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fragment (一人の人を愛した神の務め)

 街が破壊されている。悪の組織、もしくは怪人。そう呼称するのがいいような異形の人間らしき存在が街に破壊をもたらしている。


「ぐあっ!」

「ふははは! まだその女を守る力があるようだな!」

「ユウヤくん!」

「大丈夫だユリカ!」


 怪人は周囲に存在する他の怪人、そちらは黒い全身を覆うコスチュームを纏っただけの人間に見えるが、それらに指示を出し街の破壊を行っている。怪人自身は彼らの悪行を止めに来た正義の味方と戦っている。いや、戦っていると言う表現は正確ではないだろう。一方的に嬲っているのが現状である。

 その原因として、ユリカと呼ばれた女性の存在がある。ユウヤと呼ばれた彼は正義の味方だが同時に高校生であり、ユリカと呼ばれた女性は同級生の彼女である。その存在が把握されたのか、それともたまたまデート中にこの怪人による悪行の現場に遭遇したのか、どちらにせよその女性の存在が彼の行動を制限している。正義の味方である彼と違い、女性の方は肉体的に脆い。正義の味方と怪人の戦いに巻き込まれれば確実に死ぬし、怪人が彼女の方にわざと狙いを定めることで守るために動かざるを得なかった。

 その結果が現状の一方的にやられている状態である。戦おうにも彼女の方を狙われてしまっては守りに動かざるを得ない。他の正義の味方はまだこの場に訪れておらず、防戦一方。このまま一方的に攻撃が続く状態ではいずれ敗北する。いや、その前に女性を守り切れずに終わってしまうことになりかねない。


「くっ!」

「まだ守れるか? まだ守るか! いつまで守れるかな!」


 怪人の方も当初の正義の味方を倒すと言う目的よりも、女性を攻撃しその守りに失敗した正義の味方の絶望を見たいという想いの方が強い。彼の目的もいつの間にか変わっていた。それは現状の一方的な状態にあることによる慢心か、それとももっと別の理由があるのか。


「ぐあっ!」


 正義の味方であるユウヤが吹き飛ばされる。女性に対する守りはない。


「これで終わりだ! ふははははははは! 守れなかったことを嘆くがいい!」

「っ!」

「やめろおおおおおおおっ!!」


 怪人の攻撃が女性へと迫る。そして大爆発を起こし、一瞬の間周りが見えなくなった。


「はははははははは……なに?」


 女性の前には一人の男性の姿が。その姿を見た瞬間、怪人はぶるりと震える。恐ろしいまでの力、恐ろしいまでの存在感、その気配だけで自分よりも格上だと本能的に判断してしまう。実際それは化け物だ。


「ったく。やっぱりこうなるのか」

「お、お前は何者だ!」

「ああん? 通りすがりの神様だよっ!」


 その男性が怪人に掌を向ける。そこからエネルギー波のようなものが放出され怪人を吹き飛ばした。


「…………」

「ユリカ、大丈夫、か……?」

「ユウヤくん……うん、大丈夫」


 怪人と男性の戦い、戦いというには少々一方的な攻撃を二人は見ている。正義の味方である彼でも、あの男性ほど一方的には戦えない。いや、男性の力は強すぎると言ってもよく、彼でもどうにもできないだろう。

 その男性は怪人を倒し、ついでに周りにいる雑魚怪人たちも倒し、ユウヤとユリカの側に訪れる。


「っ!」

「おい」

「……なんだ?」

「彼氏なら彼女をちゃんと守れや。それが男の役目だろうが」

「…………」


 初対面でいきなりそんなことを言われるとは思わなかった。そういう顔を彼はしてしまう。


「ったく。いつものこととはいえ……今回もか。しかたねえっちゃしかたねえんだが」

「いったい何を言っている?」

「大変かもしれねえけどよ。ちゃんと守れ。これからも似たようなことがあるかもしれねえ」

「だから何のことを……」

「じゃあな」

「あ!」


 男性は姿を消す。まるでそこにいなかったかのように。


「……今のは一体」







 ある世界の神は世界を見守っていた。それが神の役目だから当然の話だが、そんな中ある存在を見つける。その存在は基本的にどれだけ転生しても女性として生まれている。そして、悲惨な目にあって若くして死亡する。そんな運命を持っていた。通常ならば一人生における運命が後々すべての運命までを決定づけることはない。ほとんどの場合、転生した存在はそれぞれ別の人生を歩む。生まれも違い、育ちも違い、寿命も違うはずだ。しかしその女性はなぜか、ほぼ一定の年齢で死亡する。

 それを神は奇妙に思った。そしてその女性のことを見守ることにした。なぜそうなるかと。

 その答えが見つかることはない。あえて言うのならば、彼女は魂からそういう運命を有している。そうなることを決定づけられている、ということなのだろう。ただ、どんな人生であっても、どれだけ強力な護り手がいても、どれほど安全な場所にいても、彼女はその一定の年齢で死に至る。病気など、普通の死に方ではない。それは悲惨で容赦なく、その幸福を奪うような死に方だ。

 ずっと、神はそれを見守っていた。神にとって一存在の生死や運命は気にするようなことではない。なぜそうなるのかと興味を持った結果、見届けてしまったと言うだけに過ぎない。きっかけはそうだった。しかしずっと見守っていると神も彼女のことを気にすることになった。どうにかすることはできないかと。

 神にとって個人に関わることはあまり良いことではない。神の役割は主に世界の運営である。それゆえに、どれだけ悲惨な運命を持っていようとも、手を出すことは出来なかった。勝手にしても怒られる程度で済むかもしれないが、結局のところ彼女への干渉が途切れれば意味はない。ではどうすれば彼女を守ることができるのか。神はそのやり方を考えた。


 そうして神は上位の神、神々の管理を行う場所にて管理者たる神に話をつけた。どうにかできないかと。答えは単純だった。その女性を守ることはできる。ただし世界を管理する神としての役割から外れ、その女性への干渉の結果世界への影響を考えると同一世界で同じことを繰り返すことはできない。女性の魂は別の世界へと転生してもらう。その世界でまた守る。それを繰り返し続けることになるだろう。そう言われた。

 神は了承した。







 その結果が現状である。現在その女性はユリカと呼ばれ、ユウヤと呼ばれる男性とお付き合いをしていた。しかしユウヤは正義の味方であり、デート中にその戦いに巻き込まれる。運命では、そこで死に至ることになっただろう。そこに神が登場し、それを守った。今回はそうなった。

 神の対応により状況はその時々で変わる。別にその女性に惚れられたいと言う理由があるわけでもなく、神はその女性を守ることができればそれでよかった。恋愛感情ではない。場合によっては、今回のような既に付き合っているようなことでもなければ場合によっては惚れられたりすることもあり、神もまた一人生を付き合ったことはあるが、別に今回はそう言うこともない。神はあっさりと彼女の監視に戻るだけだった。

後出しになるからパクリと言われるかもと思う内容になってしまったもの。

あれをやって『あれ、これ発想似通ってない?』と思ったので早めに書くことにした。

やっぱり思いついたことはその思いついた時に書いた方がいいということでしょう。

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