点と点に想像で線を引く
2016年の夏に行われた参議院選挙は、自民党の圧勝で終わりました。自民党が目指す“改憲三分の二勢力”の獲得にも届いたので、まぁ、まず間違いなく(何か「あっ」というような事件でも起こらない限り)これから自民党は憲法を変える為に猛然と動き始めるでしょう(これは2016年7月に書いています)。
さて。
僕はこの参議院選挙の前に、「宗教と政治が結びつく場合」というタイトルのエッセイを投稿しました。これは現自民党政権の黒幕とすら言われている「日本会議」という政治団体(その実態は、宗教団体の連合体らしいです)について、この団体が持つ宗教的な性格から、自民党に自分達の偏った理想を実現させようとしているのではないか、と警鐘を発したものです(ただし、これは参考にした『日本会議の研究 菅野完 扶桑社新書』の情報が正しい前提で書いています)。
ですが、実は僕はこれを投稿しようかどうしようかとても悩んだんです。何故なら、僕の政治に対するスタンスは「判断に必要な材料だけを提示して、何処に投票するかは有権者の意思に任せる」というものだからです。できる限り特定の政党の支持も批判もしないで、客観的に“政策”について述べるだけにとどめようというのを目指しています(飽くまで、“目指している”なんで、そうなっていない部分も散見される訳ですが)。
政策批判はするけども、政党批判はしない。例えば、自民党の政策でも、指示すべき政策は支持するし、批判するべき政策は批判する。つまり、できる限り中立的な立場から公平に政治を判断しようと努めるって事です。
ですが、先に述べた「宗教と政治が結びつく場合」は、明らかに自民党を批判しちゃっているんですね。日本会議に的を絞ってもいるし、日本会議が自民党以外にも影響力を持っているって点も書きましたが、それでも政策ではなく、“自民党そのもの”を批判している点は否定できません。
では、どうしてそのようなものを投稿したのかというと、その理由の一点目には「正しい判断材料が国民に提供されていない」という不公平を少しでも補いたかったという事があります。
選挙を行う上での理想は、「国民に正しい判断材料が提供されていること」でしょう。ですが、今の選挙の実態はそこから大きく解離しています。
もっとも、それを言ってしまったら、他の政党でも似たような事情があるだろうとは思います。民進党だって共産党だって他の政党だって、探ってみたら、選挙に不利になるような情報はあるのでしょう。自民党だけそれを指摘するのは不公平だとも思います(もちろん、知っていればちゃんと書きますがね)。
ただし、自民党の「日本会議」については、少しばかり話が大き過ぎるんです。
仮に日本会議がなくても、自民党は“一票の格差”で有利になっているし、「アベノミクスは失敗していない」という主張に出して来る数字はかなり怪しいし、高齢者買収とも取れる政策を行っていたり、年金資金運用の損失額を隠していたり、明らかに憲法を変えたがっているのにそれについて触れようとしなかったりと、心情的にも反感を抱かざるを得ないような事を多くやっていましたが、そういった数々の問題を遥かに超えて、「日本会議」の存在は重いんです。
何故なら、数々の議員の発言などから、少しずつ漏れて来ていますが、この「日本会議」という“宗教団体の連合体”は、先にも述べた通り、かなり偏った思想を持っていて、しかも現自民党への影響力も大き過ぎるからです。実情、現自民党政権の“本体”であるとすら言えるかもしれません(一応、断っておきますが、飽くまで“現”自民党です)。
つまり、国民は「自民党」という看板を信じて投票しているつもりで、実際には「日本会議」に投票しているのかもしれないんです。しかも、日本会議のその“本音”と“本性”は、もしもそれが広く知れ渡れば、国民が絶対に反感を抱くようなものです(だからこそ、隠しているのでしょうが)。
これ、いくなんでも訴えない訳にはいかないでしょう? 日本会議の存在を知らせないまま選挙を行うのは、はっきり言って国民を騙しているようなもんですよ。
もう一点、僕が「宗教と政治が結びつく場合」を投稿しようと決めた理由があります。それは“リスクの大きさ”です。
日本会議もその指示で動いていると思われる現自民党政権も(当たり前ですが)似たような憲法変更の草案を提示しています。多くの人は、憲法九条の変更…… つまり、自衛隊を軍隊として認めるか否かこそがその目玉だと考えていると思いますが、本当に注目すべきはそこじゃありません。他にも問題のある修正案はあるのですが、本当に危険なのは「緊急事態条項」を憲法に盛り込もうとしている点です。
これは「緊急事態に際して」憲法を無効にできる程の強い権限を内閣に与えるというもので、ナチスはこれを用いて独裁政権を築きました。
また、つい最近もトルコで軍事クーデター未遂事件がありましたが、この際にも似たような「非常事態宣言」がされています。そしてトルコ政府は、市民の基本的な権利に制限をかけた上で、自身の政権に反対する勢力を一掃する為に公務員2万5千人を解雇したり、テレビ局やラジオ局の免許を取り消したりといった、独裁的な行動を見せて権力を強めています。
もしも、「緊急事態条項」を憲法に盛り込んでしまったなら、これと似たような事が日本でもできるようになってしまうんですね。そして、自民党政権にこれ以上の権力を与えると、このリスクを高めてしまう。そして、反対に勢力を抑えたからといって、大きなリスクがあるようには思えません。
ならば、「日本会議」の存在をアピールして、少しでも自民党勢力を抑えておいた方が良いでしょう?
それに、日本会議の存在を知る事で国民が反発を見せたなら、「緊急事態条項」を自民党が取り下げるって可能性もあるにはありますし。
参議院選挙でも、憲法変更について自民党はほとんど触れませんでしたが、その自民党の戦術(と言うよりも、日本会議の戦術ですかね?)から考えて、恐らく「憲法九条の変更」(自衛隊を軍隊として認めるか否か)に注目を集めさせ、影でひっそりとこの「緊急事態条項」を通そうとして来ると思います。
もしかしたら、これを読んでくれている人の中には、この話を軽く考えている人もいるのじゃないかと思います。今はまだそれでも良いですが、この僕の予想通りの戦術を自民党が執ったなら、絶対に警戒してください。それは詐術かもしれません。あなたは騙されようとしているのかもしれない。
さて。
なんて事をつらつらと書いてきましたが、今までの話は、参考にした『日本会議の研究 菅野完 扶桑社新書』って本の内容が正しい前提です。なので、もしも、この本の内容が大きく間違っているのなら、取り消した上で謝罪もします。
ただし、僕は少なくとも大きくは間違っていないだろうと踏んでいます(多少の脚色もあるだろうし、そもそもこの本には憶測で書かれている部分もありましたがね)。もちろんそれは、この本が証拠に基づいて書かれているからでもあるのですが、それだけじゃありません。かねてから疑問に感じていた様々な事柄と、この本の内容が一致するんです。
先にも述べた通り、日本会議に所属している政治家達は数々の問題発言をしています。
武藤議員(元自民党議員)は日本国憲法を支える三原則(国民主権・基本的人権の尊重・平和主義)を否定しましたし、麻生大臣は「ナチスの手口に学んだら」なんて爆弾発言をしましたし、その他にも数え上げれば切りがないくらいに自民党議員から「日本会議」の思想を彷彿とさせる発言がありましたが、それだけじゃありません。
まずは、政策実行のスタイルです。
本来の民主主義で求められる理想のスタイルは、情報を包み隠さず開示して、国民の反応を通して政策を決めていくというものでしょう。“国民との対話”を重視する政治なんてよく言われますが、その為には国民が判断に必要な情報を知らされている事が大前提です。
ところがどっこい、自民党は情報を隠す事が大好きなのですね。特定秘密保護法ももちろんそうですし、“国民の知る権利”を憲法から削除しようとしていたり、前述した通り、参議院選挙では“憲法の変更”についてはほとんど述べようとしなかったり、株投資の損失だって隠していましたし、そもそも“日本会議”についても隠しています。もちろん、この様な傾向は他の政党にだって観られますから、何も自民党だけの特性という訳ではありません。しかし、経済政策についてまで“情報隠し”が基本戦略というのは、ちょっと行き過ぎだと思うのです。
これまで政府日銀が執ってきた経済政策は、情報を隠し、サプライズによるショック療法で経済に刺激を与えるというものでした。が、本来なら政策に対する市場の反応を窺いながら、より良い政策を模索するというのを基本とするべきだと思うのです(今の金融政策は、まるでギャンブルを見ているようです)。
情報を隠す理由は現自民党の本当の“理想”が国民に知られたら、支持率を下げてしまう…… つまり、国民の理想と自民党(と言うか日本会議かな?)の理想が解離しているという要因もあるのでしょうが、それだけではないのかもしれない、とも思うのです。
実は“情報を隠す”というのは、新興宗教団体の多くが執っている戦略なんです。それにより信者を増やそうとするのですね。日本会議は(前述した『日本会議の研究 菅野完 扶桑社新書』の内容を信じるのなら)その大元は宗教団体ですし、今だって宗教団体の連合体です。なら、それを引き継いでいたとしても不思議ではありません。そしてだからこそ自民党は“情報を隠す”事が大好きなのかもしれないのです。
もちろん、これは単なる憶測に過ぎません。
ただし、この事は頭の隅に置いておく価値があると少なくとも僕は考えます。
まだ『日本会議の研究 菅野完 扶桑社新書』と一致する事柄はあります。
僕はちょっと前にジェンダー(社会的性差)関連の本をたくさん読んだのです。その中のいくつかで、「最近、男女平等に対しての逆風が吹いている」と半ば助けを求めるように訴えられてあったんですね。ですが、今の若い人達はむしろ男女平等思想を受け入れる傾向にあります。微増ではありますが、男性が家事をやる割合も年々増えています。若い世代に男女平等に反対する特殊な団体があるという話も聞きません。ならば、一部の旧い世代の人間達が、反男女平等運動を行っている可能性が大きいと捉えるのが最も妥当でしょう。
そして、実は日本会議では男女平等思想に反対しているんです(奇妙な事に、日本会議自体は男女平等な組織らしいですが)。
もちろん、これは点と点を想像で結んで線を引いているに過ぎません。ですが、それでも、この一致は不気味に過ぎると思うのです。
日本会議は先にも述べた通り、“宗教団体の連合体”です。そして、多くの宗教団体には理想を優先させて実利を軽視するという特性があります。だから、社会が危機的状況に陥りどれだけ生活が苦しくなっても、“自分達だけの理想”を、社会全体に押し付けようとするかもしれません。
今の時代に、男女平等が求められているのは、何も“思想”だけの問題じゃないんです。それはちゃんと実利にも結び付いているのですね。
今現在、既に少子化によって労働力不足の影響が出始めていますが、それを補う為に女性の労働力が求められていますし、そもそも男性の収入が減っていて、男親だけでは一家を養えなくなっています。“共働き”を推進しないと生活費不足から結婚も出産もできない若い人はこれからもどんどんと増えていくでしょうし(実際に増えていますが)、そうすれば少子化はさらに進み、高齢社会問題が悪化して危機的状況下に陥る可能性すらあります。
なお、女性に共働きが可能になれば、家庭全体の収入も増えるので需要も増えます。つまり、経済効果もあるのです。
女性の労働問題で特に悲惨なのは、シングル・マザーでしょう。男親が必ずしも良い人間であるとは限りません。家庭内暴力が酷かったり、働かなかったり、結果的に女親が離婚を選択するケースも少なくないのですが、そうしてシングル・マザーとなった家庭は生活が苦しくなるのが普通です。
今現在、女性は不当に労働市場で扱われていて、収入が低いんです。だからこれは彼女達の責任ではありません。どう考えても社会が悪いんです。そして、女親が経済的に追い込まれた結果、無理心中を決断してしまうという痛ましい事件すら、近年増えています。
生活苦から、性風俗をせざる負えない状況に追い込まれる女性もいます。しかも、そうして自分達で女性達を性風俗に追い込んでおきながら、そういった女性達を批判する人達までいます。まったく何にも理解していません。性風俗に従事する女性達を責める前に、男女不平等の労働実態を恥じ、それを是正するよう求めるべきでしょう(性風俗を全否定するのも少し違う気もしますが)。
もちろん、子供達にとっても貧困問題は深刻です。子供の貧困問題は、その子の人生を左右します。充分な教育を受けられなければ、生涯に渡ってその悪影響を受ける傾向にあるのはよく知られた事実です。そして当然、そういった子供が増えていったなら、社会は衰退していきます。百歩譲って、女性の社会進出を認めないというのなら、こういった境遇にある人達を支援する為の政策を実行するべきでしょう。ですが、何故か日本政府はこれもやらない。
日本会議は、家父長制に拘っているようなので、シングル・マザーなど認めたくないのかもしれません。
少しだけ自民党を擁護します。
恐らく、こういった問題に対応する為でしょうが、自民党政権は「ウーマノミクス」を掲げ、女性の社会進出を推進しようとしました。ところがしかし、何故かいつの間にかこれを口にしなくなってしまったのですね。そして先にも述べた通り、自民党政権の黒幕の日本会議は男女平等思想に反対しています。ならば、その関与を疑わない訳にはいかないのですが、つまり、悪いのは自民党ではなく、日本会議なのかもしれないんです。
もちろん、これには高齢者の割合が増える事によって、高齢者優遇の体制となり、社会の成長が阻害されてしまう、いわゆる“シルバー民主主義”という問題もあるでしょう。ですが、中には企業に男女不平等を是正するよう訴えるといったような財政負担にはならない対策方法もあるんです。なのに、政府はそれもやろうとしない。シルバー民主主義だけが原因だとは思えません。
そこには実利から離れた“思想の問題”が横たわっているんです。しかも、それは古臭い戦前の妄念が亡霊として蘇ったかのような歪んだ思想で、人々の生活を良くする為に何の役割も果たさないどころか、悪影響すら与えます。
どんな理想を持っているのかは知りませんが、先に挙げたような苦しい立場の女性達や子供達を見殺しにするような社会は、絶対に認めるべきじゃありません。
一応断っておきますが、“専業主婦”という考え方は、そもそも日本の慣習ではありません。“女性が家庭に入る”というのは、明治時代になって入って来た欧米の考え方を和風にアレンジしたものに過ぎず(この時代に生まれた多くのものは、欧米の影響を受けていますが)、それ以前は、女性も外に出て働くのが当たり前でしたし、しかもそれ以後も、戦後になって高度経済成長期に入る前までは“専業主婦”は実現してはいませんでした。男親の収入だけでは生活できなかったり、女性の労働力が求められている時代では、共働きが当たり前だったんです。
更に言ってしまうと、その昔、日本では母系社会と父系社会が混在していたと言われ、女性蔑視には大陸の文化…… つまり、中国の文化の影響が強いと考えられています。日本神話の総氏神・天照大神が、女性である点を充分に考えるべきでしょう。
“専業主婦”が、日本の文化で、守らなくてはいけないなどと考えている人がいるとすれば、それは勉強不足から生まれる大きな勘違いに過ぎません。
少し話を変えます。
憲法変更について、自民党はまるで“憲法九条の変更”が目玉であるかのように演出する手段を執るだろうと先に述べました。まだ「自衛隊を軍隊として認める」という内容なら、国民の賛同を得られる可能性があるから僕はそう考えたのですがね。では、どうしてこれについては賛同を得られる可能性があるのかと言えば、「中国脅威論」がリアリティを持っているからです。
僕も「中国脅威論」について完全には否定できないと思ってはいます。ただし、それでも疑問を感じる部分もあります。
中国は経済発展に伴ってその軍事活動を強化してきました。或いは、こう単純に考えてしまうのは安易に過ぎるのかもしれないとも思っているのですが、ならば、経済の衰退に伴ってその軍事活動を弱めていくと予想するのが筋ではないでしょうか?
しかも、他国の侵略と経済成長は相反しています。ベトナムの事例が分かり易いのですが、中国はベトナムとの関係悪化に伴って、ビジネスチャンスを大きく失いました。そして、その穴を埋めるように中国と対立関係にあるアメリカ、日本、インドといった国々がベトナムとの経済協力を深めたのです。
これは日本と中国についても似たような関係があります。中国は日本と軍事衝突しようものなら、大きな経済損失を被るのですね(日本も同じですが)。そして当然、軍事活動には経済的な基盤が必要です。
つまり中国は、他国に侵略する為には、他国との経済協力を結んで好調な経済を維持しなくはならないという、およそ滅茶苦茶な事をやらなくてはいけないのです。今までのような高度経済成長期(と言っても、バブル経済でしたが)ならば、或いはそんな無茶もできたかもしれませんが、中国の現在の経済情勢を見る限りでは、とてもじゃありませんが、そんな事はできそうにありません。
もちろん、中国が自暴自棄になって暴走する可能性だってあります。しかし、そうなってしまったなら時は既に遅いでしょう。中国や日本といった巨大な経済規模を持つ国と国がもし衝突したなら、戦局がどうなろうと間違いなく悲惨な状態に陥ります。より重要なのは“戦争を未然で食い止める事”です(まぁ、もし日本と中国が戦争しようとしていたら、世界中が止めに入りますけどね)。そして、日本が軍事力を高める事は、必ずしもその手段として有効だとは言い切れないんです。何故なら、互いに威嚇し合うことで、状況がエスカレートしてしまうという現象だって起こり得るからです。
ですから、僕は中国を抑える手段としてより良いのは、経済的アプローチで中国を少しずつ懐柔する事だと考えます。しかも中国が抱える経済問題は、短期的なものではなく、中・長期的なものなので、もしその方法に成功すれば長期間の効果が見込めます。
中国の経済問題が中・長期間に及ぶだろうという根拠は数多くあります。例えば、先に高齢社会問題が日本で深刻だという話をしましたが、中国では日本以上に深刻だと考えてまず間違いありません。
中国では人口増を抑制する為に長い間「一人っ子政策」を執ってきました。その為、経済が成熟する前に高齢社会問題が重い負担となってしまいます。しかも、中国の高齢社会問題は日本とは別種の問題も抱えているのです。
仕事で一緒になった中国人から、こんな話を僕は聞かされた事があります。
「中国では“一人っ子政策”の所為で、女の子が産まれた場合、殺してしまう事がある」
子供を残すのなら“男”の方が良いという男性優位思想の所為で、女の子が生まれると殺してしまうというのですね。その時、僕はそれを話半分で聞いていました。あまりに凄い話なので、俄かには信じられなかったのです。都市伝説の一種かと思ってしまっていたのですがね。
ところが、つい最近、実際に中国では人口構成が歪で、男性の人口割合の方が普通よりも大きいという話を耳にしたのです。
どうも、その時の中国人が言っていた話は本当だったようです。
もちろん、人口構成がそんな状態に陥っていれば、大きな問題を生みます。これから人口増政策に転換したとしても、中国は上手くいかないかもしれません。しかも、中国にはまだ少子化問題を解決する上で、自縄自縛の難題があるんです。
人口減少問題に対応する為、ちょっと前に中国は「一人っ子政策」を廃止しました。しかし産児制限自体は残っているそうなんです。中国では出産を監視する「計画生育委員会」という国の組織があるのですが、この組織がどうもネックになっているらしいです。
この組織は、もし二人目の子供を妊娠してしまった母親を発見したら、強制的に中絶手術を受けさせたり、或いは罰金を科して、資産を奪ってしまったりするとかいった事を行っているそうなんですが、これが大きな権益構造になっていて、その権益が改革の邪魔をしているそうなんです。産児制限を撤廃してしまったのなら、「計画生育委員会」は必要なくなって、働く人は失業してしまうかもしれませんし、権益だってなくなってしまうかもしれない。だから、社会全体にとって悪影響だと分かっていても、この組織の為だけに産児制限を撤廃できないのだとか。
日本でも権益確保の為に進まない改革は数多くありますが、流石にここまで酷くはないでしょう……
ただし、日本も中国を笑ってばかりはいられないとも僕は思うのです。前述しましたが、日本会議は女性の社会進出に反対していて、それが出生率を下げている可能性があります(共働きの家庭の方が、出生率は高いんです)。企業に妊娠出産後に女性が職を継続できるように促すだけでも出生率は上がる可能性があるのに、それすらやろうとしないのは、実利を無視しているとしか言いようがありません。
もっとも、本当はそれすら計算の内かもしれない、なんて邪推も僕はしているのですが。
まず、初めに断っておきます。
僕がこれから書く内容は、点と点に想像で線を引いたものに過ぎません。はっきり言って憶測よりも酷いと思います。正直に告白するのなら、(僕は小説を書く人間なのですが)小説のネタを考える感じで考えたんですがね。だから、信用はしないでください。
コペルニクスじゃないですが、これは「こういう事も考えられるよ」程度のものでしかありません。
では、説明します。
自民党政権は、参議院選挙で大勝した今現在、28兆円規模の経済対策案を出しています。と言っても、これは数字のトリックみたいもので、かなり水増しした額のようです(本当に、今の自民党はこの手の手段が好きですね)。
日銀の金融政策は既に限界に近付いていますから、恐らくはこんな手段に出たのでしょう。例え一時的で終わったとしても、景気回復を印象付ける事で支持率を高め「憲法の変更」を行い易くるするつもりなんじゃないかと思います。
仮にこれが上手くいったとしましょう。そして自民党の狙い通り、憲法を変更する事に成功し、緊急事態条項も盛り込めたとします。
さて。
しかし、それから先はどうしましょう? どうやって、自民党(日本会議)は緊急事態条項を利用すれば良いのでしょうか?
緊急事態条項を活かす為には、何かしら事件が必要です。天災か人災か。ですが、もちろん天災なんて待っていたら、いつになるか分かりません。ですから、もし意図的に緊急事態条項を発動させたいのなら、狙うべきなのは人災って事になります。
ところが、日本は知っての通り、非常に平和な国です。大規模なテロを起こすようなテロリスト達もいないし、トルコのように軍事クーデターが起こるなんて事もない。ですからそれはかなり難しいんです。
では、どうするか?
もしも僕が自民党ならば、この壁を乗り越える為にこのような手段を考えます。
『テロリストが国内にいないのなら、海外から呼び込めばいい』
はい。
国内にテロリストはいませんが、知っての通り、海外にはたくさんいます。そして自民党はテロへの戦いを宣言していて、既にそういったテロ組織から敵視されている上に、これから実質的な移民政策まで執ろうとしているんです。もちろん、移民だからといって差別するような考えを持ってはいけません。ですが、それでも、移民が増えればテロリスト達まで連れて来てしまうというのは、国際上の常識でしょう。
僕はどうして保守派で右翼の自民党が移民政策を執ろうとしているのか、ずっと疑問に思っていたんです。しかも移民政策ってそんなに簡単に上手くいくものじゃありません。ですが、もしも意図的にテロを呼び込もうとしているのなら、この疑問が解けてしまいます。
一般規模のテロでも、緊急事態宣言は可能でしょう。何せ、日本にはテロに対して非常に脆弱な原発がありますからね(それも、この為だったら、どうしよう?)。危機感は充分に煽れるし、説得力もあります。
こう考えるのなら、自民党が右翼であるにも拘らず、何故、「日本人を増やそうとしないのか?」という疑問も解けてしまいます。移民政策を執る為の言い訳には「出生率が回復していない」が使えますから。
つまり、経済回復効果や出生率回復効果が見込める“共働き”を促進しようとしないのは、「移民政策によって、海外からテロリストを呼び寄せる為」って訳です。
一応もう一度断っておきますが、これは憶測よりも酷い小説ネタのような話です。「こういう事も考えられるよ」程度の認識でよろしくお願いします。
現在、自民党が憲法を変える為に動いている事は確かだと思います。それで支持率を上げる為の経済政策を実行しようともしている訳ですが、これが上手くいくかどうかは分かりません。
アベノミクスで行って来た金融政策の副作用が、もしかしたら、早く襲いかかってくるかもしれないからですね。
日本経済研究センターは「日本銀行が国債購入を継続できる期間は、民間金融機関が担保不足に直面するため、事実上、2017年6月まで」というレポートを公表しているそうです。
これが正しいとは限りませんが、少なくともこんな話が出る程に、アベノミクスで行っている経済政策が異常だとは言えるはずでしょう。因みに、もしこれが本当なら、実質的にアベノミクスは終焉を迎えます。そして、その後、日本経済はその副作用に苦しむ事になるでしょう。
僕の個人的な考えですが、今は「憲法を変える事」に執心する時期ではないと思います。
高齢社会問題の悪化や、エネルギー問題、貧困問題、アベノミクスの副作用対策等々、今の日本には問題が山積しています。軍事面なら、既に「集団的自衛権の行使容認」で充分に対応可能でしょう。一応断っておきますが、先に挙げた諸社会問題を蔑ろにした状態で軍事方面に力を入れたなら、国民は重い負担に苦しむ事になります。
今、真正面から向き合うべき問題が何なのか、よく考えて欲しいと思います。
参考文献:
『ニッポンのアホを叱る 辛坊治郎 光文社』
『2017年日銀破綻 中丸友一郎 徳間書店』