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お久しぶりで

「ふぅ⋅⋅⋅⋅⋅⋅私としたことが、少し取り乱してしまいました。」


ギルドの一角にあるテーブルで俺の隣に座るのはファルカ、そして向かい合うのがやっと落ち着いたらしいハシビロさんである。


少し前。俺たちがパーティー申請を済ませて買い物に行こうとしていたところを突然呼び止められたのだが、なにぶん慌てていたようで全く話が伝わって来なかった。


そう言うわけで、一旦落ち着こうと今に至るわけだ。


「落ち着いたか。」


「ええ、ご迷惑をお掛けしました。」


普段は見た目通りに御淑やかなのだが、何かあると狂ったようにテンパる癖があるようだ。


たしかジョブを調べてもらった時にもテンパっていたな。


「それで、リヴァルに何用だ?」


俺の代わりに、隣で話を聞いていたファルカが話を戻してくれる。


「そうでしたね。では本題に入ってもよろしいですか?」


「大丈夫だ。」


「では⋅⋅⋅⋅⋅⋅以前、あなたのジョブ診断をさせていただいとき⋅⋅⋅⋅⋅⋅まぁあのときも取り乱してしまいましたが、報告をするといったことを伝えたと思うのですが、」


「そういえば、言ってたな。」


自分で言ったとおり、テンパりながらどこかに報告に行ったはずである。


「それでギルド長に報告に行ったのですが⋅⋅⋅⋅⋅⋅あのアホウドリめ、人の報告を馬鹿にしたと思えば予定の何倍も遅れて返事をしやがって。それに悪びれもせず会うたびに嫌みばかり、こないだなんて─────。」


本題に入るはずが、突然早口で呪詛のように愚痴をいい始めた。おや、幻覚だろうか?背後に瘴気のような黒いもやが⋅⋅⋅⋅⋅⋅。


「だ、大丈夫か?」


「これだから脳のないやつは⋅⋅⋅⋅⋅⋅はっ!私としたことがまたしても。」


⋅⋅⋅⋅⋅⋅二重人格か何かなのだろうか。


「とりあえず本題に戻ってくれるか?」


「はい。それで、ちょうど今日の朝にアホウドリから連絡が入りまして、何と明日連れてくるようにとこれまた自分勝手なことを言ってまして、」


アホウドリは代名詞なのか⋅⋅⋅⋅⋅⋅。できればもう少し瘴気を抑えていただきたい。


「それで、リヴァルに連絡に来たわけか。」


「はい。一度宿のほうに伺ったのですが留守だったので帰ってきたところを、というわけです。」


行き違いになっていたんだな。


「すまん、迷惑かけたな。」


「いえ、連絡せずに急に伺ったのはこちらなので。それで、これから一緒に来ていただけますか?」


「え?何処にだ?」


「ギルド長のところです。」


え?どう言うことだ?


とでも言わんばかりに、俺とファルカは顔を見合わせた。


「明日じゃないのか?」


「明日、なんですけどね⋅⋅⋅⋅⋅⋅。アホウドリのことだからその通りに明日つれていくと『昨日連れてくるようにと言ったはずですよ?』とか言うのですよ。というわけで、今日中に行きたいのですが。」


そんなやつもいるのものなのか。


俺は少し考えた後、ファルカの方を見た。


「ファルカ、その⋅⋅⋅⋅⋅⋅買い物は、また今度でもいいか?」


「い、いいぞ!もともと私一人でも行けるようなものだったからな。」


やっぱり荷物持ちをさせるつもりだったようだ。


「すまないな。」


「大丈夫だぞ。じゃ、私は予定通り買い物に行ってくるとしよう。」


そう言うとファルカは席を立ってギルドの外へと向かっていった。


申し訳なさからその背を眺めていたが、少しして再びハシビロさんの方を向いた。


俺の動きから察してくれたのか、ハシビロさんが話し始める。


「それでは、早速向かいたいのですがよろしいですか?」


「分かった。」


短い会話をした後、俺たちは席を立つ。


「この時間帯は奥の部屋にいると思うので、どうぞ私についてきてください。」


そう言うハシビロさんについて、俺はギルドの奥にあるギルド長の部屋へと向かった。





「えぇぇ!!デートが失敗したぁ!?」」


「うぅぅ⋅⋅⋅⋅⋅⋅。」


パッと見は子供のようにしか見えない茶髪の少女に、これまた茶髪ではあるが打って変わってスラッと細長い体をした女性が泣きついているという異様な光景である。


勿論、前者はトリアで後者はファルカである。


「ひっく⋅⋅⋅⋅⋅⋅せっかく、リヴァルと二人でお買いもの行けると、思ったのにぃ⋅⋅⋅⋅⋅⋅。」


「タイミングが悪かったね⋅⋅⋅⋅⋅⋅でも、これもチャンスかもしれないよ!」


「ふえぇ?」


「リヴァルには少なくとも約束を守れなかったという気持ちがあるはず。つ・ま・り!次買い物に行ったときにちょっとぐらい踏み込んだことしてもいいってことじゃないかな!」


「っ⋅⋅⋅⋅⋅⋅!じゃ、じゃあ、ちょっとした我が儘ぐらいなら聞いてもらえるってわけか!」


いつもの強気な口調に戻りつつあるファルカに、気をよくしたトリアがさらにたたみかける。


「そうゆうこと!私より一緒にいる時間が少なかった分、今のうちに甘えとけばいいんだよ~。」


甘い誘いの言葉に、ファルカの頬が緩む。


「けど!抜け駆けはダメだからね?節度は守るよーに。」


「あぁ!」


例の同盟より、ファルカがいつもの口調をやめて泣きつくほどまでに仲良くなった二人。


二人でリヴァルを捕まえるという野望はまだ始まったばかりであり、それをリヴァルが知るのもまた先の話である。

大分間が空きました。色々あって⋅⋅⋅⋅⋅⋅すいません。


次話は再びリヴァル視点に戻って、ギルド長とのお話のところです。


ハシビロさんが『アホウドリ』(実際のところアホウドリって賢いらしいのですが、そこは目を瞑っていただいて⋅⋅⋅⋅⋅⋅)とまでゆうギルド長とはいったいどんな人物なのか。

お楽しみに!


読んで思ったことがあれば、感想から教えていただけると嬉しいです!


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