第三章《巡り合う花》 Ⅰ
なんか出オチになってる気がしますけど、まあ、生暖かい目で見守ってください。
この話は視点変更することがあるのでフレアを「わたし」にして、レイアを「私」にしました。
四月一四日、アルカディア学園、三年生・花組教室にいるわたし。朝のホームルームの開始前です。
「にへら~」
「フレア、何ですか? その緩みきった表情は・・・・・・」
自分の机でぼんやりしていたら、落ち着きのある少女、渚が話し掛けて来た。それと、猫のような少女、翼も眠そうな顔でこちらに来る、あくびをする姿が猫のようで微笑ましい。
「そんなに緩い表情してる~?」
わたしが尋ねると翼が前に出てわたしの頬を両手で引っ張り始める。
「どう考えても緩いだろ、餅みたいだぞお前」
「いたいよつばしゃ~、ひぱりゃにゃいで~」
上手く言えてなかったけど、まあ仕方ないか。わたしの頬は餅のように伸びたり縮んだりする。
「翼、フレアが可哀想です。やめてあげてください」
「はいはい、悪かったよ」
心配そうに見ていた渚が翼を止めてくれた。翼は頬から手を離し腕を組んだ。
「うう、まだ頬が痛いよ~」
「どうせ、ほっといたらすぐに戻るだろ?」
赤くなっていた頬はすぐに痛みが引き元の頬に戻る。わたしの再生能力で怪我をしても直ぐに治る。
でも、痛いものは痛いからやめて欲しいな~。
「それよりフレア、またレイアさんとでも会ったんですか?」
「そうなの~、昨日ね・・・・・・」
「あのアリスって奴、なんだったんだろうな?」
わたしの言葉は翼に遮られる。
「ちょっと~、まだ説明してないのに~」
「だってまた、わたしのピンチにレイアが助けてくれたの~。みたいな感じだろ?」
「う~、そうだけど~」
わたしは不満顔になってむくれる。渚がわたしをなだめて口を開く。
「昨日、フレアとアリスさんが昼食に行って帰ってきてから、誰もアリスさんのことを覚えていないらしです。あれだけ可愛らしく目立つ少女のことを忘れることはないと思うのですが・・・・・・」
「えっ? それってどういうこと・・・・・・?」
「つまり、アリスさんのことを覚えているのはわたくしたちだけということです」
アリスちゃん魔界に属しているみたいだったから何か関係があるのかな?それと、アリスちゃんはわたしとレシティアのことをお姉ちゃんと呼んでいたことも気になる。
わたしが考え事をしていると担任の教師・クローム先生が教室に入ってきた。クローム先生は紫色の髪を胸の辺りまで伸ばしていて、黒い眼鏡をかけて、長身でスタイルの良く。若くて明るい特に女子に人気のある先生で、女子に人気な理由は・・・・・・。
「おはよ~、可愛い女子生徒たち。ついでに男子も」
女子は嬉しそうに元気に挨拶してる。男子は元気なく挨拶してる。別に男子が嫌いなわけじゃないだろうけど女子が好きなだけだと思います、この世界は女性の同性愛者が九割だと言うから仕方ないのかな?
「それでは、ホームルームを始めるけど、その前に転校生を紹介するねわ~、入ってきて~」
転校生と聞いてクラス全体がざわつく。そう、わたしが朝からご機嫌なのはあの娘たちが転校してくるから凄く嬉しいからである。
でも、教室のドアを開けて入っくる人はいない。クラス全体が響めく。
しばらくすると青い蝶の群れがどこからともなく現れ少女の形となり、夜空のように蒼い髪に、右目は前髪に隠れており。艷やかな顔に、左目は青空のようで、その下に泣きぼくろが色気を放ち。透き通るような白い肌に、華奢な体ながら豊かな胸の少女が優雅に挨拶する。
「はじめまして。今日からこの学園に通うことになったレシティア・エンフィールドです。女性のみなさん、どうかよろしくお願いします」
妖艶に微笑むレシティア、クラスの全体の生徒が悩殺され、心を奪われる。クローム先生もレシティアを見てうっとりしてる。
心を奪われていた生徒たちが徐々に戻ってくる。そして、レシティアと目が合ったからお互いに微笑む、相変わらず美人だけど色気を放出しまくるのはどうのなのかな~?
「それと、もう一人、転校生を紹介するわ」
クローム先生の言葉にさらにクラスがざわめきを立てる。もう一人の転校生はわたしの大好きな人、だから胸が踊る。
「じゃあ、交代するわね、レイア」
レシティアがくるりと一回転すると青い光に包まれる。すると、清い川の流れのような碧髪に、右目は前髪に隠れており。整った顔立ちに、左目は紅の宝石のようで。雪のように白い肌に、華奢を思わせながら豊満な胸の少女に姿を変えた。
「はじめまして・・・・・・。私はレイア・エンフィールドです。よろしくお願いします・・・・・・」
水のように澄んだ声に、今にも散ってしまいそうな儚い花のような少女に、クラスは全体は夢を見ているような感覚になって見入っているいる。しかし、わたしは机を立ち上がりレイアに向かい駆け出す。
「会いたかったよぉ~、レイア~」
「私もよ、フレア」
わたしは我慢できなでレイアに抱きつく、レイアは優しく包み込むようにわたしを受け止める。甘い香りと温もりに包まれる。
月のように柔らかい眼差しで微笑むレイア。わたしも満面の笑みを返す。
落花流水。わたしはレイアに身を委ねたい、そしてレイアはわたしに身を委ねて欲しい、そんな気持ちになる。
クラスメイトは唖然としてる。クローム先生も見入ってたけど話を再開する。
「朝から眼福な光景でいつまでも見ていたいとことけど、授業もあるし話を再開するわね。レイアさんたちは長期休学していたけど学力的にも問題ないし、本人たちの希望でこの学園のこのクラスに転入してきたの、彼女たちは二重人格とかじゃなくて深い事情があるみたいだけど、余り気にしないで上げてね」
クローム先生にみんなしっかりと返事する。そして、クローム先生がこちらを見る。
「フレアさん、隣の席が空いてるからその席でいいわね。あと、結婚式には呼んでね?」
「はい、もちろんです・・・・・・、って結婚っ!?」
わたしは驚いて素っ頓狂な声を上げる。レイアも少し照れて頬が赤く染める。
「ここまで見せつけておいて、照れてるなんて初々しいわね~」
「いや・・・・・・、これは・・・・・・その・・・・・・」
「私はフレアが望むなら、この身を捧げます・・・・・・」
わたしが困っているとレイアはきっぱりとそう言った。クラスがまたざわつく。
「そういうことだから、よろしくね、フレア・・・・・・?」
「うん、これからもよろしくね、レイア」
まるで結婚式のバージンロードを歩くように二人で腕を組んでで席に向かった。クラス全体から拍手喝采を浴びた。
次回、レイアとレシティア、渚と翼の対面です。




