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fragment (妙な考察を異世界で提出する)

異世界トラックとは



異世界トラックとはトラックによって主人公が事故死した結果異世界に行く現象。またはその現象を引き起こすトラックの事である。

主にその内容は後者の存在を指し示すことが多いだろう。

そもそも、なぜトラックにひかれれば異世界に行くことになるのか。転移に関してはともかくとして、転生に関しては説明するのは難しくない。

転生は死んだことにより次の人間へと生まれ変わることなのだから、それを起こすために死ぬという結果をわかりやすく起こすためにトラックによって轢かれるということは変な話ではないだろう。転移に関しては異世界転生と異世界転移の類似性、近似性からまとめて含まれた結果ともいえる。

そもそもからして転生と良いながら赤子になるわけではなくその世界に新たな肉体を持って移動する形もあるのでそれが転移に近いものとして考えられれ転生と転移の混同が起きたなどの理由も考えられる。


ではなぜそもそも異世界転生を起こすのにトラックなのか。

これは先にも書いた通り、転生という現象を引き起こすために死の結果を出すための死因として、

確実性の高くわかりやすいものとしてトラックが挙げられるのが理由だろう。

これは単にトラックに轢かれるだけではなく、誰かがひかれそうなのを守ると言う形で主人公の善人性を上げることもできるなどの利点もある。

しかし、そもそもこの発端、最初は恐らくは異世界転生や異世界転移の作品ではないのでは、と思われる。

ここであげられるのが、オタクのなかでは比較的かは不明だが有名なある漫画作品が理由にあげられる。

この作品の最初は、不良の主人公が子供を守るために付き飛ばしてトラックにひかれて死ぬ、という明確に先の内容に類似する形が描かれている。

この作品では転生や転移ではなく、肉体へと戻る幽霊的な立場なのだが、作品的にこの内容はかなり大きな印象を持っているのではないかと思われる。

一つは閻魔帳に記載されていない死を迎えること。これは本来死ぬ運命にはなかったことを示している。

死ぬはずがない人間が突拍子もない善行を行うことによって死に至り、その結果運命が変革した。それをどうにかする必要があると言うことで救済処置がなされる。そうした物語の流れが異世界転生や異世界転移に流用されているのだと思われる。

これは死を覆すことが難しいのが一つ。普通はトラックにひかれれば死体は原形をとどめていないようなひどい有様になるだろう。

それを復元し生き返らせるのは時を戻すのに等しく、ゆえに普通のやり方では難しい。なので異世界に移動させ、死んだことをなかったことにするという荒業を行う羽目になった。運命の修正として、そういう処置が必要になると言うケースも珍しくはない。

そしてもう一つ。わかりやすいことに、善行を行った救済処置がなされると言うこと。

良いことをすればその結果は自分に還る、因果応報情けは人のためにならず。良いことをすれば死んでもいいことあるかもと思わせることができる。

それは今の人間にとってはかなり好ましい、希望のあることだから受けやすかったから使いやすいかったのかもしれない。

そして、一番わかりやすいことにそのコンテンツに関わる人間にその作品のことを知っている者が多かったこと。

なのでそれがすんなりと受け入れられ、その元々の形から方向性が変わることになり現在の形態となったと思われる。







「何でも書いていいとは言ったが、まさか本当にこんなことを書いてくるとは……」

「いや、何でもいいと言われたので」


 どこかの王宮の一室。渡されたレポートの内容を読んで女性が頭を抱えている。その女性に対し学生はどこかとぼけたような表情で答えた。


「全く、私としてはこんなよくわからない内容ではなく、政治事情や国際情勢、社会常識の方を知りたいところなんだけどな。内容自体は分からない言葉もあったが単なる読み物としては……別に面白くもないが、きちんと読ませてもらったが。ところでこのトラックというのは何だ?」

「ええっと……自動車、といえば……」

「じどうしゃ? じ、どうしゃ。じど、うしゃ。じどう、しゃ。自動者? いや、社、写、車……自動車か?」

「音じゃわからないです。えっと、こっちにも馬車がありますね」

「ああ、やっぱり自動車であってるか」


 文字で起こされれば分かりやすいのかもしれないが、単なる音だけで話さればどういう字で書かれる言葉なのかもわからない。しかしそれでも自分で判断し答えに行きついた女性は要領がいいのか、頭がいいのか。

 それはともかく、この世界では馬車が普通の世界で自動車がない世界。それは彼らの会話で分かることだろう。しかしレポートの内容を見る限り、そのレポートを提出した学生……男子学生は自動車が存在する場所人間だ。つまり彼らは同郷の物ではなく、後者、男子学生の方がこちらの環境に訪れたということである。俗にいう、異世界召喚というもので。

 発端はこの国の宮廷魔術師の行った召喚術の実験が失敗したことが原因である。宮廷魔術師は空間転移を用いた召喚を行うことで、物の移動を楽にする手法を考えつきその実験を行ったのだが、その最中にミスをして失敗を起こしてしまった。これが他の魔術であれば話は違うのかもしれないが、空間転移を用いる召喚ということが悪かった。その座標、対象をしていない状態となった召喚術はあろうことか異世界に届いてしまい、その世界の住人を呼び出してしまったのである。これには宮廷魔術師もその証拠を消すのは難しい。人一人殺し隠すと言うのは魔術師であろうと面倒で大変なことだ。召喚術が誤作動し異世界に繋がった結果魔力がなくなってしまったのも一因だが。そうして王宮側に泣きつき、その召喚された人間を客人として扱うことでとりあえず問題を先送りにした。

 しかし、それも最初の内だけで徐々に召喚された人間は負担になる。そういうこともあって今学生の目の前にいる女性が何かに仕えないかと預かることとなったのである。呼ばれた彼が何をできるか分からない彼女は先に言った通り、何を書いてもいいのでレポートを提出すること、という話になり、そしてその結果書かれた内容が先のレポート、趣味満載の内容だったのであった。


「しかし、自動車とは?」

「ええっと、まず馬車がありますよね。馬車は馬が動かすわけじゃないですか。その馬っていうのは、車に対してはなんというか、動力という物なんですよね。つまり、車、車体部分を動かすのは別に馬である必要はないわけです。動力であれば、なにを用いても車体を動かすのには問題ないですよね。例えば魔術で風の魔術とかで風で押すとか。もちろんこれは自動車じゃないですが、つまり動力を用いて勝手に動く車体が自動車ってことです」

「ふむ…………確かに馬でなくとも人を使って車を動かすことはできるな。魔術も然り。しかし、それではただ転がっていくだけではないか?」

「もちろんそうですけど、当然人とかが動く方向を操作するなり、動力の停止をしたりとする必要があります。だけど動力は一度動き始めたら完全に止めるか燃料がなくなるまでは自動で動き続ける、だからまあ自動車……なんじゃないですか?」

「ふむ……面白そうな内容だな」


 この世界にはまだ自動車と呼ばれるものは存在しない。ゆえに馬車が移動手段となっている。しかし馬車は馬という動力が必要で、その育成や維持はそれはそれで大変なものとなる。それを代わりとなる動力を用いれば必要なくなるのであれば、それを作るメリットは存在する。それを彼女は今考えている所である。


「……しかし、動力か。魔術では明らかに効率が悪いだろうし……動力については何か知らないか?」

「ええっと……すみません、詳しくは知らないです。ピストンとか、古いもので別物だけど蒸気機関とか、爆発の爆発威力を用いるとかなんとなくであれば思いつきますが」

「そうか……まあ、専門家でもない君に何もかも知っていろという方が難しいな」


 女性はため息を吐く。仮に男子学生が知っていても実際に動力を作り動く過程で問題が発生しないかの確認は必要だろう。しかしそれが形になるまでの期間は短縮できたはずだ。それを思い、ため息をつくしかない。すくなくとも数か月でどうにか結果の出るものではないのだから。


「あー、でも」

「でも?」

「なんというか、鉄道? 特定のルートを通る車みたいなものなら自動動力でなくてもいいのかも?」

「ほう。それはどういう?」

「ええっと、要は車が動けばいいのなら、引っ張る機構があればいいわけです。水車とか風車とかそういうものを利用して。一定のルートを辿るものならそういう自動で動くものを利用して何とかできないかなって」

「ふむ…………」


 実際言ってみただけのものであり実現は難しいだろう。しかし、例えばごく短い場所であればその運用が不可能かと言われれば違う。例えばベルトコンベアのような機構であったりだ。


「色々と今までにない考えは浮かぶが……実現は難しいか。だが新たな発展にはなるかもしれない。よし、では行くぞ」

「え?」

「え、じゃない。君のレポートが発端だ。ならば君もついてきて、その内容がいいのか悪いのか、どう改善できるのかを指摘してもいいだろう? どうせ今君はやることもなく食っちゃ寝している状態なんだ。ずっとこのままでいられるはずもない。仕事をしてみるのもいいだろう」

「それはー……まあ」

「ああ、まったく。往生際が悪いな。そら行くぞ!」

「ちょ、ちょっと!? 引っ張らないでー!?」


 女性が男子学生の手を取り引っ張って外へと出て行った。これが彼の、異世界における発明事業の最初の一つ…………だったのかもしれない。

本当に適当に思いついた話。たまに妙なことを想いつくけどそれを実際に書いてみた場合、そして誰かに見せた場合を想像した結果生まれた話。普通なら誰かに見せることはないので異世界召喚されてそこで何でもいいから何か書いて見せろ、という話ならどうだろうという感じ。

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