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第4話 俺が絶対助けてやる

 戸鬼に俺の過去の事を話してから数日が経った

 相変わらず戸鬼に馬鹿にされている日々を過ごしている。

 しかし暑い、まだ初夏だと言うのに太陽はそんな事御構い無しに晴天だ。

 そして何より暑いのは隣のこいつだ、隣の席をちらっと見るとそこにはこのクソ暑いってのにシャツの上にカーディガンを着ている。最初からおかしい奴とは思ってはいたがここ迄とは・・・しまいには「オシャレのためなら暑さも我慢できる」とか言い出すもんだから本当女とは分からない生き物だとつくづく思う。


 あの日以来特に目立った監視は無く、また俺たちの捜査も全く進まずお手上げだ。これならニートを社会復帰させる方がまだ簡単だ。


 俺は一旦考えるのやめ鞄から弁当を取り出し食べ始める。

 すると背後からひょいと唐揚げを奪われそのまま食べられてしまう

「あのなぁ、これは俺のでお前にも弁当はあるだろう?」

「うーん、やっぱり宮本くんの持ってくる唐揚げは絶品だねぇ」

 頰を膨らませ美味しそうにそれをほうばる井森が前の席に座り俺の目の前に弁当を広げ代わりの物を差し出してきた


「じゃん!琴葉特製玉子焼きだよん」

「お前、玉子焼きだけは作るの上手だよな」

 からかい気味に言いそれを受け取りほうばる

 うん、いつ食っても美味い


「それだけが取り柄ですから。」

 えっへんと得意げに胸を張る井森

 大きいな・・・はっ!いかん!

 慌てて目を逸らし一気に弁当を掻き込みお茶で流し込む

 しかしこいつに嫌味は通じないんだな。


「なぁ」

 お茶を飲みながら「ん?」とこちらを見る井森に対して疑問に思って事を聞く

「何で人気者のお前が仕事であんまり学校にいなくてクラスに馴染めてない俺なんかの相手してんだ?」


「んーだって宮本くん1人でお弁当食べてるんだもんそりゃ構いたくなるよ」


「同情ってやつか?生憎そうゆうのには慣れてるから無理に付き合う事無いぞ」

「私が好きでやってるんだから良いんです」

 そう言うと最後のおかずを口にし弁当をしまい席を立つ

「どこ行くんだ?」


 井森は恥ずかしそうに顔を赤らめて言う

「もーそうゆう事レディに聞かないでよ」

 そう言うと教室から出て行った


 普段誰も使わない生徒も余りいないトイレの近くへとやってきて途中で止まり振り向く井森

「さっきからずっと見てるよね?出て来なよ」

 そう言われ曲がり角からスッと姿を現したのは鈴音だ

「ばれてたか〜案外鋭いんだね琴ちゃん」

「あんだけ見られてたら誰でも気付くよ〜、で?何か用があるから着いてきたんだよね?」

「大地くんの事でちょっとね」

「宮本くん?」

「ここ最近見てたけど随分大地くんと仲良いんだね?他の人は一切関わらないのに、何か目的でもあるんじゃない?」

「話して見ると楽しくて面白い人だったし別に目的なんて・・・」

 井森を静かに見つめ緊張感が増す

「はぁ分かった言うよ、私ね宮本くんが好きなの。1年の時から気になってたんだよねぇ」


「本当に、好きなの?」

「好きだよ、あれ?もしかして鈴音ちゃんも宮本くんの事好きっだったりする?」

「それはあり得ないから安心してね」

 にっこりと鈴音は答える

「良かったぁ、鈴音可愛いしライバルになったら勝ち目無いもんね」


「ねぇなんでそんなつまらない嘘つくの?」

「え?何それどうゆう事?意味わからないよ?」

「琴ちゃんから微かだけど甘い匂いがする、しかもこれはクロロホルム。普通こんな物女子高生が扱わないよね?」


「それはほら今日化学の授業があったからそれでじゃなかいかな?」


「この学校の化学室にはクロロホルムは準備室にしか置いてないしそこには先生しか入れないのにどうやったら匂いがつくのかな?大地くんに近ずいて何するつもりだったの?」


 すると井森の様子が急に変わって鈴音も少し構える

「だったらなんだって言うのかな?鈴音ちゃんに関係ある?別に親戚でも彼女でも無いのにさ。」

 チャイムがなり井森は鈴音の横をすり抜けていく時にボソッと何かを伝える

「頼むから関わらないで」

 そのまま井森は去って行った


 教室に戻ると井森の姿はなく大地が声をかけてくる

「なんだお前どこ行ってたんだ?」

「そんな事よりあんた、あの女気をつけた方が良いわよ。」

 一応伝えたからとだけ言って鈴音は鞄を持って教室から出て行く

「あの女って、井森の事か?」

 よく見れば井森もいないしあいつ何かしたのか?後で井森に電話してみるか


 放課後になり下駄箱を開けるとそこにはおもむろにスタンガンと手紙が入っていた

 おおっと!?誰にもみられてない事を確認して手紙を開く

「これ一応持っときなさい流石に捜査官が手ぶらってどうかと思うし」

 戸鬼か?これ置いてったのは、しかもなんかあいつ今日おかしかったよな。


 校門を抜け井森に電話をかける、直ぐに井森は電話に出た

「よぉ、午後の授業いなかったな?体調でも悪かったか?」

「うんちょっとね、それより宮本くん。鈴音ちゃんに何か聞いた?」

「鈴音?いや特に何も・・・てか井森こそなんかあいつに言われたんじゃねーのか?」

「心配してくれるの?優しいね宮本くんは、ねぇ今からちょっと会えない?私の家の公園で悪いいんだけど来てくれない?」

「あぁ良いけど電話じゃダメなのか?」

「うん会って話したい事がるの」

「分かった直ぐ行く」

 電話を切り俺は待ち合わせの公園へと向かった、電話じゃ言えない事ってなんだ?まさかな・・・


 こうえんにつくと既に井森は到着していた

「悪い遅くなった」

「ううん、私も今来たから、ねぇ宮本くん今付き合ってる人とか居るのかな?」

「え?いやいねぇけど。どうした急に?」

 すると井森が大地に近ずいていきキスをした

「!?」

 口を話すと井森は話し出す

「宮本くん好きだよ、あとごめんなさい」

「井森?っは!?」

 遅かった気付いた時にはもう避けることは出来なかった、大地は後ろから頭を殴られ地面に倒れ込んだ頭から血が流れ意識が霞む中見えた自分を殴った相手を見る

「フードの、男・・・」

 そこで意識が無くなり大地は気を失った


 学校を早退して大分経ってから鈴音は電話をしていたいくら電話しても出ない

「全くこれだから弱い人は・・・」

 鈴音は電話を切り静かに歩き出す


 なんだ?電話の音?どこだここは?部屋は結構広く全体コンクリートになっていて防音になってる様だ。朦朧とした意識の中で必死に状況を理解しようと頭をフル回転させる

「そうだ俺は井森に!ん?」

 体が縛られていて俺はベットの上に転がっていた

 くそなんだこれ、最悪のケースじゃ無いかあいつの行ってたのはこれか!


「あ、起きたんだね宮本くんさっき鈴音ちゃんから着信来てたよ?切れちゃったけど。」

「井森、お前何のつもりだ?」

「何って?今から宮本くんの童貞を貰うんだよ?

 すると井森は制服を脱ぎ始め大地に近づく

「ほら結構恥ずかしいけど宮本くんなら良いよいっぱい見てよ」

「お前こんな事して何の意味があんだよ?」

「私が好きって言ったこと覚えてる?」

「ああ」

「そう言う事だよ」

 そう言うと井森は大地の首元に口を近ずけ噛み付いた

「っく!!」

 井森は口を離し口には血がツーっと流れる

「はぁ、宮本くんの血・・・今宮本くんの全部私の物なんだね・・・」

「井森・・・お前最高に壊れてやがるな、こんな本性隠してたのかよ」


「私が壊れた理由知りたい?」

 そう言うと井森は語り出した


「ある所に女の子がいました、そして隣の家には8つ離れた男お兄ちゃんがいました。

 女の子の両親は仕事で留守にしてることが多かったので隣の家に良く女の子を預けていました、何度か預けられる度に女の子は男の人を兄の様に慕るようになりました。

 お兄ちゃんの両親は事故で亡くなってしまって家にはお兄ちゃんだけになりました、けどお兄ちゃんは変わらず明るく振舞っていたけど随分と無理をしていました、そんな事に気付かず中学3年になった女の子は好きな男の子が出来ました。けど女の子は初めての事で分からずお兄ちゃんに相談しに行きました。

 そして女の子はお兄ちゃんに犯されました。終わり」


「は?」

「犯されたんだよ、相談しにお兄ちゃんの家に行ったら。私何度も何度も辞めてって言ったけど辞めてくれなかった、痛くて恐くてずっと泣いてたらそれが勘に触ったみたいで凄いぶたれたの。あの時のお兄ちゃん凄く恐い顔してた。

 それで終わったらいきなり、どうしたの!?琴葉ちゃん!!誰がこんな酷いことを!!大丈夫大丈夫って私の頭優しく撫でるの。もう訳分からないよね、全部自分がした事なのにさ。その時に既にお兄ちゃんは壊れてたんだよ、そして私も何回か続いた頃に壊れちゃった。」


「・・・」

「でも私宮本くんと出逢って好きになれた、もう二度と無理だと思ってたこの感情を思い出せた。ねぇ宮本くんはこんな私でも好きでいてくれる?」


「井森、悪い井森俺はお前の気持ちに答えることはできない。けどお前をその暗闇から救い出してやることはできる!

 だからもういいんだ・・・助けを求めても良いんだよ井森」


 井森は立ち上って部屋の隅に置いてあったバットで大地を殴りつける何度も何度も何度もバキッつと鈍い音が部屋に響く、大地の腕が折れた音だった

「っくぅ・・・」

「もう無理だよ、私こんな風になっちゃって今更どうみんなと接すれば良いのか分かんないよ、、、宮本くんにまでここまでしちゃって・・・今更助けてなんて」

「ごめんなお前がこんな苦しんでるのに気付いてやれなくて、なぁ今まで接してきたあのお前の笑顔は全部嘘だったのか?」


「ううん、嘘じゃ無いあの瞬間だけは本物だった。本当に楽しくてこんな汚い自分を忘れることのでき瞬間だった」


「ならやり直せる。生憎俺お前がいないとぼっちで話す相手がいないんだ、だからさ改めて俺と友達になってくれよ。井森。」


 井森はぽろぽろと涙を流し「うん」と答える

 拘束を解いてもらい井森に服を着させていると部屋にフードの男が入ってきた

 井森をここまで追い詰めた元凶のお兄ちゃんとやらだ

 さっき腕やられたから片腕しか使えないなだとしたら結構不利だなどうする?

 考えていると井森が俺の前に出て言う

「お兄ちゃん、もう辞めよう!今までの事全部私は気にして無いから。め?」

「うるさぁい!!」

 男は井森の顔を殴りつけると俺を真っ直ぐに見つめる。

「なぁあんた、仮にも兄貴だろ?兄貴ってーのは妹を守るもんじゃねーのか?

 それを自分で傷つけて恥ずかしくねーのか!!もう許さねぇお前は今俺を完全に怒らせた」

 俺は一気に間合いを詰め隠していたスタンガンを男の首元にくらわせた

 手応えあり、そう確信し一息ついていると男に後ろから攻撃されたがそれを寸前でかわす

「んな!最大出力だぞ?バケモンかよ」

 男のパンチを見事に避け攻撃が壁に当たると壁に穴が空く

 コンクリを素手で?どんな怪力なんだよ!!俺より少し大きいくらいなのに何でこんなばか力が・・・しまっ!!

 油断していた所をつかれ蹴り飛ばされ壁にぶち当たる

「っがは!」

 いてぇ、これまた肋いったな、こうなったらちょいと卑怯な手使うぜ師匠

 向かってきた男の股間に思いっきり蹴りをくらわせ膝がついたところで足をクビに巻きつけ思いっきり締め上げる。男の抵抗が弱くなりそのまま倒れ気絶した

「ふぅ、結構やばかったな。この力おそらくドーピングだな」

 安堵していると男がまた立ち上がり呆然とする

「おいおいなんてタフさだよ。タイラントかよお前」

 体が痛くて動けねぇ、今度こそ終わりか・・・


 バゴォン!!突如横の壁が壊れ3人共壊れた壁側を見る

 埃が立ち人影が姿を表す。

「だから注意しろって言ったのに」

 部屋に入っていたのは制服ではなくロングコートを着た仕事モードの鈴音だった

 てかこいつも女なのにコンクリ粉々にするって何者だよほんと

「油断するなよそいつとんでもねばか力持ってるぞ!」

「油断したのはあんた、それに今この空間で私よりばか力の奴は絶対にいない」

 ん?よく見ると鈴音の額から角生えているなんだ、あれは・・・

 しかも雰囲気がいつもと違う、1番最初に会った時のあいつだ、本当の戸鬼鈴音。


 男は叫び特攻してきた、それを鈴音は構えて美しいほどの正確な正拳突きで男を返り討ちにする。男は壁を突き破り住宅街の通りまでぶっ飛ばされた

 その圧倒的な力を見て何も口に出せなかった


 角は既に引っ込んでいて鈴音も少し疲労が見える

 しばらくして捜査官が駆けつけ男を逮捕し井森も無事学校に出てこれて、この事件は幕を閉じたかと思えた。

 鈴音の尋問により有力な情報を得れたが、男を移送中何者かに襲われ捜査官は皆死に男は連れ去られてしまった。

 現場に居合わせた大地は男を追い2人を呼び止める

「そこまでだ、大人しくしろ」

 腰に据えてある刀に手をかけ威嚇する


「捜査官1人で来るとは見上げた根性だな。ん?お前どっかで会った事ないか?」長身の男は何やら考え事をしているだ関係ない

「警告はした」

 刀を抜き大男に詰め寄り切りつける大男には寸前でかわされ代わりに服が切れる

「な!?」

 その目に移ったのは親の仇である刺青の男本人だった

「お前が、刺青の男か!」

「なんだ?俺のこと知ってるのか?でも今は急いでるんでな構ってられないんだ。またどこかでな小僧」

 2人には煙幕を張られ逃げられてしまった。


 見つけた、遂にあの男を!!

なんか鈴音より大地の方が出番多い(笑)

井森の話描いてる時凄い鬱になりました


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