09
「さっき学園長が言っていた協会とはなんですか?」
静かになって最初に話し出したのは司だ。
だが、百合は司の質問に答えず、黙ったままだった。
美月が止めたから何も言わないのだろう。
「何故教えてくれないのですか?」
「それは…危険だからです。彼女達が背負っているものは…...。」
百合はすべてを知っているかの様に話している。彼女達が背負っているものを...。
だからこそ言わないのかもしれない。大事な生徒を守る為に…。
「話は終わりです。2人共、教室に戻りなさい。」
これ以上、話す事などない。と、言って2人を突き放すように百合が言う。
司は何も言わず百合にー礼して出て行き、翔は百合に対してー礼もせずに黙って出て行った。2人の表情は納得して出て行ったという表情ではなかった。
「彼女達や司君達に謝らなければいけませんね。」
学園長室に1人残された百合は弱々しい声で呟き、とても暗い表情をしていた。
~教室に戻ってから・翔&紅葉~
翔が教室に戻った時、美月達は教室には居なかった。紅葉が美月と太陽がいない事を心配して翔に聞く。
「美月と太陽は?一緒じゃなかったの?」
「知るか!あんな奴等の事なんて!」
「なに苛立ってるのよ?」
「お前には関係ない。」
「そう…。話たくないなら別にいいけど。」
翔が自身の事やそれに関れる事を言わないのは紅葉を巻き込まない為であり、それを察して紅葉も翔が言いたくない事を無理矢理聞かなかった。
「席に座れ。授業始めるぞ。」
『は~い。』
次の授業の先生が入って来た。
翔は黙って席に座り授業を受ける。紅葉も心の中では翔を心配しながらも授業に集中した。
先生は八月―日姉弟が居ない事を気にせずに授業を始めたので紅葉は不思議に思い、先生に聞いて見る事にした。
「先生、美月さんと太陽君は、どうしたんですか?」
「ああ、あの姉弟なら『転校早々、早退した。』と学園長が仰っていました。」
「学園長が?」
「はい。授業を続けても?」
「すみません。続けて下さい。」
紅葉は先生に謝まり席に座る。
(美月達はどにに行ったのだろう?)と心配しながらも授業に集中する。
(あいつらは、どこにいったんだ?)
翔も紅葉と同じことを考えていた。
それから、学園長室でのことを思い出していた。
(あの二人は本当に純血種なのか?全然力を感じなかったが……
それに、何を隠しているんだ?)
それから翔は美月と太陽の事が気になり授業に集中出来ていなかった。それどころか授業が終わった事にすら気付いていなかった。