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イノセント・フラワー  作者: 聖 刹那
春季章 《凍てついた花の雪解け》
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第一章《運命の邂逅》 Ⅰ

 自分の小説を読んでいただいたり、評価していただいたり、ブックマークしていただとくと凄く励みになります、感想も頂けると参考になるのでよろしくお願いします。

 『運命』なんて言葉、今までは信じていなかった。そしてこれからも――そう思っていた・・・・・・。




「おはよう、レイア」

 少女の声に私は陽光がさす森の木陰から目を覚ます。目の前には私の宿主である、幽霊のように半透明の少女・レティシアが微笑んでいる。

「おはよう、レティシア・・・・・・」

 私たちは客旅の身。住んでいる居宅がないので、野営することが主だ。

 寝起きの気怠さが抜けきれない体を起こし立ち上がる。レティシアは相変わらず微笑んでいる、その微笑みに含みがあることに気づく。

「どうしたの、レティシア・・・・・・?」

 私が訊ねると、勿体ぶったように「え~、どうしようかなぁ~? 言っちゃおうかな~?」と焦らす。

「いいから、話してくれないかしら・・・・・・?」

「仕方ないわねぇ~。甘えん坊さんなレイアちゃんに教えてア・ゲ・ル」

「いい加減にしなさい・・・・・・」

 一人で盛り上がっているレティシアを叱る。彼女は軽く咳払いしてから口を開く。

「実は『夢』を見たの、ある少女がこの森で『魔族』の男たちに襲われるの・・・・・・」

 レティシアは、未来の出来事を予知することができる夢、『予知夢』を見ることができる。『予知夢』を見る頻度は少ないが、その夢は確定事項であり、変えることのできない運命である。 

「それで・・・・・・、襲われた少女はどうなるの・・・・・・?」

 続きを促す私の言葉に再び含み笑いになるレティシアだが、その瞳は笑っていなかった。

「『魔族』の男が可愛らしい女の子を意のままにできると思う? なんと『魔族』の男たちは“力”を暴走させた少女に焼き殺されました、おしまい」

「そう、なら――助けに行きましょう・・・・・・」

 レティシアは、私の発言が予想外だったようで少し驚いた表情をする。

「あら~、貴女は他人のことなんてどうでもいい冷血少女かと思っていたけど~?」

 確かに私の体は死人よりも冷たく凍てついている。けれど、心までは完全に凍結してない。

「その娘は、きっと命を奪ってしまったことを後悔する・・・・・・私がそうだったように・・・・・・」

 私は過去に家族を傷つけらた怒りから、激情に身を委ね両手を紅く染めてしまったことがある。だから、その少女には十字架を背負わなくていいよう、私が『魔族』の男たちを懲らしめる。

 レティシアは艶やかな笑みを浮かべ意気込む。

「そう、なら助けちゃいましょうっ! その娘、とっても可愛いかったから一目惚れするんじゃないの、レイア~?」

「冗談言わないで。外見だけで誰かを好きになるなんて貴女ぐらいよ・・・・・・」

「失礼な~、それじゃあ、まるで私が軽薄女みたいじゃな~い?」

「あら、違ったかしら・・・・・・?」

「違いますぅ~」  

 そんな風にレティシアと冗談を言いながら笑い合う。私とレティシアは姉妹のような関係だ、どちらが姉なのかわからないが。

 レティシアが見た未来は、何もしないままでは変えられない。しかし、小さな行動でも起こせば変えることだできる未来だ。だから、私がその少女の悲しむ運命を変えてみせる。

 ――そして、私は出逢うことになる。『運命の出逢い』としか言い表すことのできない、愛しき彼女に・・・・・・。

 



 わたしが目覚めるといつも見慣れた自分の部屋にいる、ベットで横になっていた上体を起こしす。 

 目覚めたばかりで意識がハッキリしない、部屋を見渡すと、部屋の入口付近に誰かだ立ってるのに気がついた。

 わたしの部屋の入口付近で睨みつける女性は、二十代前半の外見に、橙色の髪を肩に掛からないぐらいのミディアムに、丸く碧い瞳に、穏やかな顔立ちで、耳が長く、スラリとした細身な体で――

「な~んだ、カーラママか・・・・・・」

「なんだとは、なによっ! 今何時だと思ってるの!?」

「ふぇ?」

 わたしは素っ頓狂な声を上げてしまったけど、それは気にしない、いつものことだ。わたしは、ちょっと? かなり? のドジで、よく物事を失敗してしまうことが多い。

 カーラママに促されるまま時計を見ると、いつもならとっくに起き上がっている時間だった。

「えっ、もうこんな時間、どうして起こしてくれなかったの・・・・・・?」

「何回も声をかけたのよ? でもフレアが、凄く幸せそうな顔だったり、もの凄く悲しそうな顔だったりして、起こすに起こせなかったのよ・・・・・・。それと、レイア、って娘だれなの・・・・・・?」

「えぇぇぇ!?」

「もしかして、彼女なの? 彼女なのね? 悪い娘じゃないでしょうね!?」

「そんなんだけど、そんなのじゃないから~」

 どうやらわたしは、寝言でレイアのことを呟いてたらしい。  

 最後の方のレイアの名前を叫んでいたけど、まさかそれも聞かれたのだろうか? それはないと願いたい。

「素敵な夢を見てたの、それより学校行く準備しなきゃ・・・・・・」 

「ええ、その話は後日改まって、ゆっくり聞かせてもらうわ」

「どうしてそうなるの!? と、とにかく顔を洗ってきます・・・・・・」

「顔洗ったら制服に着替えるのよ、あと朝食も食べていきなさいよ」

「うん、わかった」

 わたしは自分の部屋を出て洗面所で顔を洗いに行った。


 カーラママこと、カーラ・アデラードは、『エルフ』という種族で、特徴としては耳が長く、人間より“魔力”が高く、数千年の時を生きる長寿の人種である。

 一般的には森に住んでいるが、彼女は人間と共存する変わり者の『エルフ』だ。

 彼女は、しっかりもので、家事全般をこなし、仕事もきちんとこなす、立派な主婦である。

 しかし、わたしのことになると、とことん親バカで、わたしが家に友だちを連れてくるだけで彼女かどうか、友だちの目の前で詰問させられる始末だった。

  

 “魔力”とは、全ての生命に宿っている、生命の源である“マナ”から湧き出る霊的な力であり、生命を維持する上で最も重要なものである。

 “マナ”とは、目視できないが確実に存在するもので、一説では、精神や魂にあるとされている。

 生命は“魔力”が枯渇すれば衰弱し、尽きれば死滅してしまう。

 簡潔にいってしまえば、“魔力”は生命力、“マナ”は生命そのもの、といえるだろう。

 “魔力”は生きているだけで少しずつ消費されるので、常に一定以上を保っていなければならない。

 “魔力”の回復手段は、食事などで食材となってくれた生命に感謝して“魔力”をいただくか、入浴や、睡眠など、心を落ち着かせ、体を休めることなどである。


 わたしは洗面所で顔を洗い、歯を磨き。 

 自分の部屋に戻り、制服に着替えてから、朝食にするために居間に向かった。


 リビングではカーラママとエイダお母さんが朝食を終えて紅茶を飲んでいた。

 エイダお母さんは紅茶のカップをソーサーに置いて、わたしに視線を向ける。

「フレア、今日も寝坊か? まったく、だらしないなぁ~」

「そういう無気力なエイダお母さんは元気なの~?」

「おいおい、別に無気力じゃないぞ? ただやる気がないだけで・・・・・・」

「同じようなものでしょ?」

 エイダお母さんはしばらく黙り込み、頭を抱えた。

「娘もとうとう反抗期になってしまったか・・・・・・、幼い頃は『カーラママ、エイダお母さんだ~いちゅき♪』て言ってくれてたのに・・・・・・」

「仕方ないわよ、フレアにはもう彼女ができたみたいなの、レイアという女の子らしいけど、悪い娘じゃないかしら? 今まで恋愛に疎いフレアを悩殺するような娘なのよ? フレア、一体その娘に何をされたというの・・・・・・?」

「二人とも黙ってて!」

 好き勝手に言われるのが耐えられず、親バカな二人を一喝する。二人は親に叱られた子どものような顔をする、立場が逆である。

「いただきます」

 わたしは食事を用意してくれたカーラママに、食材となった命に、そしてその命に関わったものに感謝して、朝食のフレンチトーストを食べ始めた。

 朝食から甘い物を食べるくらいわたしは甘味が好きです。


 エイダお母さんこと、エイダ・アデラードは、なんと『天族』と呼ばれる、『天使』たちの天界【アースガルズ】のかなり偉くて強い“智天使(ケルビム)”らしい。

 その割には、黒目がちな瞳には生気をあまり感じずに、短く無造作な黒髪に、「髪伸ばすの手入れが面倒くさい」っと言っていたり。スリムで長身だから身だしなみを整えたら美人なのに、これじゃあ、残念美人もいいところだ。 

 家事は殆どカーラママがやっており、自分はだらだらしていて、なんか娘として恥ずかしいと思う。

「おい、フレア、なんか母さんのことで失礼なこと考えてたろ? 怒らないから言ってみろ」

 こんなエイダお母さんでも、良いところはある。カーラママは力仕事が苦手だから、困っていたらすぐに手伝うなどしており。 

(二人とも仲の良い婦妻(ふさい)だし、美人だしそこは娘として誇らしいかな?)


 ちなみに婦妻とは、文字通り女性どうしの婚姻を結んだ関係のことで、この世界では夫妻ではなく、婦妻が一般的である。


 『天族』とは、『天に属する者』。人間に味方する種族であり、『魔族』と敵対する種族である。

 『魔族』とは違い神秘的で聖なる力を持った存在とされており。

 人間よりも遥かに長い寿命を持っているのと、“魔力”が高いのは『魔族』と共通している。

 

 この世界【ルミナシア】は同性同士での結婚が認められており、女性同士で子どもが生まれるらしい。

 どうやって生まれるとかは、わたしは詳しくは知らない。本当だよ!?

 そして女性の人口は六割で、そのうちの九割の女性が同性愛者だという。

 男性は――興味ないから省略するね。

 一般的に男性より女性の方が“魔力”が高く強く、外見が美しく、長寿である。

 

 そして、女性の方が強いというのは、女性は男性より、霊的力であり、生命の根源である“マナ”が綺麗で純粋で、“マナ”から湧き出る“魔力”の恩恵だろう。 

 

 “マナ”が綺麗で純粋というのは、『心が綺麗であること』が要因である。

 女性の方が男性より腕力で劣っているということは紛れもない事実だ。

 しかし、“魔力”はこの世界で最も強い力である。

 

 “魔力”は、生命力であると同時に、最も破壊することに長けている力である。

 体で戦う『体術』。剣で戦う『剣術』。などの『武術』に置いて。

 女性は無意識に放出する“魔力”によって『武術』は爆発的に強化される。

 『素手を“魔力”で補助して殴打すれば岩を砕き』

 『剣に“魔力”を込めて切れば鉄を切り裂く』といわれている。

 それにより、女性は“魔力”を込めることを意識しなくても、成人男性を打ちのめすことができ。

 意識すれば、肉体の破損は決定的だ。 


 女性は“魔力”は放出するだけではなく腕力や脚力などの筋力、走力や体力などに自動変換される。変換される力には個人差があり、簡単にいうと、攻撃力、防御力、速力など偏りがあるが男性より総合的に勝っている。

 よって、男性に腕力で劣っていても、女性の“魔力”によって変換された腕力は男性の腕力を凌駕する。

 

 男性は、『魔力』が女性と比べると微々たるもので、『魔力』を行使することはでない。 

 以上のことより、女性と男性の間には超えられない壁が存在する。女性は男性を見下すことなく無関心なだけで、ただ、女性が好きなのである。


 そして、わたしは血が繋がってないけど二人の娘のフレア・アデラードといいます。 

 腰の辺りまで伸びた赤いロングウェーブヘアー。丸くて美しい青い眼。可愛らしい童顔。少し身長は低く華奢。それでいてかなり膨らんだ胸が魅力的と、親バカ、もとい両親が自慢してたけど、恥ずかしいからやめて欲しい。

 それと、学校でわたしは人気者らしいけど、外見が珍しいからみんな注目するだけだと思う、可愛い娘ならいっぱいるから。


 そして、わたしの両親が人間ではないように、わたしも普通の人間ではない。

 わたしには特別な力があり、それは、傷などが治る『自然治癒力』が極端に高く、怪我をしても数秒で完治して、それはわたしの意思とは関係なく発動して、『魔力』を全く消費しない。 

 その能力に近い能力で『治癒術』と呼び、他の人や他の生き物の怪我を治すことができる。 

 『治癒術』を使える人は極めて少ない、その多くが大怪我を治すことは不可能である。 

 しかし、わたしの『治癒術』は生きてさえいれば完全回復することができる。それに加えわたしの能力は生命以外も有効で、壊れたものでも破片だけでもあれば復元可能で、散らばっていようと砕けていた破片も集まり元の形に戻る。 

 つまり、『治癒』だけではなく『再生』させることができる。

 

 そんな風に思考を巡らせていると、あることに気付く。

(あれっ? この能力は夢で見たわたしの力と同じじゃないっ!?)

 そう、この能力は夢で見たわたしの特別な力そのものだった。

(偶然の一致とかじゃないよね・・・・・・?)

 これで、夢の信憑性が増した、まさかこの夢は―――


 そんなのこを考えながら食事をしてると、カーラママが尋ねてきて、わたしの思考は遮られる。

「フレア、貴女が見た夢の娘は、【勇者・レイア】のこと?」

「ん、そういえばレイアは『勇者』って色んな人に呼ばれていたけど、それがどうかしたの?」

 わたしが答えると、二人の表情があからさまに曇った。

「あれ、わたしなんかおかしいこと言ったの?」

 わたしの心配に気づいた、二人をはいつもの明るい表情に戻っていた。

「いや、【勇者・レイア】は二千年前の伝説だから、そんな夢をフレアが見るのは変わってると思っただけよ」

「そうだぞフレア、気にすることはないぞっ! そんなのとより時間大丈夫か?」

 時計を確認すると、もう八時を過ぎていた。

「わっ、もうこんな時間!?」

 わたしはトーストを食べきり、紅茶を一気飲みきり。

「ごちそうさまっ!」

 食材となった生命、及び、その食材に関わった命に感謝を述べ。

 カーラママが作ってくれた弁当を鞄に入れて、玄関に向かい靴を履いた。

「いってきま~す」

「「いってらっしゃい」」

 二人の声を背にわたしは学校へ向かい家を飛び出した。


 

 カーラはフレアを見送ってから重いため息をついた。

「やっぱり彼女たちは、また、巡り会う運命なのね・・・・・・」

「ああ、でもフレアなら大丈夫だろ、なんたって私らの自慢の娘だからな」

 エイダの言葉に少し驚いたカーラだが、すぐに元の穏やかな笑顔に戻った。

「それもそうね、あの娘なら・・・・・・」

「フレアなら、どんな困難にも立ち向かっていけるはずね」

「子を信じるのが親の努めだしな」

 二人は微笑み合って、職場に向かって行った。



 フレアは街外れの森の一軒家に住んでいます、学校に行くためには、森の中を通学しなければ行けません、森の中に危険な魔物はいませんが、彼女がそこで出会うのは――


 編集しました、読んでい頂いた人には、申し訳ないです。

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