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第2話 鬼姫との再会

 ロングコートの女の子はある所に向かっていた。予定より大幅に遅れを取ってしまったが問題は無いだろう。場所は都心から離れた茨城の山の麓に位置する茨城一の権力者である水戸悦の元に向かっているのだった。門の前に立ち昔と何も変わらない風景を見つめていた。しばらくすると中から女性が出てきた。

「鈴音ちゃん?」

 出てきた女性は若く、自分よりも10歳歳上であろう見た目をしているが実年齢は40代で子供も2人いるこの家の当主の奥さんだ。

「ただいま、華さん」

 鈴音はそう言うと華に抱きつかれ身動きがつけなくなった。

「心配、してたんだよ」

 それだけ伝えると華は鈴音を家に招き入れる

 長い廊下を華に続いて歩いて行き大きな襖の前に立たされ中に居る男に話しかけられる

「入りなさい」

 男の声はどこか温もりを感じる優しい声だった

「失礼します」

 襖を開け部屋に入ると中央のお奥に額の上から目を通り抜ける切り傷がありそこから覗かれる目はしっかりと鈴音を見ていた。水戸家当主水戸悦だ。その斜め向かいに座っているのが悦より年老いた白髪の男先代水戸家当主であり悦の父親である水戸源助

 そして逆に座っているのが自分より少し歳上の青年悦の息子であり次期当主である水戸浩太

 部屋に入り3人の近くまでより座る鈴音


「良く、戻ったな」

 悦が口を開き歓迎の意図を告げる

「あの時は折角の御恩を無下にし、家を出た事を申し訳ないと思っています」

 鈴音は悦に深々と頭を下げ謝罪する


「いいでは無いか、あの事は。可愛い子には旅をさせよと言うでは無いかそれに折角孫が帰ってきたんだ今夜は宴にしよう」

 源助が笑いながら話題を終わらせ明るく振る舞う


「そうだな、妹が帰ってきたんだ。後で遥希の所にも行ってやってくれ鈴音」

 源助に呼応する様に浩太も話し出す。


 悦も同じ気持ちの様で何も言わない


「さぁ、今日はご馳走にしましょう。娘の久々の帰省ですもの。」

 華はそう言うと部屋を後にした


「鈴音、噂は聞いている。どれだけ腕を上げたか見たい。飯の前に一戦どうだ?」

「勿論です。悦さん」

「この家に入ったならそんな他人行儀は辞めなさい、お父さんで良いんだ鈴音」

「はい、お父さん」

 今まで笑わなかった少女が昔育った家に帰り徐々に殺し屋では無く普通の少女戸鬼鈴音に戻って行き笑みが溢れる


 道着に着替え相手になるのは兄弟子である浩太だ

「いつでも来い」

「行きます兄さん」

 そう言うとすかさず急接近し浩太の懐に潜り込み技を仕掛けるが浩太はそれを難なく避ける鈴音も逃がさす追撃する


 水戸家には水戸流武術という古くから伝わる古武術があり浩太はその武術の免許皆伝者である勿論自分も幼い頃からこの武術を学んできているのだから勝てない訳ではなかった鈴音がつ遂に浩太一撃与えると突如体の力が抜けバランスを崩す。浩太はそれを逃さず掌底を食らわせる

 寸前で腕で防ぐが吹き飛ばされ受け身を取り再び浩太に向かって行くがそこで悦に止められ勝負は終わった。

「いい勝負だった、鈴音強くなったな以前より格段にキレが増している」

「でも兄さんには届きませんでした。まさか合気道を織り交ぜているなんて・・・」


「水戸流は常に進化して行くからな。それに水戸流は全ての武術においてルーツがある。鈴音も本気じゃなかったみたいだしね」

 バレていた

「殺しと武術は全くの別もの、殺意に満ちた武術など容易い」

 先代にも全て見透かされている。この家では嘘はつけないな


 道場を後にし食卓に並ぶご馳走を見て懐かしさを思い出す

「懐かしんでる間にご馳走が無くなるぞ鈴音」

 そう言いながら凄い勢いで平らげていく浩太

 いただきます。と告げ食べ始める鈴音。しばらくすると隣に女の子が寄ってくる。水戸家の紅一点、遥希だ。10歳の女の子だがこの子にもしっかりと水戸家の血が流れている。姉同然で接しってくれている遥希に対して鈴音もまた実の姉のように接している。

「お帰り、お姉ちゃん」

 元気よく笑いかけてくる遥希を見ると自然と笑みが湧いてくる

「ただいま」

「今日はこっちのお姉ちゃんなんだねー」と無邪気にはなしかけてくる

 皆の箸が一瞬止まるが何事もなかったようにすぐに戻る

 楽しい時間は直ぐに終わり遥希は疲れて寝てしまったので華に寝室まで連れて行かれる。

 ひと段落し源助が口を開く

「あえて口には出さなかったが遥希が言ってしまったので言おう、お前は今どうなっている?」


 しばらく沈黙が続き口を開く

「最近はあっちが色々やってくれてたけど日本に着いてからはずっと私のまま・・・」

「やっぱり、そう簡単に無くなるもんじゃないよな」

「仮にどちらかだったとしてもお前は鈴音なのだからそんなに心配するんじゃない。分かったね?遅いしもう寝なさい詳しい話はまた明日だ」


「はい、おやすみなさい」

 鈴音は寝室に向かいこの場を後にした


 ある少女の話をしよう。

 少女にはちゃんと家族がいた、両親と弟の4人家族だ。心を許せるのは弟だけだった。毎日の様に振るわれる両親の暴力、叩かれるの当たり前で酷い時はタバコの火を押し付けられる事もあった。それでもあの時はどんなに仕打ちを受けても逃げる訳にはいかなかった。弟がいたからだ。2人とも小さく親なしでは行きていけないと言う事もありただ耐えるのみだった。少女は大人しい性格であまり話すと言う事は無かったがある日を境に人が変わった様に明るく振る舞う様になった。それが気に食わなかったらしく虐待は更に激しくなった。自分と弟を守るためにもう一つの人格が生まれてしまったのだ。自分への虐待が増したお陰で弟に振るわれる暴力は減っていった、程なくして親に捨てられ弟とも離れ離れになり水戸家に預けられ強くなるために弟子入りをし強さを求めた。

 水戸家の武術は変幻自在の格闘技とあらゆる攻撃もびくともしない常人には耐えられない肉体強化

 少女は何度も何度も身体を破壊され、血を吐き何度も泣いた。それでも諦めなかったのは離れ離れになった弟探すため、また一緒に暮らすため、それだけが少女を突き動かした。3年が経ち13歳になった時には肉体強化は済んでおり並みの大人じゃ歯が立たないほど成長していた。そして彼女は水戸家を去った。

 知り合いのつてで殺し屋になり自分の力を存分に振るった、最初に殺めたのは両親だった。麻薬に手を出し廃人と化して変わり果てた両親の姿、何の躊躇いもなく殺した。鬼姫と呼ばれる少女が誕生したのだった。

 少女はある組織に入り次々と人を殺めた。標的は皆麻薬密売、人身売買など非道な連中ばかりだった、組織が狙うのはそれの黒幕、又は危険な人物に成りかねない者ばかりターゲットにしていた。言われるがまま殺して殺して殺しまくった。いつしか少女は鬼姫と言われる様になり裏社会では手を出してはいけない禁忌とまで言われ恐れられる殺し屋となった。


 少女は昔の夢を見ていた、まだ小さかったあの頃弟と過ごしていたあの頃の夢

「あおい・・・」

 弟の名を口にし夜がふけていった・・・


 朝になり準備を済まして家を出る。

 門を出ると悦が立っている

「行くのかい」

「はい、突然きて直ぐに出てしまってごめなさい」

「全くだこの馬鹿娘、でも元気な姿を見れて良かった。」

 そのまま強く抱き締められる

「行ってきなさい。お前の人生だ、でも困ったことがあったらいつでも来なさい。ここはお前の家なんだから。」

「行ってきます」

 それだけ告げ鈴音は東京の7区に目指し進んで行った。


 ようやくあのテロの傷が癒え仕事に復帰したが今日は事件もなく平和だ、ずっとこうならいいのにとくだらない事を考える

「平和だなぁ」

 隣に居る潮佳耶という女は俺の独り言に何も答えず黙々と書類に目を通している。冷たい後輩だなそう思っていると課長が部屋に入ってくる

「おーす、みんな揃ってるな。今日は紹介する人達がいる。」

 どうぞという言葉の直ぐに大男と小柄な少女が入ってくる、少女を見た瞬間青年は声を上げた。

「鬼姫!!」

 少女はむすっとした顔で答える

「誰ですかあなたは」

 潮が隣で吹き出す

「空港であっただろ!あのテロの時!」

 しばらく考え少女は言う

「あーあの時の弱い人、怪我はもういいんですか?」

 潮がまた勢いよく吹き出す

「覚えられてない(笑)し、しかも弱い人って(笑)」

 うるさいと一声かけ少女を見る

 何知り合いなの?と課長が話しているが答えない

「名前を名乗らせてもらいます、私はNNの日本支部支部長榊と申します。特捜の皆さん以後お見知り置きを。そしてこちらは副支部長です」

 榊に肘でつつかれ挨拶をする

「戸鬼鈴音です、そちらの課長さんに雇われ貴方達の援助をさせてもらいます。宜しくお願いします」


「まじ?」

 潮の顔に汗が浮かぶ

「NNって!課長!ヨーロッパ最大の殺し屋組織じゃないですか!!なんでたってこんな奴らの」


「まぁまぁ、最近事件多いし人で足りてないでしょ?それに殺すて行っても犯罪者しか狙ってないんだから対して問題はないと思うよ?それに上の意向出しさ、口だしたらこの二課自体なくなっちゃうかもしれないしさ」


「そうゆう事だから、よろしく。弱い人」

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