死の時
ふと考えた。
今、ここで私がバタっと倒れて息絶えたとしても、きっと困らないだろう。
すぅっと…何も感じないように…消えてゆけたら…
死にたくなかったと、後悔したときも、その時は既に遅くて、
あれをしておけばよかったやら、こうしておけばよかったなどと考えながらも、
もうどうしようもないのだ。
例えば苦しんで最期を迎えたとしても、長期的な苦しみに耐えた後は、死という安楽が待っている。
死を安楽と感じる私は、少し感覚が違うのか?
自問したところで、答えなど出てこない。
しかし、いざ死が目の前にやってくるとなると、
できたらその前に知らせてほしいもので、あれこれ準備をしたくなる。
せっかく購入した服や靴を試着のまま捨てることになったり、
楽しみにしていた食べ物を食べずに消えるのはかなり切ない。
そして、こうして自分がしについてあれやこれやと考えていると、
死を望まずして死んだ人に、大変申し訳なくなる。
死を考える暇があるなら、楽しみを見つけたほうがよっぽど良いとも思う…が、この頭はどうもその事を止めようとはせずに、相変わらずしについてあれやこれやと考えてしまう。
私はまた、眠れない夜を死と隣り合わせに過ごすのだ。