(4)再会
(2018/07/22)WICHの綴りをWITCHに修正。
俺は翌日、再び母校へと訪れた。
目的は2つ。
1つは”アルミラージ”の発症原因に関する裏取り。
もう1つが《WITCH》感染者の経過観察だ。
発症原因の究明はともかく、経過観察、それも《MONSTER》ではなく《WITCH》の感染者に対する経過観察はなぜか。
一度掛かったら2度と発症しないとされる《WITCH》だが、俺という例外がいる。ならば新たな例外が出て来る可能性があるからだ。
現状、母数のみが増える確率だが、それでも0にならない以上考慮すべきだろう。
それに国的にはその例外を望んでいる面もある。
《WITCH》に感染しても抗体を得ず、俺と同じ永続もしくは長期保菌者となる人間が増えれば、《WITCH》その分多くの《MONSTER》に対応可能になるのだから、当然と言えば当然。
それに保菌者にならなくても抗体ができない体質だったなら、対《MONSTER》専門の要員として育てることもできる。そうなればその場に居合わせた素人に任せるよりも対処がしやすくなる。
だから、なるべく他者に浄化させろってのもそういう人材を見つけ出す目的もあるのだろう。
とはいえ、《WITCH》は近くに《MONSTER》がいないと発症しないし、万一《MONSTAER》大流行が発生したときのための戦力維持、暴走の危険性を考慮する等の理由で大規模な調査は行っていない。
現状だと調べるには実際に感染させる必要があるし、粗方調べ切ったあとで《MONSTER》大流行が発生が発生したら打つ手がなくなるもんな。
あと、言わせてもらうならば俺としては特に後遺症等の発生もなく無事抗体を得て普通の生活に戻って欲しいと思う。
そりゃ魔法使いに憧れる年頃の少女や一時でも若返りを願うおばさんもいるだろう。だが、それ以上に危険だし、今までの生活を捨てないといけなくなるのは考えるまでもないだ。
一度でも保菌者になってしまったら、仮に公僕、つまりは俺と同じ様な立場にならないにしても少なからず監視は付く筈だ。いや公僕にならないからこそか。
というのも管理外で感染者を増やされたり《WITCH》を悪用されたりするのは国としては看過できないからだ。
とまあ、今言った2パターンならば、ぶっちゃけ俺自身が出向く必要はないのだが、問題なのは……
「あっ、お兄さん!」
聞き覚えのある声に思考を中断され、俺はその声の主に言葉を返す。
ちなみに俺はこんなだが女だ。だから正確には「お姉さん」になるんだが、まあいっか。
「おう。えっと……」
そういえば名前を聞くのを忘れていたな。
「……アリスだっけ?」
あとで恩師に呼び出して貰おうと思ってたんだが、呼び出す相手の名前が分からないという間抜けな事態になるところだった。
そう思えばここで会えたのはラッキーだ。
「うん。わたしアリス。伏木アリス」
「おっけー。俺は彰。大槻彰だ」
名乗りに名乗りで返し、挨拶を済ます。
「あ、あの、彰さんって呼んでいいですか」
なぜか恥ずかしそうにそう訪ねてくるアリスに俺は二つ返事で許可を出す。
というか「お兄さん」って言われるより断然いい。いちいち訂正するのも面倒だし。
「そういえば、彰さんは昨日のことを聞きに来たんだよね?」
「そっ、発症の経緯とかその後の経過とかね」
そこで少し考えて、目の前の少女に問いかける。
「他の人からもいろいろ聞こうと思ってたけど、ちょうど会えた事だし、まずアリスから話聞かせて貰っていいかな?」
「はい!」
「ふふっ。いい返事を返してくれたのはいいが、なんか用事あったんじゃないのか?」
苦笑を浮かべつつ確認する。
いくら昼休みとはいえ、校門に近いこの場所で会ったという事はそれなりに理由があったはずだ。
「あっ、うさちゃんにご飯あげに行かなくちゃ……」
なんでもアリスは飼育委員で、学校で飼っているウサギ達の世話するために飼育小屋に向かうところだったらしい。
「なら、ちょうどいい。現場100返というわけでもないけど、他の動物達へ転移していないか確認する必要もあるし、俺もついて行っていいかな」
「はい!」