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九京大武道会開会式

その日――

九京大武道会の開会式が、ついに幕を開けた。

ウーロンの国威を示すオープニングセレモニーは、まさに圧巻。


雅な音楽が空気を震わせ、空には無数の花火が咲き乱れる。

獣人たちのアクロバットは、空を舞い、地を駆け、

観客の目を釘付けにした。


各エリアのメディアが、世界へとその光景を放送する。


そして――

その中心に、現れたのはウーロンの支配者。

龍伯星。

彼の姿は、まさに王の象徴。

衣装は深紅の龍紋長袍ちょうほう

金糸で刺繍された双龍が胸元で交差し、

裾には鳳凰と雲海の文様が流れるように描かれている。


肩には黒曜石の龍鱗装飾が施され、

背には巨大な金の龍尾が垂れ下がる。


頭には金冠――龍角を模した双翼の冠が輝き、

その下の瞳は、すべてを見通すような威光を放っていた。


星は、武道会場――**龍武擂臺りゅうぶれいたい**の中央台座に立ち、

静かに、しかし力強く声を響かせる。

「諸君――この日を、我はどれだけ待ちわびたか。

いや、ウーロンの人々も、そうであろう」


その声に、会場は歓声に包まれる。

「龍伯!龍伯!」

人々が拳を掲げ、熱狂の波が広がる。


星は手を上げ、制止する。

「今回は――第1回目だ。多少不備があるやもしれぬが気にするな

そして定期的に行うと、我は宣言する

大会に参加する者たちに――敬意を」


歓声が渦を巻き、龍武擂臺の空気は熱気に満ちていた。

拳を掲げる群衆の中で、星は一歩だけ前に出る。

その瞬間、空気がすっと静まる。


まるで、次の言葉を待つように――

会場全体が、星の声に耳を澄ませた。

「今回、我らのために来てもらった――新しい友人を紹介しよう」


星の視線が、舞台袖へと向けられる。

ゆったりと歩み出る女性――天宮マリア。


水色の髪が風に揺れ、

秩泉の正装が陽光に照らされて輝く。

その姿に、会場は一瞬息を呑み、次いで大歓声が湧き上がった。


その言葉と共に、星が手を招く。

マリアが台座に上がると、会場は再び沸き立つ。


「うおおおおおおおおおおお!」


「先の前触れは事実である、ここに新たな未来を」

星とマリアが手を握り、ゆるやかに掲げる。

会場の熱気がすっと引き、静寂が訪れる。


その空気の中、マリアは一歩前に出て――

澄んだ声で、穏やかに語り始めた。

「はじめまして。秩泉を代表し、天宮マリアと申します。

過去の蟠りを捨て、新たな友人として――

ウーロンと秩泉に、未来を築きましょう」


星は、堂々とした声で締めくくる。

「いま、武道大会が開かれる。

血と汗と技、そして力――

皆よ、楽しめ。これは――祭りだ!」


轟音とともに、夜空を埋め尽くす花火が咲き誇る。

黄金の龍が炎の尾を引き、紅蓮の鳳凰が夜を翔ける。


観客は立ち上がり、歓声は嵐のように龍武擂臺を包み込んだ。

その瞬間、この地は――戦士たちの舞台へと変貌した。


龍伯星と天宮マリアによる歴史的な宣言、

技と力の祭典の幕開け――


その興奮が冷めやらぬまま、

ついにすべてのブロック対戦表が発表された!


観客たちはざわめき、選手たちは拳を握り、

各陣営の視線が、巨大な掲示板に釘付けになる。


そして――場内に響く、華やかな声。

「さぁ、これからアナウンスを行う――**狐恋こいこ**です!

皆、武道大会ーー盛り上がりましょう!」

ウーロンのトップアイドルにして、

マルチな活動をこなす才女。


その姿は、まさに九京の華。


狐の獣人――しなやかな尻尾と耳がチャームポイント。

透き通るような白肌に、黒い瞳。完璧な美貌。

その一歩ごとに、観客の視線が吸い寄せられる。


狐恋は、開会式の最後を飾るべく、

自身のヒット曲《魔法の煌めき》を披露!


会場は一瞬でコンサート会場に変貌

ステージに光が走り、

空には魔法の粒子が舞い、

観客たちはペンライトを振りながら、リズムに乗る。


狐恋は、ステージの中央で笑顔を浮かべながら叫ぶ。

「明日から――楽しみましょう!

技と力、そして心の煌めきを!」


九京大武道会――開会式の熱狂が収まりつつある頃。

武門席の一角、アル=ナジール家の一団が静かにその様子を見守っていた。


白色のローブに身を包み、

鋭い目と早口の語り口が特徴の男――副使カマル。

その隣には、浅黒い肌と屈強な体躯を持つ戦士――ワヘド。


カマルは、開会式の余韻に浸りながら、早口で語り始める。

「へぇ、面白いね。豪勢で派手なだけじゃない。

この場を利用して、長年の蟠りをなくそうとする意図――

中々素晴らしいじゃないか」


早口で語るカマルをワヘドが腕を組み、不満げに唸る。

「何が“豪勢で派手なだけじゃない”だ。

無駄が多すぎる。倹約という言葉を知らんのか」

倹約家のワヘドが不満そうに。


カマルは笑いながら肩をすくめる。

「いやいや、ワヘド。外交の場としては完璧だよ。

あの連中は中が悪かったからな。これくらいの演出は必要だ」


ワヘドが眉をひそめる。

「ああ、“あの連中は中が悪かったからな”……か」


カマルは頷き、少しだけ真面目な顔になる。

「そうだよそれに秩泉の噂のディヴァイン級久遠優が、

参戦だこれも外交のカードかな?

これだけの場を作り上げる。若いのに大したものだ」


その言葉には、政治家としての顔が滲んでいた。


「久遠優――是非、対戦したい。楽しみだ」

ワヘドは腕を組み直し、深く息を吐く。


「はぁー僕の言ってることわかってる?」

やれやれと両手を広げカマル


「さぁ型の練習だ行くぞカマル」

ワヘドは立ち上がり、会場を出る。


「待ちなさい」

カマルは慌てて後を追いながら、早口で呟く。


「龍伯星……話が聞かない奴だと思ったが、

中々柔軟な思考が出来そうだ。ふむふむ、これは面白いぞ……」


その声は、早口すぎて誰にも聞き取れない。

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