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ナンパ男はしつこい

いらっしゃいませ。何かお探しですか?」


 店に入ると店員が出迎えてくれる。俺はペアで何か買うものはありません

か?と言うと、店員は少々お待ちくださいと言ったあと、いくつか商品を持

ってきてくれた。


「こちらのペアリングなんていかがでしょう。この指輪を二人一緒につける

とその人達はずっと幸せに暮らしていけるというおまじないが込められてい

るそうです。プレゼントにいかがですか?」


 そう言って見せてくれたのは銀色の綺麗な指輪だった。でも、値段も高い

し、これをプレゼントしても確かに綾は喜んでくれるかもしれないが、何か

違うと思った。

 俺は店員に自分で探します。と言うと、店内を物色する。すると可愛らし

い猫のペアキーホルダーを見つけた。


「キーホルダーか・・。綾って結構俺にメールとか電話とかしてくるから

これがいいかも」


 これに決めた俺は会計を済まし、綾が待つ方へと向かった・・・・。


・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・



 綾が待っている方へ着いたが、肝心の綾がいなかった。


「あれ?どこ行ったんだ・・・?」


 周りを見渡すが見当たらない。俺は少し不安になったので探しに行くこと

にした。

 少し進んだ先の店の前で綾はいた。俺はとりあえず胸をなでおろす。

しかし綾の表情は怒っているようだった。


「ちょっとだけでいいからさ!君本当にそんなに可愛い顔して遊ばないなん

て勿体無いって!」

「そうそう!俺たちが楽しい遊びいっぱい知ってるからさ。一緒に行こう!」

「・・・・・」



 ああ。なるほどナンパか。綾を一人にするなんて迂闊だった。銀色の髪と

いうことでまず目立つ上に、可愛いから綾はよくナンパされる。大体のナン

パは綾がすぐ蹴散らすのだが、どうやら今回のナンパはかなりしつこそうだ

った。


「ねえちょっときいてる?無視しないでちゃんと俺達の話聞こえてるー?ね

えー?」

 

 すると黙っていた綾が男たちを睨みつける。


「黙ってくださいこのクズ野郎。あなた達みたいな低俗な輩がいるから日本

が頭を悩ませていることに気づかないんですか?と言うか私に喋りかけない

でください。これから大事なデートなので」

「ク、クズ・・・。でも、その彼氏とやらはどこにいるの?君をこんなとこに一

人で置いていってさ。そんな彼氏なんかより俺たちと遊んだほうが絶対楽し

いって!後悔させないからさ!」

「そうそう。圧倒的かつ絶対的な楽しい遊びを伝授しちゃうよ~!?」


 そろそろ綾が限界そうだ。俺は綾の方へ向かう。


「綾、待たせたな」


 すると怒っていた表情が一変して俺の方へ駆け寄ってきた。綾が俺の背中

に隠れる。


「渡したいものがあるんだ。ここじゃなんだからあっちにいこうぜ」

「はい!行きましょう」


 そうして綾の手を握り、この場を立ち去ろうとすると男たちが行く手を阻

む。


「ねえ君がこの子の彼氏?なんでこんなのに惚れたのか理解できないな。俺

たちの方がかっこいいぜ!」

「そうか?俺的にはまあまあかっこいいと思・・ぁいてっ!」

「彼氏を褒めてどうすんだよ!

 とにかくさ、君その子を置いていってよ。そしたら俺たちもすぐに行くか

らさ」


 成程。これは確かにしつこいな。はっきり言ってかなりうざいし不愉快だ


「意味がわからない。綾、行こう」


 そう言って行こうとすると、逆の手を掴まれる。


「おい、聞いてなかったのか。その子を置いて行けって言ってんだよ。その

子は俺のもんだ」

「・・・・」


 手を掴まれてはどうしようもないので、俺は相手と向き合う。男たちはわ

かりやすい軽そうな男だった。金髪にピアスをしているものまでいる。

 俺もいい加減うんざりしていたのでちょっと懲らしめることにした。


「俺たちに関わるな。これ以上関わるなら本気で怒るぞ」


 俺は男が握ってきた方の手を思い切り握りつぶす。


「あぃてててて!!」

 

 男は一瞬気をそらして手を離す。その隙に俺は男の腹に思い切り拳を殴る

。男は衝撃で吹っ飛んだ。


「綾!走るぞ!」

「はい!」


 男たちが驚いているうちに俺達は走って逃げたのだった・・・・。



・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・



「クソ、!やられた!!」

「兄貴、どうします?追いかけますか?」

「ごほ、ごほ!いや、いい・・・。クソ、やりやがったなあの野郎・・・!」

「でもあの制服って確かキサラギ高等学校の制服だったよな?俺たちの学校

から目と鼻の先だぜ?」


 殴られていた男が立ち上がる。


「キサラギ高等学校の連中か・・・。でもあの銀髪の少女、あんな可愛い子俺

は今までに見たことがねえ。絶対に俺の女にしてやる・・・!」

「確かに今までに見た女とは比べ物にならないぐらい可愛い子だったな。

でもあの顔どこかで見たことある気が・・・」

「おい、とりあえず帰るぞ!あーもう!中々重いパンチ食らわせやがって」

「うーい。というか兄貴。あの女、本当に兄貴のものにするんすか?」

「当たり前だ。もう俺決めたわ。あの男から無理やりにでもとってやらァ。

・・・ははは!はっはっはっはっはっいててて!!くそぅ腹が・・・」

  

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・


「綾、あいつらに何かされなかったか?」


 逃げることに成功した俺達は、そのままショッピングモールを出て帰り道につくことにした。


「はい。かなりしつこかったですけど、祐くんが助けてくれたので全然平気です!」


  綾が腕を組んで抱きついてくる。また腕に胸が当たってる・・。


「さっきの祐くん、すごくかっこよかったです。私胸がキュンとしちゃいました。これ以上私を惚れさせてどうするんですか!」

 

 綾はずっと上機嫌で時折俺の胸に頭を擦り付けたりしてくる。綾の長い髪からは女の子特有の甘い香りがふんわりと漂ってきて心地よかった。

 俺は立ち止まると綾に、さっき買った猫のペアキーホルダーを渡す。


「綾、これ今日のデートの記念にプレゼント。俺とお揃いだぞ。もらってくれるか」 


 綾は驚いて俺のキーホルダーと綾の手の上に乗せられたキーホルダーを見比べた。


「可愛い・・・猫さんだ・・。祐くん本当に貰っていいんですか?」

「勿論だ。綾に貰って欲しい」

「嬉しい・・!祐くんとお揃いだぁ!これ一生大事にします!!」

「喜んでくれたようで何よりだ」


 綾はキーホルダーを大事そうに胸に抱えた。


「祐くん本当にありがとう・・。私も今度祐くんに何か絶対プレゼントしますから!」 


 その後、綾が俺にピトッとひっついて帰さないようにしてくれたので、

家に帰るのがかなり遅れるのだった・・・。

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