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イノセント・フラワー  作者: 聖 刹那
春季章 《凍てついた花の雪解け》
16/22

第三章《巡り合う花》 Ⅱ

 視点変更してレイア視点です。ころころ視点を変更することはしないので安心してください。


 あらすじを編集しました。この方がいい気がしたので。

 このアルカディア学園の学園長に私の知り合いがいるので、転校は穏便に取り計らって貰えた。六年以上休学していた私たちが高等部の三年生になるのは可笑しな話だけど、学力的にも問題ないらしいので、そこは大丈夫らしい。元より、高校卒業程度の勉強は独学で習得済みだった。

 なぜ、休学していたのに学校に通いたくなったかというと、言うまでもなく彼女がのお陰だ。

 私の隣の席に座っている少女、フレア・アデラード。ふわりとした赤いロングウェーブヘアに、青く丸くて美しい眼に、可愛らしい童顔で、華奢な体つきに、かなり主張している大きい胸で、とっても可憐な少女。彼女の魅力は容姿だけではなく、天真爛漫で心が美しく、彼女が微笑むと花が咲いたような笑顔を見せてくれて、私まで笑顔になる。

 そんなフレアが私のことを好きだと言ってくれた、私なんかのことを。彼女のまっすぐな想いは、まるで太陽を見るように眩しいけど、ただ純粋に私のことが好きなんだということが伝わってくる、だから、私も彼女に惹かれてしまうのだろう。

 私とフレアは以前から面識があったのかもしれない。けど、私がフレアに会ったのはここ数日前の話だ。もし会っていたとしたら、あんな可憐な少女のことを忘れることはない。でもレシティアも何か知っているようだった。分からないことが多いけど、フレアは魔族に目を付けられたから私たちが守っていこうと思う。彼女は魔力が高いから戦い方も教えようと考えてる、本当は彼女が誰かを傷つけたり、傷ついたりして欲しくないけど・・・・・・。


 そんなことを考えてるとチャイムが鳴り、午前中の授業全て終わり昼休みとなった。

「レイア~、お昼一緒に食べよう」

 フレアが人懐っこい笑みを浮かべてこちらに来る。昼食をとらなくても彼女の笑顔で心は満ち足りる。

「ええ、喜んで・・・・・・」

 すると、二人の少女が私の席に来た。

「渚、翼も一緒に食べようよ~」

 渚と呼ばれた、黒髪ロングストレートに、紅の月のような瞳、お淑やかで、華奢な少女。アルカディアは和国の文化を強く受けていて、そこの言葉で表現するなら大和撫子という言葉がピッタリだった。

 翼と呼ばれた、短い黒髪に猫耳のようにな上に伸びていて、猫のような空色の瞳、スラリとした長身で、猫のような少女。男子生徒の制服を着ているけど、魔力の高さからして女性だということが分かる。それと、着痩せするタイプだと思う、胸がかなりあるから。

 二人とも無原罪者(フラワー)だと思うけど、翼はかなり魔力量が高いが、渚は魔力量が余り高くない、力が眠っているみたいだ。それは、それとして二人ともフレアに負けず劣らず美しい少女である、きっと人気があるのだろう。

「ああ、丁度いい、剣の魔女さんと話したいと思っていたからな」

 猫のような少女の翼が私を睨む。見た目とは裏腹に鈴が転がるような声をしている。なるほど、声でも彼女が女性だと判断できる。

「翼、なんでそう突っかかるのですか?」

 渚がたしなめるように言う、その声は透き通るような声で綺麗だった。

「だって、こいつが信用できるような奴か分かんないだろ?」

「レイアさんに対して失礼ですよ! 彼女は二回もフレアを助けたんですから」

 翼と渚がもめてると、フレアが話し掛けてきた。

「仲の良い二人はほっといてお昼にしよう?」

「そうね、ここではなんだから場所を変えましょう・・・・・・」

 私とフレアは教室を出て、昨日、アリスと戦った屋上へ向かった。

 

 私とフレアが屋上に着いてからしばらくして渚と翼が来た。それぞれの弁当を開けて食べ始める。まあ、私は食事をちゃんとしなくても魔力供給できれば、それでいいので碧海の書から林檎を一つ取り出し食べ始める。それを見て三人が驚く。

「レイア、ちゃんとした弁当持ってきてないの?」

「フレア、驚くところが違いますよ。レイアさんその本は魔道書ですね?」

 渚が碧海の書に視線を向けながら尋ねてきた。

「別に魔道書なんて珍しくないでしょう・・・・・・?」

「珍しいですよ、魔道書といったらAランク以上の宝具ですよ? まず持ってる人はいません」

 宝具とは様々な不思議な力を持つ道具のことで、魔道書、魔法剣、魔石などがあり、ランク分けされており、上から、Aランク、Bランク、Dランク、Eランクとなっており、規格外の物はSランクに分類される。Eランクはそこまで珍しくなくいが魔力を要するため女性なら使うことができる。Dランクは少し珍しく魔力が平均より高い女性じゃないと使うことがでない。Bランクはかなり珍しくエルフや魔族並に魔力が高くないと使えない。Aランクは非常に珍しく無原罪者(フラワー)じゃないと使うことができない。Sランクは神話級で固有の宝具のため、それを所持する無原罪者(フラワー)しか使用不可で、破壊することは愚か傷一つ付けることもできない。

 ちなみに、この魔道書は、碧海の書といい、私専用のSランクの固有宝具で、私の所持する物ならなんでも出し入れ可能な便利な本、他にも秘められた力があるみたいだけど、まだ試したことはない。私に実体がある時はレシティアがこの本の中に存在していて、レシティアが表に出てる場合は、蒼天の書という。どちらかの魔道書に触れたことがある魔力の高い存在には私たちのことは霊体といった半透明な姿で見える、霊体に触れることはできない。

「説明するより、触ってみたほうが分かりやすいと思うから・・・・・・」

 私は渚と翼に碧海の書を差し出す、恐る恐る二人は触れようとする。既に触れたことのあるフレアはお弁当を食べながらこちらを眺めていた。

 二人が碧海の書に触れる。すると、今まで見えなかったレシティアの姿が見えたようだった。

「こんにちは~、渚、翼」

「貴女はレシティアさん!? その姿は・・・・・・?」

 渚と翼は驚いた表情でレシティアを見ている。レシティアは妖艶に微笑み答える。

「実は私は幽霊で、もう死んでいました~」

 二人は言葉を失う、フレアは呆れた顔でレシティアを見ている。流石に二人が可哀想なので私は口を開く。

「レシティア、嘘つかないの・・・・・・」

「ちょっと、ふざけただけじゃな~い?」

 私も呆れて嘆息して、渚と翼に視線を向け説明する。

「ごめんなさい、このレシティアの姿は霊体といって精霊に近いかな? 私が表に出てる時はレシティアが霊体、レシティアが表に出てる時は私が霊体、表裏一体、コインの裏表みたいな感じね・・・・・・」

「なんか、色々ややこしいな・・・・・・」

「補足すると、私かレシティアの魔道書に触れたことのある魔力の高い人には、霊体が認識できるようになるの・・・・・・」

「なるほど、そういうことでしたか」

 渚と翼は納得した表情になる。まったく、私の宿主様は困った人ね、まあ、レシティアのこういう性格は嫌いじゃないけど。

 しばらく、食事をしていると余り口を開かなかった翼が私に視線を向けて尋ねてきた。

「レイア、お前はフレアのことをどう思ってるんだ?」

「なっ!?」

 のんびりお弁当を食べていたフレアが動揺し始めた。質問の趣旨がよく分からないけど、思ってることを口に出す。

「フレアは、明るくて、優しくて、とっても可愛らくて、凄く魅力的な女性だと思うわ・・・・・・」

「わ、わたしもレイアのこと、強くて、上品で、凄く美人で、レイアのこと大好き」

 フレアは飾り気のない笑顔で答える。私もフレアのことが好きだけど言葉にしてしまうと、彼女を傷つけることになるから怖い、例え結ばれたとしても私はいつまでも咲いていられる花じゃないから。

「そういうことじゃなくて、フレアはお前が巻き込んだせいで魔族に狙われてんだろ?」

「違うよ! わたしが魔族に目を付けられたのはレイアのせいじゃないよ」

「いいえ、フレア。私をアルカディアまで追って来た魔族のまどろみの森でも貴女の目撃情報、そして昨日のアリスはその情報からフレアを狙ってこの学園に潜入したようね。私と会わなければ平穏な生活を続けられていたわ・・・・・・」

「それでも、レイアと会わなければよかったなんて絶対に思わないっ!」

「そう、ありがとう、私もフレアに会えて良かったわ・・・・・・」

 誰も責めようとしないフレアは優しい、優しすぎる。しばらくして、翼は話を戻す。

「じゃあ、これからどうするんだ? 魔族に狙われたフレアを?」

「もちろん、私とレシティアが守るわ・・・・・・」

「えっ!? 私も・・・・・・」

「当然でしょう・・・・・・?」 

「でも、フレアは戦い方を教えたら、もの凄く強いから私たちが守る必要は・・・・・・」

「四大悪魔が相手でもそれが言えるかしら・・・・・・?」

 レシティアは表情が凍る。いつも余裕の笑みを浮かべていたレシティアがこの話題を出すと感情的になる。四大悪魔は魔界・ニヴルヘイムの最上級悪魔で、魔界を統る魔王と同等の力を持っているといわれている。

「そういうことで、私たちはフレアを守りながら戦い方も教える、それでいいかしら・・・・・・?」

「分かったよ、けど、フレアに何かあったら八つ裂きにしてやるからな?」

「ええ、守ってみせるわ・・・・・・」

 翼はやっと納得してくれたようだった。フレアは私が守ってみせる、例えこの命に代えても。私は決意したが、フレアはどこか心配そうに私を見ていた。

 お昼休み終わりの予鈴が鳴り、午後の授業が始まろうとしていた。


 



 次回、午後の授業は模擬戦闘です。

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