第1話 鬼姫と呼ばれる少女
どうも若旦那です。他に連載中の物があるのに描きたくて書いてしまいました。
こんな感じの話が書いてみたかったので最後まで見て行ってくださると凄い喜びます。(僕が)
イギリスのとある都市のスラム街、壁には大量の落書きと地面にはゴミが散乱している。そこを走り抜けていく男とそれを建物の屋根を飛び越えながら追いかけるブラウンのロングコートを着た人物がいた。
建物の窓から事の結末をまたかと言わんばかりの顔で眺めている住人達。
男は行き止まりで逃げ場をなくし最後の悪あがきで銃を取り出し追手と対峙する。
「くそなんなんだお前は!」
「殺し屋」
コートの人物はそう言い放ちすかさず男の膝と肩を銃で撃ち抜いた。
「ぐぅあっ!あぁいてぇ・・・」
短い呻き声を出し倒れ込む
わざとらしくコツコツと音を立て近づいてくるコートの人影、ライトが当たり、ようやく正体がわかる。
「て、てめぇは、何で俺みたいな小物がお前に追われるんだよ」
「知ってる事を話したら楽に殺してあげる、話さないならもっと酷い目に合うけど、どうする?候補的には指と爪の間に針を入れるとかあるよ?あ、剥がすのもいいね」
物騒な事をまるで友達に話すかのような自然な雰囲気で質問してくる。
男は覚悟を決めたのかあっさりと情報を吐く、どの道この出血じゃもう助からない
「分かった、話す。俺のやってる仕事は下請けの奴らから頼まれた事だ。そしてその元請けがペンタグラムだよ。運んでんのは薬物だそれしか俺はしらねぇ」
コートの人物は少し考え込むと指を鳴らし男を見た
「やっぱりあいつらか、情報をありがとう。じゃあ来世ではもう悪さしないようにね」
男に銃を向け頭を撃ち抜く、男の命は尽きた
踵を返し路地裏を出て明るい大通りに出る
路地裏から出て着たのは黒い長髪にブラウンのロングコートを着て中はセーターとショートパンツを履いている。白い肌が寒さで少し赤みを帯びていて、慣れた手つきで携帯を触り誰かと連絡を取る
「終わったよ、後処理よろしく」
それだけ伝え電話を切る、そして彼女はまた次の仕事に向かってくのである。
ーこの裏社会では絶対に手を出してはいけない人物が3人いるー
1人目は黒の長髪、ブラウンのロングコートの少女
2人目は白髪で背の高い若い男
3人目が日本の一族の長で怒りを買えば死ぬまで追ってくる鬼神と言われている
他にも危険視されている人物はいるがこの3人だけ特に危険視されている標的にされたら最後だと・・・
鼻歌を歌いながら少女は通路を歩いていた。
人の気配はなく長い長い通路、やっと奥についたと思えばあるのはたった一つの扉だけ、その扉を少女は勢いよく開け言い放つ
「任務終了!ただいまぁ〜」
「あんたねぇノックくらいしなさいな、あと遅い!また寄り道してたわね?」
元気な少女に話しかけているのは金髪おさげで碧眼の美少女
「フレちゃんさしぶり〜何でいるの?」
「この前話したでしょう、昇格して特務の隊長になったって」
そんな事言ってたね〜と買ってきたお菓子を頬張りながら机の書類に目を通し飲み込んで一息ついて話しだす
「黒幕ペンタグラムだったよ」
「そうか」
奥の椅子に座っていた男がようやく声を発し、そしてまた黙り込む
サングラスがやけに似合っていてまさに裏組織のリーダーという風格だ
「予想通りね」
金髪美少女は溜息をついて椅子に座り込む。
「ペンタグラム、5つの巨大組織が共闘して1つに纏まった超巨大組織。
組織が大きいが故に直ぐに尻尾が掴めると思ったけど、組織の情報操作、隠蔽能力は思ってたよりも高くて未だに大した情報は無い。奴らは何百という傘下に全てやらせ、決して表に出てこないから探るのも困難」
場所さえ分かれば潰せるのに〜と眉間を押さえる
暫くの沈黙を破ったのはサングラスの男
「先日セシル嬢が有益な情報を手に入れたらしいが暗号化されていて解読に時間がかかるらしいんだが、3分の1は終わったらしい」
「へぇ、シャルがね。でいい情報だったの?」
「日本というワードが出てきたらしいんだが・・・鈴音。今回日本支部を設立するんだがお前にそこの副支部長をやって貰いたい。丁度お前の国だ、それに日本という情報があるなら無関係では無いはずだ。」
「日本・・・」
黒髪の少女にはさっきまでのおちゃらけた表情はなくただ呟いた
日本、東京都エリア7区。10区から構成される東京は目覚しい技術の進歩と共にその裏では腐敗しきっている現状があった
その中でも7区は特に犯罪が多くテロ、麻薬密売、人身売買などまだ法で裁くことの出来ない組織がごまんといる。
ダダダダダッ!!
男の持つ銃から放たれるその弾丸は捕らえられている市民を恐怖させるには十分過ぎる程だった。
「今一度問おう!貴様らは本当に今の国のままでいいのか!?
法で縛られ自由を無くしたこの国など滅びて仕舞えばいいと思わんのか?」
「これはテロなどという無粋なものではない!国の改革なのだ!貴様らに愛国心は無いのか?汚職政治家により腐敗しきったこの国を取り戻したくは無いのか!!」
今まさにジャックされているのは日本で唯一の国際空港である。
確かにテログループの言ってることは正しいかもしれない。けど市民を巻き込んでいいことにはならない。内側が腐っているのなら内側から変えていく努力をすべきだ。外からどんなに意見をぶつけようが人質を取ろうが政治家達は何と思わない。これは改革でも何でも無いただのテロなのだから。
既に空港を抑えている警察は今か今かと突入の時を待っている。
俺は対テロ組織特殊捜査官として作戦指揮を待っている直前だった。
「課長、そろそろ人質が・・・」
トランシーバー越しから聞こえてくる声はどこか頼りない男性の声
「あーこの作戦は俺ら特捜に一任されている。そこでだ、無駄な死人を出さないためにも警察の方々は足手まといなのでお下がり願いたい。俺たち特捜だけで救出したほうが早いだろう、なのでもう既に潮をせんにゅうさせている。
作戦内容は撹乱さえてから突入し、人質を救出せよ。」
「捕虜は?」
「ひとりでいい」
「了解」
「我々がしたいことはただ一つ!人民の中からおなじ同士を集いこの国に大変革を起こす事だ!我々とともに来るものはいないか!」
捕らえられている市民の中から1人だけ立ち上がる1人の女性
「おお同士よ」
「厳重にしている割にはずいぶん簡単に侵入出来るんだね」
女はクスッと笑うと手に持っていた装置を押す
突如至る所で小爆発が起き、煙幕を投げつけパニックを起こす
パニックになった市民の声を聞くや否や突入する3人の捜査官
あっという間に制圧していき市民を救出していく。
腰に2振りの刀を持った男が犯人のいる階にたどり着き対峙する
「終わりだ、大人しく投降しろ。」
「政府の犬め!貴様らが守っているものは腐りきっているということがまだ分からないのか!!」男が銃を向け発砲してくる
「腐っているとわかっているからこそ中から変えるべきだとは考えなかったのか!!」刀を抜きその銃撃を難なく交わしていき、あっという間に相手との距離を詰め刀を振るう
「考えたさ!私も元軍人、君とは違うが国を守るという事は一緒だった。
だが私は軍の腐敗を目撃しそれを上に報告しようとした。無駄だった、もう既に軍全てが腐り切っていた。そんな中で私みたいな人物は邪魔物だった。中から変える以前にシステムにすら入れないのだ!」持っていた銃で振るわれた刀を防ぐ男
目にも留まらぬ速さで切りつける青年だが相手の男も相当な手練れで中々一撃が入らない
銃と刀の当たる音がフロア中に響き渡る。男に間合いを開けられ反撃に会うが放たれた銃弾を巧みな動きで躱しつつ最接近する青年、とった!
そう確信した瞬間男が隠し持っていた小銃で撃たれる
それを寸前で身体を捻り躱すが足に当たってしまい着地に失敗する
「っく」
男はゆっくりと銃を向けながら近ずいてくる
「ここで殺すのは惜しい人物だな、俺と共に来い。一緒にこの国を変えていこう」
「生憎愛国心ってがあってね、あんたらみたいな犯罪で国を立て直すなんて考え無いんだよ」
撃たれた足は痛むが戦えないほどでも無い、立ち上がり男に向かって行くが今度は殴られ吹き飛ばされる
「がはっ」
口から血が吹き出て立つのがやっとの状態だ
「足を怪我した時点でお前の踏み込みが甘くなった。武器を使うまでも無い。仲間にならないなら惜しいがここで葬る、悪く思うな青年」
男はそう告げ銃を向ける
ここまでか、犯罪に負けないため、国を良くするため捜査官になったってのにここで終わりか・・・
死を悟った青年に銃弾が放たれる。放たれた銃弾は青年の僅かな所で防がれる
「誰だ!」
男が信じられないという表情で驚き声を荒げる
「日本の警察って本当に弱くて使えない。こんな雑魚1人始末出来ないなんて・・・」
物陰からひっそりと姿を表したロングコートを着た黒髪の女の子
「女、の子?」
確かに女の子だ、この子が俺を救ってくれたのか。その前にあの銃弾を自分の銃で撃ち落としたってのか、信じられねぇ・・・
「お前は!何故日本に!?」
「いたら駄目?」
「ぐぬう!」
男は銃を女の子目掛け乱射する
女の子はすかさず懐からサブマシンガンを取り出し見事に全部撃ち落とす
「し、信じられん・・・噂だと思っていたのに。実在するとは・・・鬼姫・・・」
「その呼び名は嫌い・・・」
男は腕を撃ち抜かれ銃を落とす
「ぐあぁっ!!」
なんて早業、見てるだけで実力の差は歴然だった
男がまだ何かしようと動いたが無駄だった
肩、足を撃たれもう戦える状況ではなかった、勝負はついた。
青年は折れているであろう肋を抑えなながら立ち上がる
「君は何者何だ?」
そう問いかけると女の子は男にとどめを刺そうとしていた。
「おい、もう戦えないだろ!辞めるんだ。それ以上は!」
止めに入ろうとした青年の顔を銃弾がかすめる。
女の子の銃口がこちらを見ている。
「甘いね、日本は。捕まえるの?犯罪者にとっては捕まるなんて死んでるのと一緒。なら殺しても変わらないんじゃ無い?」
「なっ!?」
本心だ、この子は今本心でこんな事を言っている。
銃口が再び男に向けられ引き金が引かれる。
「まっ!?」
パァン!!
制止のの声を聞かずとどめを刺す。
興味を無くしたように女の子は銃をしまいこの場を去っていく。
「おい待て!っつ!」
痛みに俯き次に女の子を見た時にはもう女の子の姿は無かった。
「何だったんだ、あの子は。鬼姫・・・」
無事に事件が解決し俺は今病院で治療を受けていた。主犯は死んでしまったが既に捕虜を取っていた様で課長が尋問中との事、鬼姫。あいつは確かにそう言っていた。彼は分かるはずもなかった鬼姫と言われる女の子と出会った事で数多な事件に関与して行くという事を。