赤の追憶 《夢に散る白百合》
この唐突な話は、フレアという少女の夢です、彼女は、夢の中でレイアという少女のことを知っているようでした。この夢は、過去の話なのか、未来の話なのかもしれません。
女の子同士の同性愛、百合要素、というよりそれが普通の世界ですので苦手な方はご注意ください。
初投稿で至らない点ばかりだと思いますが、何卒よろしくお願いします。
挿絵なども描いていくつもりですが、絵は下手なので期待しないでください。そして描くのも遅いので小説を投稿してから後出しすることが多いと思うので、ご了承ください。
「フレア・・・・・・」
声が聞こえる。わたしを呼ぶ声が聞こえる。水のように澄んだ優しい声、でもその声は悲しみに満ちていた。
「お願い・・・・・・、目を開けて、フレア・・・・・・」
重たい瞼を開く。
紅い月が照らす荒城。血に染まった海。そして、わたしを優しく抱く華奢な少女。
「貴女がいなくなったら私は・・・・・・私は・・・・・・」
どうして彼女は泣いてるのだろう? そして気づく、わたしの左胸からおびただしい血が流れていることに。
――そうか・・・・・・、わたしはもうすぐ死ぬんだ・・・・・・。
体は熱を失っていき、それと同時に意識も薄れていく。
しかし、わたしを抱く少女の温もりが、生と死の境界でわたしの意識を繋ぎ止めている。
わたしのために泣いている彼女は誰なんだろう?
雪のような白い肌。白銀の長い髪に右眼が隠れ。紅の月のような輝きを放つ左眼。端麗である顔は涙に濡れ、悲しみに染まっていた。
『白百合』のように美しい少女だった。
名前はわからないが、これだけは理解できる。彼女にとってわたしは大切な人で、わたしにとっても彼女は大切な人だということ。
やがて彼女は泣き止み、わたしを見つめる。その瞳には決意が宿っていた。
「ごめんねフレア・・・・・・、私には貴女を救う方法が一つしか見つからなかったの・・・・・・」
彼女がわたしの右手を優しく両手で握り、胸の前で祈るようにして、そっと目を閉じた。そして、わたしと彼女の体が光の渦に包まれていく。
「貴女のその傷は私にも・・・・・・貴女自身でも治すことはできない・・・・・・」
彼女から放たれる光が私の中に注ぎ込まれる。彼女の存在を感じる、温かく優しくてとても心地よい。
「だから、私の命を貴女に分けるの・・・・・・。私は消えちゃうけど、フレアが生きているならそれでいいの・・・・・・」
そう言って彼女は切なく微笑む。その微笑みはとても痛々しい。
わたしのために彼女は犠牲になるということだと理解して、止めようとするが、体は指先すら動かすことができず、声は枯れて彼女の耳に届くことはない。
光が注がれるとわたしの傷は見る見る塞がり、それと同時に彼女の存在が希薄になり、淡い光となって消えていく。
「待って、消えないでレイア・・・・・・」
体が治ったわたしは立ち上がり、消え入りそうな声で呟く、そして思い出す彼女の名前――レイア。
「ごめんなさい・・・・・・、私もフレアともっと一緒にいたかった・・・・・・。でもさようなら、今までありがとうフレア、愛しているわ」
「わたしも愛してるレイア、だからお願い消えないで・・・・・・、ずっと一緒にいてよ・・・・・・」
わたしは消え逝くレイアに手を伸ばす、しかし、その手は空を切り、何も掴めなかった。
レイアは微笑み、儚く消えていった。まるでゆっくりと『白百合』の花が散りゆくように。
「レイアァァァァァッ!」
わたしの叫び声は虚しく響き、そこで意識は途切れた。
そして物語は、フレアが目覚め学園に通うところから始まります。
かなり編集しました、今まで読んでいた方には、ご迷惑をお掛けしますことを、心よりお詫び申し上げます。