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イノセント・フラワー  作者: 聖 刹那
序章 《出逢うための追憶》
2/22

回想 《夢物語への渇望》

赤の追憶は、フレアが見た夢の最終部分です。長い回想で申し訳ないです。


 長い夢を見た。

 どこか懐かしいような、それでいて、お伽噺のような夢だった。 

 レイアとういう少女と世界を旅し、『魔王を討伐する』という話だ。

 しかし、戦争などの大規模な戦いが千年近く行われていない現在に置いて、それはどこまでも現実味のない話である。




 この世界【ルミナシア】とは別の世界があると伝えられており、『魔族』の魔界【ニヴルヘイム】という世界が存在するという。

 『魔族』とは、『魔に属す者』。人間の敵対種族の呼称の一つで、邪悪で凶暴な恐ろしい『悪』の存在から『悪魔』ともいい。人間より遥かに長い寿命を持つ。

 そして、その魔族を統べる者、『魔族』の王のことを『魔王』と呼ぶ。

 『魔王』は世界【ルミナシア】を支配するため、無数の『魔族』を引き連れ【ルミナシア】に侵略を開始する。

 『魔族』の力は圧倒的で、【ルミナシア】の統治機関『聖教会』が応戦するが、『聖教会』の抵抗も虚しく、【ルミナシア】は『魔族』の手に落ちる寸前だった。




 そんな絶望的な状況下、人々の祈りと願いを受け、全ての生命の起源である世界樹【ユグドラシル】より一人の少女が誕生した。

 彼女の名はレイア。後に『魔王』を討伐する勇ましい者『勇者』と呼ばれる英雄となる少女。

 彼女は特異な存在であり、生まれて間もないが、十七歳の外見と知識を持っていた。そして、人間では太刀打ちできない『魔族』を単体で打ち倒すだけの力が彼女にはあった。

 しかし、彼女は『聖教会』の依頼である『魔王討伐』を快く引き受けてはくれなかった。

 生まれたばかりの彼女に、『魔王討伐』、『魔族と戦う』ことは、酷な話である。

 幾ら彼女が人並み外れた力を持った存在であっても、数多の『魔族』が蠢く『魔族の領域』に一人で乗り込むことは無謀である。

 そして、『聖教会』の関係者で特別な力を持ったわたしは彼女と出会い。散ってしまいそうな花のように儚くも美しい彼女に一目惚れしていた。

 わたしは『聖教会』や家族の反対を押し切って無理矢理、彼女の旅に付いていくことにした。 

 『魔王討伐』という重役を背負った彼女の支えに慣れればいい、なんてものは口実で、本当は彼女の傍にいたかっただけだ。

 そして、「この世界を守りたい」、「貴女の支えになりたい」というわたしの想いを知り、彼女は『魔王討伐』を引き受けてくれた。

 出会って間もない上に、生まれたばかりの彼女はわたしの好意に初めこそ困惑したものの、一緒に旅をし、『魔族』と戦い、助け合って、人々を救い、喜びを分かち合い、やがて惹かれ合いわたしと彼女は最愛の人となっていた。

 彼女と過ごす日々は、とても尊く、そして、どこまでも幸福に満ち溢れたていた。




 そうして、『魔王の城』に辿り着き、『魔王』との決戦となった。

 レイアと『魔王』の力は互角で戦いは壮絶を極めた。

 その戦いの末に、レイアは『魔王』を討伐することができたが、わたしは瀕死に陥っていた。

 もうすぐ死ぬ、そう諦めていたわたしに、レイアに命を分け与えられ、なんとか一命を取り留めた。

 しかし、その代わりに彼女は消滅してしまった・・・・・・。

 わたしが彼女に一緒に付いていったりしなければ、彼女が落命することはなかったのだろうか? それとも、『魔王討伐』を放棄して二人でどこか遠くへ行ってしまえば良かったのだろうか?

 彼女の愛おしさを思えば、そんな気さえしてしまう。それほど、彼女のことを想っていたのだろう。




 これは、夢であることはわかっているのに、本当に夢かどうか疑ってしまう。

 現在、『魔族』の姿を見るものは、まったくおらず。『魔族』が伝説上のものだと思われている。

 しかし、こんなに鮮明に記憶に焼き付く夢を夢といえるのだろうか?

 これは、幻想(ゆめ)であり、わたし理想(ゆめ)なのだろう。

 生まれてこの方、恋愛というものとは無縁だった。わたしに好意を向ける人は多いが、レイアのように心から愛してくれる人はいないだろう。 

 そんなわたしは誰かを心から愛してみた、心から愛されたい、そんな願望があるのかもしれない。

 例え平穏な日常が終わろうと、あんなに鮮烈な恋ができるなら、再び彼女に出会えるなら、わたしは嬉々として火の中に飛び込むだろう。

 レイア、彼女のことを想うだけで胸が切なくなり。彼女の笑顔を見るだけでとても幸せな気分になる。

 好きな人はいる、家族や友人などだ。しかし、レイアのことのように情熱的に誰かを好きになったことはない。

 夢の中で会った少女に恋に落ちることは、可笑しな話かもしれない。

 それでも、わたしは信じている。

 これは、ただの夢ではなく、これから起こる彼女との出会いの前触れであることだと――願っている。



 

今度こそ物語が始まります――と思いきやもう一人の回想です、ごめんなさい。 


追伸:大部分、編集しました。前から読んで頂いた方々には、心よりお詫び申し上げます。



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