋の粗方の説明を終えると、トリアは何か楽しそうにキッチンへと向かった。


俺は荷物整理をしておきたいので、寝室に向かう。ジーズもついてくるようだ。


「失礼します。」


何か他人(・・)の寝室に入るのは緊張するな。


そんなことを考えつつ寝室に入ったので、少々、いやだいぶ驚くことになった。


寝室に入ると、ベッドの上に俺の荷物が入っていると思われる袋がある。あるのだが、それ以上に気になることがあった。


「ベッドが横並びに、二つ?」


わふ!わふ!


俺の荷物が置いてあるベッドと、ジーズがピョンピョンと跳ねているもう一つのベッド。


「俺以外にここに住む人はいないし⋅⋅⋅⋅⋅⋅これは俺の分とトリアの分、と考えるべきなのだろうか。」


そうなると少し問題ではないか?部屋の大きさ、形からしてもベッドを離そうとすれば扉を塞ぐことになってしまう。


つまりだ。まだ少しばかり仲の良いだけの男女(だよな?嫌われてはないよな?)が一つ屋根の下、隣同士で寝ることになるのだ。


これは非常に問題である。といってももしかすると俺の思い違いかもしれない。後で聞くこととしてまずは荷物の整理をする。


未だにピョンピョンと遊んでいるジーズを抱きかかえ、袋から荷物を出す。


入っているのはポーション入れのバッグと、俺の武器である鉄の剣、あと剣の手入れ用具だ。


それぞれ手頃な場所に置いて、日課である剣の手入れを始める。


以前使っていた剣は希少なミスリス製だったのだが、追い出されるときに没収されてしまった。


今持っている鉄の剣は自分で買ったもので、ごくごく単純な剣である。


鉄なので、こまめに手入れをしないとすぐに錆びてしまう。モンスターの体液などが残っていると一瞬だ。


キュッ、キュッ、シャー


ハフハフハフハフ


剣の手入れとジーズのハフハフという息の音だけが響くなか、どことなく美味しそうな匂いが漂ってきた。


「この匂いは⋅⋅⋅⋅⋅⋅。」


「リヴァル!ご飯できたよ!」


覚えのある匂いに一人言を言おうとしていると、勢いよく扉が開け放たれてトリアが入ってきた。


「あ、剣の手入れ中?後にする?」


「いや、もう終わるから大丈夫だ。」


最後に目の細かい布で刀身を拭いた後、カシャンと小気味いい音を立てて鞘に戻す。


リビングのほうに向かう前にベッドについて聞こうとしたのだが、


「そういやトリア、このベッドなんだが⋅⋅⋅⋅⋅⋅」


「早く!早く!ご飯食べよ。」


トリアの頭にはご飯のことしかないらしく、俺の手を引っ張ってリビングに連れていかれてしまった。その後をジーズもついてきた。

名前はジーズに決まりました。


ベヒモスと並ぶ鳥の怪物、《ジズ》って知ってます?


感想、評価、ブクマよろしくお願いします!


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